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セブンス 作者:わい/三嶋 与夢

最終章 ここまで来たぞ 十八代目

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ウォルト家はさいきょう

 両手に持ったカタナが(きら)めく。

 青い光が斬撃に尾を作り、ノウェムの大鎌とぶつかると青い火花が輝く。互いに速度を上げ、そして先程よりも必死さの増したノウェムには焦り――そして、怒りの表情が見えた。

 ノウェムの大鎌が横に振り抜かれると、その真下をくぐって両手のカタナを交差させて内側から外側に振り抜いた。地面を転がるようにノウェムを通り過ぎると、すぐさま立ち上がって二刀を構えなおす。

 笑みを作り、ハッタリをかます。

「さっきよりスピードが落ちたんじゃないか。それと、これは個人的な感想だが……スカートはもっと短い方が好みだ」

 今のノウェムは足首まで届くスカートを履いていた。ノウェムが俺に向き直ると、スカートがふわりと広がった。しかし、良いところまで見せない。ギリギリで静かに閉じていく。

「……それは妻となる他の女性に求められては?」

 俺は踏み込みつつ。

「悪いな。お前の席も用意している。だが、安心しろ……俺に惚れていないとしても、すぐに惚れさせてやるよ!」

 思い出せ。思い出せ。テンションが高い時の自身を思い出せ。何でも出来ると思えたあの感覚を思い出せ!

 そう、心で呟き続けた。少しでも弱気になれば、崩れてしまいそうだった。攻めて、攻めて、攻め続けて。ノウェムに俺の声を届けるために。

 邪神でもない。女神でもない。ノウェムに――届けるために!

 ワキザシでノウェムの一撃を弾き飛ばし、カタナでノウェムの心臓を貫いた。血が噴き出ていない。それを見て、ノウェムの表情が歪む。

「いつまでもそんなわがままを!」

「馬鹿が! ウォルト家は歴代みんな――わがままだっただろうが!」

 更に踏み込み、大鎌の振らせないために懐に入り込むと今度はワキザシでノウェムを突いた。

「初恋の相手に振り向いて欲しくて開拓団に志願した!」

 突き刺した二刀を無理やり横に振るうと、ノウェムが離れる。

「素直になれなくて、ずっと親に反抗した!」

 距離を取らせないためにノウェムに近付くと、大鎌の一撃を幻を使用してズラした。相当慌てているのか、幻影を見ている。

「ムカついたから王族を殴り飛ばして――」

 二刀に並べ、そのままノウェムを横に斬り裂いた。

「――お金が大好きだから内政を頑張って!」

 ノウェムが左手を掲げると、俺はカタナとワキザシを反対方向に投げた。ノウェムが俺に魔法を放つと、最初にワキザシを回収してノウェムに斬りかかる。防がれると、すぐにワープでカタナの方を回収してノウェムに斬りかかった。

 浅いが、ノウェムの脇腹をかすめた。

「子供より動物を可愛がった!」

 そのまま、連続でノウェムに斬りかかる。二刀を逆手に持って回転しながら、大鎌を蹴飛ばし、何度も斬りつける。浅かろうが関係ない。ただひたすらに斬り続ける。

「親が嫌いで家を飛び出した!」

 ノウェムが歯を食いしばっていた。四つの幻影を作りだし、四方からノウェムに斬りかかる。俺の方は頭上にワープして、そのまま回転しながら刀を振り下ろした。

「無理だと分かっても、銃が凄いと実証しようとした!」

 ハッキリ言う――うちの一族はわがままだ。

 ノウェムが、俺を見ながら左手を向けてきた。そこから小さな火球がいくつも。数千、数万と放たれる。

 離れながら火球を斬り、避けると――。

「またそうやって悪いところばかり――」

「――お前はそうやって美化し続けて、悪いところは無視しただろうが! 見たいところしか見ていないのに、母親面してんじゃねーよ!」

 カタナに風が巻き付き、火球を吹き飛ばしていく。舞い上がった火球が地面に落ちて爆発していく。ノウェムが左手を掲げると、紫電が発生していた。次第に大きくなる紫電を見ながら、ワキザシを地面に突き刺して突撃する。

