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セブンス 作者:わい/三嶋 与夢

最終章 ここまで来たぞ 十八代目

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真なる者

 ――カルタフスが死兵の軍団に突撃する先頭では、四代目の姿があった。

「セントラルへはもうすぐだな。さて、あまり妻に働かせるのも忍びない。せっかく、こんな武器まで用意されたなら、試してみたくもある」

 短剣を両手に持ち、背中にも外側に刃を向け、円を描くように動いている短剣。四代目は両手に持つ短剣を軽く上に投げると、落ちてくるタイミングで掴み直して。

「フルドライブ――」

 そう呟いた。

 その場から四代目の姿が消え去ると、次の瞬間には死兵の軍団が次々に斬り伏せられ、吹き飛ばされ、頭部に次々と短剣が突き立てられていた。

 一瞬で四代目が通ったと思われる道が出来ると、そこを目指して四代目の軍勢やカルタフスの軍勢が突撃の体勢に入った。

 四代目の妻が。

「ほら、号令」

「わ、分かっています。突撃せよ!」

 ルドミラが急かされ、四代目が斬り込んだ後に十万を超える大軍が突撃をかけた。最前線に位置するのは、四代目の軍勢たちだ。

 斬りかかる骸骨の兵士の一撃を避け、四代目は最小限の動きで次々に骸骨の兵士たちを斬り伏せていく。

 その動きは実に軽やかだった。

 四代目の妻がその動きを見ながら、右手を掲げて指を鳴らす。四代目から離れた位置で、二つの魔法陣が空に出現すると、そこから火の魔法が降り注いだ。

「ほら、セントラルに近付いたわよ。陣地を張るんでしょう? 準備!」

 ルドミラの横に立ち、指示を出す四代目の妻。ルドミラは慣れないのと、見張られている感じに加え、試されていると感じてどうにも嫌だった。

「分かっています!」

「口答えをしない! あんた、それでウォルト家の女になれると思っているの?」

 小言を言う姑の出現に、ルドミラがイライラしていた。しかし、実力がある上に、争っている場合でもない。

 四代目の妻もそれを分かっている上で、ルドミラにネチネチと小言を言って楽しんでいた。

「それにしても、やっぱりマークスね。頼りになるわ」

 最前線で次々に骸骨の兵士たちを斬り伏せては、時折消えて周辺の敵を吹き飛ばす四代目を見て、そう言う四代目の妻だった――。





 ――ライエルの本軍。その脇に位置するような場所では、参加していただけの元バンセイム文官たちが、武器を手に取り骸骨の兵士たちと戦っていた。

 しかし、柵からでようとはせず、逃げ腰であった。

 剣は握ったことがあり、基本くらいは出来る彼ら。しかし、体は長年の座り仕事で弛んでおり、脅されているために今ひとつだ。

 ミレイアはそれを見ながら、溜息を吐いていた。

「はぁ……役に立たないわね」

 両手に持った拳銃を発砲すると、弾丸は骸骨の兵士の弱点部分――頭部を綺麗に吹き飛ばしていた。

 どこが弱いか分かるミレイアには、それくらい造作もない。柵からでて骸骨の兵士に囲まれた状態で、次々に敵を倒していく。

 撃った銃は投げ捨て、近づいて来た相手には銃身についたナイフで斬り裂く。ドレスを着ている事もあり、スカートがふわりと浮ぶ。まるで踊っているようだった。

 時には骸骨の兵士の頭部を蹴り飛ばしていた。

「もう少し頑張れないものかしらね?」

 そう言って柵の内側にいる孫であるラルフに視線を向けたミレイア。しかし、ラルフも武器を持ってはいたが他よりマシな程度だ。

 机の上や会議、根回しなどは強くても直接戦う場では有能とは言えない。

 そして、柵の後ろ側で治療を受けたミランダとシャノンが出て来た。

「遅れました。いつでも行けます」

「ます!」

 ミランダの作りだした猫科の猛獣のゴーレムに乗ったシャノンも、ミレイアに背筋を伸ばして答える。

 ミレイアは微笑みながら、拳銃で骸骨の兵士の頭部を吹き飛ばした。弾丸はその後ろにいた二体目の頭部も貫いて吹き飛ばしている。

「あら、もう少し休んでいても良いのよ? でも、やる気があるようで私も嬉しいわ。……ついでに、お前らは利用しようとした相手の実力をしっかり見ておきなさい」

 周囲を睨み付けるミレイア。ラルフたちはミランダに視線を向けた。

 ミレイアという女傑がサークライ家に嫁ぎ、その血はミランダに。魔眼はシャノンが受け継いだ。

 ミレイアの血を濃く継いだのは間違いなくこの二人だろう。ミランダが、その両手から糸を出す。魔力で作り出された糸が、実体化してシャノンが乗っているゴーレムに巻き付く。

「ワイヤーフレーム」

 ミランダがそう呟くと、ゴーレムは徐々に大きくなる。獅子の頭部を持った鎧姿の武人に形を変えていくと、ミランダはその肩に乗る。以前、ノウェムと戦った時に見せたゴーレムよりも、完成度が高かった。

