四月 中学校入学式
(あっ。うち、一組や☆)
心で呟き教室に向かう。
教室に着き中に入る。
「うわ。知らん人多いな〜。」
思わず声に出して言って
しまった。
幸い誰も聞いていなかった。
私は自分の席を探す。
(これも違う!何処だろ。)
中々見つからない。
「ここやろ。アホやんけ。」
同小の『塩瀬』が自分の隣の席を指差していた。
「あっ。ありがとう。」
そう言って私は自分の席に座った。
机の上には新しい教科書が沢山置いてある。
私は教科書を手に取った。
(国語、数学…うわ〜難しそう!社会…地理と歴史がある〜 理科…一分野と二分野?なんじゃこりゃ。)
そうしていると、チャイムが鳴り、一組の担任が入って来た。
(案外カッコイイ〜かも)
担任は黒板に自分の自己紹介を淡々と書いて行く。
(中川雅文か。趣味はバスケかよ。笑 )
中川先生は『CatchBall』と言う交換日記的な物を配り、私達に書かせた。
何書こ。
悩みに悩んで私は書いた。
『あんまり知ってる人が居なくて残念。自分的には三組がよかった。でも、このクラスで新しい友達を作りたい!と思った』
と在り来りな事を書いた。
そして、後ろから集める。
入学式した日はそれだけで終わりだった。
−次の日−
今日は2時間も学活がある。
(マジかよ。学活って事は中川先生やんな。)
憂鬱な気分で学校に着く。
朝一に話しかけたのは、『梨佳』
初めて話す子。
話してみるとすごく話やすい子。
私は学活の時間もずっと梨佳と話していた。
その日から私と梨佳は毎日何処でも一緒だった。
私達は、初めて二組に行ってみる事にした。
二組の担任は『林正人』
先生は二組にいなかったが私は気にしなかった。
私は帰りも梨佳と一緒。
帰りに用事で職員室に行った。
そこで林先生を見かけた。
(あの人が林先生か。)
私は何とも思わなかった。
社会の授業を受けるまでは。
−次の日−
今日は初めての社会の授業。
私は誰が来るのかわくわくしていた。
チャイムが鳴り入って来たのは……林先生。
(林先生が社会担当なんや)
そして、授業が終わった時、私は変な気持ちだった。
(やばい。好きかも。)
そう。私は林先生に恋をしたのだ。
誰にも言えずに日は過ぎて行く。
そして、明日から夏休み。
私は美術部だから何回か学校に来るけど、先生には正直会えないと思った。
−夏休み−
7月24日 私は学校に来ていた。勿論先生に会う為。
先生には会えず、5時間が過ぎた。
私が手に付けていたピンクのゴムを投げて遊んでいたら、偶然掃除用具入れのロッカーの上に乗った。
「やば!どうしよう。届かん〜!」
苦戦していると偶然林先生が通りかかり、
「どうしたん?」
と聞かれた。
「ゴムがロッカーの上に乗っかって」
と言うと林先生が取ってくれた。
私は嬉しさと喜びで
「ありがとうございます!」
としか言えなかった。
−7月27日−
私は部活が終わり自転車で坂を下り、横断歩道で止まっていた。
すると、先生の車が通りかかり、手を挙げてくれた。
私は嬉しくて、ニヤニヤしながら家路に着いた。
−7月30日−
今日は補習で学校に行った。
オアシス教室で補習をするはずが誰か中に居る為1番に来ていた私は入れなかった。
友達が来て、補習の教室に入る事にした。
ドアを開けた瞬間私の目に飛び込んで来た物は…
三年の『恵』先輩とすごく仲よさ気に勉強をしている林先生の姿だった。
私は泣きそうになるのを必死に我慢しながら作り笑いを浮かべた。
よく見れば恵先輩はすっごい美人。
私に敵う相手ではないと私は確信した。
恵先輩達は補習の先生の説得で図書室に移動した。
私達は補習を始めた。
私は何も考えられなかった。
ねぇ。林先生は恵先輩がいいの?私がどれだけ頑張ってもダメなんだよね。
−8月4日−
私は市内で行われる夏祭りに来ていた。
(うわ!めっちゃ人多い!こんなんじゃ林先生見つけられる訳ないやん!)
私は一人で呟いていた。
逢えないままメインの花火が終わり、私が帰ろうといた時。
(居た!!!)