 ノウェムが発生させた雷が、ワキザシに集まると渾身の力でノウェムをすれ違い様に斬り裂いた。

 すぐに振り返って背中を斬り裂くと、ノウェムが大鎌を振りかざしてきたのでワキザシに向かってワープした。回収して二刀を握りしめると、俺は大きく呼吸をした。

 ノウェムも肩で呼吸をして、俯いていた。髪が乱れ、垂れた髪の隙間から紫色の瞳で俺を睨み付けてきた。

「――私は――それでも私は! ――未来のために」

 俺は大きく息を吸い込み、そして叫ぶ。心から叫ぶ。

「滅びとか、過去に何があった何か知るか! 俺は――俺は――そんな先の未来より、今日、そして明日の――修羅場の方が怖い!」

 過去に何かあった。

 だから、ノウェムたちが生まれた。それは分かった。

 だが、俺から言わせて貰えれば――今の俺たちから言わせて貰えれば。

「遠い過去も、遠い未来も関係ない! 大事な今を無視したら、過去も未来もないだろうが! お前にとって、今は――今は幸せか? 今が最高だと胸を張って言えるのかよ。今のお前は……どう思っているんだよ!」

 未来を思うノウェムでも。

 過去に縛られるノウェムでもない。

 今のノウェム・フォクスズの気持ちが知りたかった。

 ノウェムが大鎌を構えた。

「何度も……何度も……五月蝿いんだよ! 私の気持ちなんか……誰にも……誰が分かる! 誰が理解できる! 理解できないって分かるから! 分かるから私はぁぁぁ!!」

 一筋涙が流れた。ソレを見て、俺は笑う。削れてきた。邪神も女神も削り落とし、ノウェム本来の気持ちが表面化してきた。

「ほら、化けの皮が剥がれたぞ! そうだ、もっとだ! もっとさらけ出せ! 俺の前に、全部さらけ出せ! そしたら……全部を受け止めてやる!」

 カタナの切っ先を向けると、ノウェムが大きく踏み込んだ。ノウェムの立っていた場所の瓦礫が吹き飛び、そして急接近してくる。

「受け止めきれるものかよ!」

 すぐにカタナを振るうと、すれ違い様にノウェムの体にカタナが通り過ぎた。





 ――金属の鱗に守られた、メタリックなランドドラゴンを前にアリアは肩で息をしていた。

 赤い髪が乱れ、そして汗がポタポタと流れ落ちていた。握っている槍もボロボロだ。硬い鱗に守られたランドドラゴンの前に、アリアは相性が悪かった。

「まったく……こっちはライエルを助けに行きたいのに。本当に、私って力不足よね」

 泣きたいのか、笑いたいのか。

 アリアも自分の気持ちが分からなかった。クラーラが、杖を掲げて強い光をランドドラゴンに向けた。視界を奪ったところで、エヴァが矢を放つ。

 ランドドラゴンの鱗の隙間に刺さった矢が爆発するが、ランドドラゴンはビクともしない。

 空からは、モニカやヴァルキリーズが攻撃を当てているが、動きを封じている程度だ。ノウェムが時間稼ぎ目的で相性の悪い魔物を用意しただけはあった。

 空からは、モニカが舌打ちをする。

「しつこいんですよ!」

 数百の光の線がランドドラゴンに降り注ぐと、ランドドラゴンは丸まって耐えた。表面が熱で赤くなるも、すぐに冷却されて元の色に戻る。

 アリアが、呼吸を整えて柄をしっかりと握る。左手で、赤い玉を握りしめた。

「あと何回――いや、何度だって渾身の一撃を」

 体が今にも悲鳴を上げそうだった。スキルの使用過多により、負担が大きくなってきている。短い間隔での連続使用による負担が、アリアに重くのしかかってきていた。

 足を踏み込むのも億劫(おっくう)だった。

 そんなアリアの背中に、手が触れられた。右手の感触が四つ――。赤い光と共に、優しい声がアリアを包む。

『頑張って』
『ロックウォードの力を見せなさい』
『――頑張ってきたのを、私たちはちゃんと見ていたわよ』

 そして、最後にアリアに似た声で。

『あの人の子孫と、私の子孫であるアリアが出会った。きっと、これは運命だから。私たちも、貴方に力を――あと、一歩を踏み出す力を』

 赤い玉が輝きを強めると、アリアの体から疲労感が吹き飛んだ。そして、爆発的な力が内側から発生した。

 握っている槍に赤い光が宿る。もう少し――。もう少しで――。

「ッ!」

 しかし、アリアの目の前にランドドラゴンが危険を感じて突撃してきた。優先的にアリアを潰すつもりのようだ。

「アリア!」

 エヴァが矢をランドドラゴンの目に向かって放つと命中した。しかし、ランドドラゴンはそれ以上にアリアに危機感を覚えたのか、アリアに向かって突撃する。

 モニカたちが空から攻撃しても、一向に怯まない。光学兵器中心のモニカが空で叫ぶ。

「実弾の方が良かった!」

 クラーラが周囲を見ると、瓦礫に埋もれたポーターの荷台部分が見えた。

「ポーター、お願い」

 荷台部分が瓦礫を吹き飛ばし急発進をした。ランドドラゴンの横っ腹に突撃すると、ランドドラゴンが巨大な前足で踏みつぶす。

 すると、丸い円柱の頭部に取り付けられた、ただの飾りであった丸く小さなポーターの瞳が二つとも光る。

 顔が持ち上がり、胸に埋め込まれた魔鉱石が強い光を発した。風が巻き起こり、そのままポーターの上半身がランドドラゴンに突撃する。そして、大きく後退させると、そのまま爆発を起こした。大きな爆発は瓦礫を舞い上がらせ、全員に衝撃波を感じさせた。それに耐えると、クラーラが唖然とする。

「そんな。私はそんな操作は――」

 モニカも上空で。

「私だってそんな機能は――暴走? 流石に無理な改造をしすぎましたか」

 煙からは、ボロボロのランドドラゴンが大きな前足を一歩。そして、ボロボロになった体を引きずって二歩目を。

 口を開き、血を吐くランドドラゴン。しかし、それでも前進してくる。

 すると、アリアが目を大きく開いた。紫色の瞳には赤い光が宿り、背中を押された感じがした。

『――見せてあげなさい。それと、卑屈にならない。貴方は立派なロックウォードの娘なのだから』

 赤い光に包まれたアリアが駆け抜けた場所は、瓦礫が舞い上がっていた。上空まで舞い上がり、そして空高く舞い上がるアリア。ランドドラゴンがアリアのスピードに追いつけず、追うような形で顔を持ち上げ空を見た。