私は人をよけながら林先生の所に向かった。
林先生は
「お〜!暑中見舞送るしな!」
と言ってくれた。
私はルンルン気分で家路に着いた。
8月27日
今日は先生の車が変わっている事に気付いた。
(車変えたんかな?)
車はセリカ。スポーツカーだった。
職員室に部活の鍵を返しに行った時、林先生が気付いてくれて鍵を預かって貰った。
私は嬉しさでどうにかなりそうだった。
8月29日
今日は朝一で林先生に逢えた。
林先生は
「おはようさん!」と挨拶をしてくれた。
今日も部活の鍵を返しに行った。
また林先生が気付いてくれた。
鍵を返そうとしたら林先生がこっちに来て、私を挟むように壁と壁に手を付いて
「あれ?今日は一人やったん?部活」
と聞かれた。
「いえ。私が最後に戸締まりしましたから。」と私は言った。
9月13日
林先生からプロフィールが返って来た。
好きな人は居る。と書いてある。
私はそれを見た瞬間涙が溢れ出した。
私の脳裏に浮かんだのは恵先輩の姿だった。
私は勝てないと再度確認した。
9月28日
今日は泣いてばかりだ。
林先生と恵先輩が一緒に給食のご飯を運んでいた。
私は訳が分からずその場で崩れ落ちた。
いい事もあった。
放課後二組のチョークの粉が落ちていたから私はほうきで掃いていた。
そこに林先生が来て
「あ!綺麗にしてくれてんの?ありがとう。」と言ってくれた。
私はちりとりを取りほうきと一緒に掃いていた。
(キっキツイ!!)
その時林先生がちりとりを持ってくれた。
(きゃ〜!)
最後に私が先生の所にちりとりを取りに行くと
「ありがとう」と言われた。
私は泣いたり嬉しくなったり。林先生に出会ってから忙しいよ。
ずっと先生を見つめて居たかった。
それが私の夢だったのに。
10月12日
私は今日朝方熱があり、昼から学校に行った。
本当は休みたいぐらいに辛かった。
昼休みに帰ろうか迷っていたら。
そこに林先生が来て、
「熱大丈夫?」と聞かれた。
私は帰りたいと言いたかったが先生に心配はかけたくなかった。
「はい。大丈夫です」
私は作り笑いを浮かべ出来るだけ元気に答えた。
「よかった。」と先生は小声で言ってくれた。
私は嬉しくて熱が吹き飛びそうだった。
10月15日
今日は林先生がボディタッチしてくれた。
美術の時に頭が痛くて職員室に中川先生が居ないか見に行った。
すると林先生に見つかり慌てて職員室から顔を隠した。
でも、林先生は出て来て
「どうした?」と聞いてくれた。
私は
「頭痛い。」と答えた。
林先生は
「大丈夫か?とにかく美術が終わったらもう一回来て。」と言いながら私の背中を指でつんつんと押した。
私は訳が分からず、
「はい」と言って美術室に行き梨佳に抱き着いた。
でも掃除の時間に最悪な出来事が起きた。
梨佳と林先生が二人で話していた。
私は梨佳に聞いた。
すると梨佳は
「林先生にメアド聞いててん!」と笑顔で言った。
私は
「教えて!」と言った。
しかし梨佳は
「ごめん。無理。林先生誰にも教えたらあかんって言ってたから。」と言った。
私は林先生にも梨佳にも腹が立ち完全に無視した。
放課後には梨佳と仲直りしていた。
10月27日
今日はウォークラリー。
林先生は恵先輩と歩いていた。
めっちゃ楽しそうだったよ。
私は楽しいはずもなく、ただ泣いていた。
11月1日
今日は林先生の誕生日。
私は誕生日プレゼントに時計を渡した。
先生喜んでくれたし、渡したかいがあったな。
11月2日
今日携帯を開くと林先生からメールが届いていた。
[今日はプレゼントありがとう!高価な時計やし悪いな。大事にさせてもらいます。ありがとう]という内容だった。
嬉しくて一日ハッピーだった。
11月10日
今日は草津に向かっていた。
するとすれ違った車が林先生の車だった。ナンバーも同じ。
隣に女の人が乗っていた。
私はすぐに先生にメールした。
メールが返って来たのは、夜だった。
[今日の車は本物や。ただ彼女じゃなくて他の学校の先生や。今日は学校の研修で水口に行ってたから乗せてってあげてん]という内容だった。
私は本当は信じられなかったが先生を信用する事にした。
12月21日
今日は林先生に少し早いクリスマスプレゼントを渡す事にした。
雪をイメージしたかわいらしいクッキー。
林先生は凄く喜んでくれた。
笑顔で
「ありがとう」と言ってくれた。
まさか、これが最後の笑顔になるなんて思いもいなかった。
12月22日
私は学校に向かい歩いていた。
朝の6時頃だと思う。
私の前には学校。もうすぐに着く所だった。
その時私の隣に車が止まった。
私はやばいと思い、坂ではなく階段を駆け登った。
案の定男達が私を追い掛ける。
私は学校の前まで来て学校に跳び込んだ。
安心していると、後ろから肩を叩かれた。
「きゃーーー!」思わず悲鳴をあげる。
肩を叩いたのは林先生だった。
私は安心したあまり先生に抱き着いた。
先生は驚いていたが、一部始終を見ていたらしく、認めてくれた。
不意に先生が声をあげた。
「逃げろ。早く逃げろ!!」私は訳が分からずおろおろしていると、先生が倒れた。
その後ろからさっきの男達が笑っていた。
「そいつといちゃいちゃしてるから悪いんだよ!
」と言って私に襲い掛かって来た。
すぐに他の先生達が来て男達は捕まった。
私はそれ所ではなかった。
林先生が倒れている。
「林先生?えっ。嘘でしょ?林先生起きてよ!
先生ーーーー!」
私は人目わ気にせず泣きわめいた。
どれだけ泣いただろう。
私は林先生の死を受け止められなかった。
自分のせいで林先生が死んだ。
私さえ先生に抱き着かなければ林先生は助かっていた。
私さえ男達に捕まっていれば林先生は無事だったのに。
こんな思いが私を支配していた。
私は夢を見た。
林先生が私の隣に居る。
私が願っていた事が叶っている。
私は泣いた。泣いて泣いて泣き続けた。
林先生は私の横から消えて空高くに消えた。
私が目を覚ましたのは病院だった。
私の回りにいる人は私に抱き着いた。
私は脱水症状に近い状態だったらしく病院に運ばれたのだった。
私は翌日林先生の葬儀に参列した。
林先生の最後の姿。
何故か私には笑っているように見えた。
私は涙が枯れるかのように泣いた。
葬儀も終わり火葬場に向かった。
林先生が焼かれる。
私は大声で泣いた。
林先生の骨を一つ貰い私は火葬場を後にした。
林先生のお骨を大切に包み自分の宝物箱にしまう。
私はお骨をしまう前に宝物箱の中中身を見た。
中には林先生が書いてくれた時間割りの画用紙。
林先生が取ってくれた紙ゴム。
林先生の写真。
林先生に貰ったチョーク。
林先生とお揃いのストラップ。
林先生が貼ってくれたシップ。
林先生が使ってくれた二本のペン。
林先生から貰ったシール。
全て私の宝物だ。
全てを思い出していると涙が溢れて仕方ない。
翌日
私は林先生のお母さんに初めて会った。
林先生のお母さんは私に林先生の携帯を渡した。
私は
「林先生の携帯を私に?」と尋ねた。
お母さんは
「はい。息子は携帯に貴方への想いを書いています。受け取って下さい。」と言った。
私は帰って林先生の携帯を開いた。
何気なくメールボックスを開く。
私は驚いた。
私からのメールを全て保護していた。
私と同じ事をしていたのだ。
下書きを見る。
そこには、[俺の気持ちには気付いていないだろう。俺は入学式から好きだった。友美は気付いていない。寂しいな。
恵と仲良くしていたのを友美は悲しそうに見ていたな。嫌だった。
ウォークラリーも一緒に歩きたかった。
俺は勇気が無いから恵と歩いた。友美が見ているのに気付いていてわざと恵と仲良さげに話した俺は最低だな。
一回も友美と呼べなくてごめん。これからも呼べないと思う。でも、卒業まで待って。そうしたら絶対に告白して友美と呼ぶから。]
と書いてあった。
私は涙が止まらかった。
最後に[俺に何があっても絶対友美だけは守るから。絶対に後を追うような事はしないで。一生懸命生きてな。]と書いてある。
私は絶対に生きると。
先生の願いを叶えると誓った。
私は今は泣かないように努力している。
でも、林先生?林先生の命日だけは泣いてもいいよね?許してね?
私は絶対に頑張るから。
私は今日も林先生の居る空に、天国に誓っている。
いつまでも。ずっと… |