 すると、赤い光が一閃。

 ランドドラゴンが綺麗に両断され、ゆっくりと半分に割れた。

 その割れた部分から立ち上がったのは、アリアだった。槍を肩に担ぎ、赤い光を纏いながら全員に言うのだ。

「行くわよ。あの馬鹿ノウェムは、一発叩いてやらないと気が済まないわ」

 アリアの視線の先には、ノウェムと戦っているライエルの姿があった。

 モニカは、地面に舞い降りると転がっていたポーターの歪んだ頭部を拾い上げる。クラーラも、モニカのところへと駆けつけた。

 エヴァが、二人に。

「先に行くわよ」

 アリアと一緒に先にライエルの下へと向かう。ヴァルキリーズも、そんな二人を追いかけた。だが、全員がポーターに視線を向けている。

 ポーターの頭部を抱きしめるモニカ。

「――暴走と片付けては駄目ですね。貴方も、私たちの立派な仲間でしたよ、ポーター」

 クラーラも、付き合いの長い相棒に黙祷を捧げた――。





 ――セントラルのかつての正門前では、八代目であるマイゼルに率いられた軍勢が骸骨の兵士を蹴散らし、セントラルに入った。

 八代目が、セントラル中央での戦いを見ながら。

「出遅れたか。だが、まだ終わっていない」

 その隣では、妻であるクレアが頷く。

「えぇ、まだ終わっていません。私たちは、ちゃんとライエルに謝罪をしなければ」

 正面の敵戦力が多かったこともあり、マイゼルたちが最後だった。周囲には獅子の武人と、砂の鎧を纏ったマクシムの姿があった。

 獅子の武人がかつてあった城壁を大股で越えていくと、先を急いでいた。その肩には、ミランダとシャノン、そしてミレイアの姿がある。

 ミレイアは、遠くで複数の争いが起きているのを見ると、ミランダに言うのだ。

「金色のドラゴンがいる方へ行くわよ」

 シャノンが、ミレイアを見上げ。

「え? ライエルの方は?」

 ミレイアが、肩を軽く上下させ。

「少し時間を上げましょう。ライエルも、色々と吹っ切れたみたいだし。それより、一発かましておきたい相手がいるのよね。シャノン……協力してくれるわね」

 ミレイアの有無を言わさない笑みに、シャノンは何度も頷くのだった。

 ミランダが、黄金のドラゴンがボロボロになっている姿を見ながら。

「あっちも終わりそうなんですけど?」

 すると、ミレイアは言うのだ。

「だからよ。ちょっと邪魔してやりたいのよね」

 ニヤリと笑うミレイアだった――。





 ――レジェンドドラゴンと戦う面々だが、最終的に歴代当主たちが七人で攻め立てていた。

 初代が大剣を振り回しながら。

「この卑怯者がぁ! 今更出て来やがって!」

 無刃剣を伸ばし、そしてレジェンドドラゴンに深い傷を負わせる三代目は笑っていた。

「はて? 何のことでしょうね? いや~、このまま行けば、タイミング的に僕が止めを刺しちゃいますね。いや~、目立っちゃうなぁ~。歴代最強は僕に決定かな~。まぁ、宝玉内に最後まで残ったのも僕だし、当然かなぁ!」

 レジェンドドラゴンが口を開けると、三代目がその口の中に無刃剣を一度縮小させてから、突き出すと刃が伸びて口の中を深く刺す。

 ファンバイユの先代を退け、ようやくドラゴン退治に戻ってきた六代目が叫ぶ。レジェンドドラゴンに。

「た、耐えろぉ! 耐えるんだ、ドラゴン! そのまま刃を噛み砕け!」

 五代目が、三代目を見ながら。

「野郎、純粋に強い。剣の腕だけならかなりのものだぞ。あんな奴に、あんな武器を持たせたら駄目だろうが!」

 二代目が、弓を構えながら。

「そうやっていつもお前は要領よくやるからぁ!!」

 四代目が、悔しそうに。

「しかし、これ以上は時間をかけるのも――」

 七代目が、銃口を三代目に向けようとしていた。

「離せ、ゼル! 奴はここで撃ち落とす!」

「駄目ですよ、ブロード様!」

 三代目が空中で刃を引き戻すと、そのまま空中で身をよじる。そして、首筋目がけて伸ばした刃に遠心力を加えて斬り落とそうとしていた。

「アハハハ、悪いね! ――なにっ!」

 だが、その一撃は途中で刃に衝撃が加わり、バランスを崩した三代目によって地面に突き刺さり、レジェンドドラゴンを仕留められなかった。

 地面に着地した三代目が見たのは、獅子の武人のゴーレムだった。その肩で、一発式の銃をシャノンに渡しているミレイアの姿。しかも、ニヤリと笑っていた。

「あの女ぁぁぁ!! からかったのを根に持っていやがった!」

 これには温厚な三代目も、竜殺しの称号を得るのを邪魔され大激怒だ。すると、六代目がミレイアの姿を見た。

 六代目からは、シャノンが銃を撃ったように見えたのだ。

「外したか。だが、でかした! ミレイア、お前も間に合ったか!」

 六代目に笑顔で手を振るミレイア。しかし、三代目を見るときは、下卑た笑みを向けていた。

 口をパクパクさせ『ざ・ま・ぁ』と三代目に伝えている。

 レジェンドドラゴンがその大きな口を開き、最後の力を振り絞る。しかし、更に舞い上がった一人の女傑――初代の妻が、薙刀を両手に握って渾身の一撃でレジェンドドラゴンの首を斬り落とした。

 そして、地面に着地した初代の妻は、地面に薙刀を突き刺して。

「まったく、いつまでやっているんだい! ほら、もう終わったんだから飯にするよ。それと、あそこでまだ戦っている若いのを呼ぶから、お前らもついて来い。それから、このドラゴンはしっかり切り分けておくように! 血抜きもするんだよ」

 周囲にいた蛮族風の男たちが、一斉に。

「へいっ、姐さん!」

 一斉に頭を下げていた。良いところを持って行かれた歴代当主たちは、渋々初代の後ろをついていくのだ。

「お婆ちゃん、僕も行くよ!」

「よし、お婆ちゃんと行くぞ。まったく、いつまでイチャイチャしているんだか。宴会の準備でこき使ってやる。ついでにからかってやろうか」

「うん! やっぱりお婆ちゃんは凄いや!」

「当たり前だよ。そうじゃないとウォルト家の嫁なんか務まるものかい。……ほら、足下に気を付けな。瓦礫が多いからね」

 瓦礫が多いというか、瓦礫の山の上である。

 初代の妻と、デューイが手を繋いでいた。初代の妻は口が悪いながらも、その表情は穏やかだった。

 そして、ライエルたちをイチャイチャしていると言う初代の妻に続き、歴代当主と歴代当主の妻たちが後に続いた。

 初代が肩を落としながら。

「なんだよ。最後くらい譲ってもいいじゃないか」

 二代目が、初代の肩に手を置いていた。

「ほら、行くぞ。ライエルを連れてきたら、そのまま宴会だ」

 初代が、二代目と肩を組んだ。

「いいな、宴会! ドラゴンの肉で盛大に盛り上がるか! ……でも、あのドラゴンの肉は不味そうなんだけどな」

 笑い合う親子。

 そして、そんな姿を見る三代目は、四代目と五代目の三人で歩いていた。

「僕の計画が」

「アレにはドン引きです。反省してください」

「俺もアレはないと思うな。反省しろ」

 三代目、四代目、そして五代目の妻たちがその後ろを歩く。旦那たちの会話の邪魔をしない。四代目の妻だけは、綺麗な鱗を抱えて値踏みしていた。

 六代目と七代目は、後ろをついてくる嫁たちに怯えながら。

「なんで俺だけこんなにギスギス……」

「自業自得ですね。一人でも大変なのに、三人も娶るから悪いんです」

 すると、ゼノアが扇子を閉じてパシリと音を立てた。ニコリと笑いながら、七代目を威嚇していた。

「貴方?」

「嘘です! わしは最高の嫁を娶って幸せです!」

 六代目が、七代目を見ながらニヤリと笑っていた。そして、獅子の武人から降りてきたミレイアと合流した。

「兄上、私もお供しますよ」

「おう、来い! お前もライエルとノウェムの事は気になるだろうからな」

 すると、ファンバイユの先代が、ボロボロの姿で六代目にかけてくる。

「クソ爺! 俺の孫がお前のひ孫の側室ってどういう事だぁ!」

 笑いながら逃げる六代目と、それを追いかけるミレイア。そして、先代のファンバイユ王。七代目が、呆れた様子で三人を見ていた。

「……まったく、賑やかな人たちだ」

 そう言っていた――。



 ――置いて行かれたルドミラたち。

 エリザは周囲を見ながら困っていた。周囲では、レジェンドドラゴンの解体が始まっていたのだ。

「おい、どうやって切り分ける?」
「内臓から食うべきだよな」
「酒持って来い。酒! 樽でいくつも! どっかにあるから。軍隊が来ているなら絶対にあるから」

 グレイシアも、どうするべきか悩んでいた。すると、ミランダがゴーレムを解除して地面に降り立つ。

 シャノンが、全員に向かって。

「何してるの? さっさと行くわよ。終わらないと宴会が始まらない、って」

 エリザが、友人であるシャノンに言われて歩き出した。

「そ、そうだな。宴会が正しいのか分からないが。まぁ、ライエルたちを放置も出来ないし」

 グレイシアも、溜息交じりに。

「もう、こうなれば最後まで付き合うさ。何でも来い!」

 ミランダが嫌そうな顔で呆れていた。髪を耳の後ろにかきあげながら、歩き出す。

「これ以上は流石に勘弁して欲しいわ。それに、色々とハッキリさせないとイライラするのよ。ノウェムも一発殴っておかないと」

 ルドミラは鞘にしまった長剣を左手に持ちながら、前を行く集団を見て――。

「……ぶっ飛びすぎだろ、ウォルト家。最強というか――最狂だな」
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