 作りだしたワイヤーで骨組みを作り、土の中にワイヤーを通してより動きがなめらかになっていた。そして、更に巨大化できるようになっている。

 繊細な魔力の流れは、シャノンがサポートしているから出来た芸当だ。シャノンもしっかり手伝っていた。

 作り出されたゴーレムが咆吼すると、その背中から腕が飛び出す。背中から生えた手が持っているのは、様々な武器だった。

「まぁ、素晴らしい。それでこそウォルト家の女になるのに相応しいわ。これくらい出来ないとね」

 当然のように言うミレイアも、獅子の武人に飛び乗った。「高い所から見る眺めはいいわね」などと言っているが、魔眼持ちのミレイアには景色など見えないはず。

 ミランダが口を開こうとすると。

「見えているわよ。何しろ、宝玉のサポートを受けているからね。うん、とても新鮮な気分。まぁ、自分が長年住んだセントラルが崩壊するのはなんとも――あ、まったく悲しくないわ」

 最初は悲しそうにしていたのに、崩壊しているセントラルを見てもミレイアは平気そうだ。むしろ。

「さぁ、蹂躙するわよ。蹂躙!」

 楽しそうなミレイアを見るシャノンは言う。

「……ウォルト家っておかしいわ」

 ミランダもそれについては同意見だったようだ。周囲で発生する魔法やスキル的な攻撃が発生する戦場を見て、頷く。

「そうね。私たちなんかよりずっと濃いわ。ノウェムが言葉に詰まるはずね。まぁ……ライエルも助けるみたいだし、私たちも手伝いくらいはするわよ。このまま勝ち逃げみたいな形にされたら、一生勝てないもの」

 ここで死別でもしてしまえば、ライエルの中に一生の傷を残してノウェムはハーレム的な勝者になる。それをミランダは警戒していた。

「決着はしっかりつけないとね」

 そう言って真顔になるミランダに、ミレイアがワクワクしながら。

「いいわよ、ミランダ。それでこそウォルト家の女!」

 シャノンは地面から見上げている父親たちを見ていた。口を開けて間抜けな顔をしている。

「……やっぱり、アレが普通よね? ウォルト家って頭おかしい。私には絶対無理な気がしてきた」

 そう言うシャノンにミレイアは。

「大丈夫! みんなそう言ってすぐに慣れたから!」

 余り嬉しくない情報を伝えるのだった――。





 地上が派手に戦闘しているのを確認しながら、俺はアグリッサに斬りかかった。

 確実にダメージは与えられているが、やはり決定打には足りない。

 ノウェムがアグリッサに取り込まれ、頭部を外部に晒しているのも問題だ。明らかにそこが弱そうなのだが、ノウェムでガードしている。

 地味に嫌な奴だ。性格が悪いと思う。

「アグリッサ、お前――性格が悪いな」

 そう言うと、エヴァがポーターにしがみつきながら。

「今頃気付いたの! 悪いに決まっているじゃない!」

 俺はシャッフルでヴァルキリーズと位置を交換すると、ポーターの真上に出現してそのまま着地をした。

「何事も決めつけは良くない。もしかしたら――かなり厳しい確率だが、実は良い人という事も考えている。まぁ、ノウェムの方が大事だから、良い人だろうと斬るけどな」

 そう言うと、アリアが息を切らしながらポーターの左手の上に出現した。

「あ、あんた……いい加減になんとかしなさいよ。傷は負わせているけど、まったく勝てる気がしないんだけど?」

 傷などをすぐに再生するアグリッサ。こちらに両手を向けると、俺たちの周囲に数千を超える光の球が出現した。どれも高密度の魔力の塊である。

「ちょこまかと五月蝿い蝿が。これで終わらせてやる」

 アグリッサが片方の目を少し大きめに開けており、額に青筋が浮んでいた。

「怒ると皺が出来やすいらしいぞ」

 忠告したら、アグリッサが余計に怒った。

「この数を捌けるなら捌いてみよ! ――そして、私に対する暴言に後悔するがいい!」

 襲いかかる数千の光。確かにワープでは処理できない。俺はヴァルキリーズを近くに戻すと。

「なら、お前と交換で――シャッフル」

「なっ!」

 自分の作りだした数千の攻撃を受けるアグリッサ。やはり、ノウェムのいる胸元を守っていた。攻撃が次々にアグリッサに襲いかかり、爆発が発生して煙に包まれる。

 俺は少し安心した。

「やはりそこだな。良かったよ。下腹部やお尻辺りだったら、絵的に映えないと思っていたんだ。流石にそこが弱点だと俺が困った。アリアを突撃させるしかない」

「私だって嫌よ!」

 男の俺では卑猥に見えてしまう。アリアがやればギリギリセーフだと思ったが、アリアが凄く嫌がっていた。

「仕方ない。ならそうなった時も俺が――」

 クラーラが割と真面目な声で。

「その話題から離れてください、ライエルさん!」

 そう言うので、仕方なく口を閉じた。まぁ、俺がやればどんなに卑猥でも芸術の域に達すると思うから、大丈夫だろう。

 むしろ、俺が既に芸術ではないだろうか? 裸体を晒そうとも、卑猥な目で見られる事もない完成された彫刻のような芸術品。そう、俺は生きた芸術品なのでは――。

「戻ってこい! 妄想に浸らないで戻ってこい、ライエル!」

 アリアに言われて思考を中止する。

「よし、帝国を建国したら俺の裸体の彫刻なり銅像を都に飾ろう。きっと素晴らしいぞ! アハハハ――」

 高笑いをする俺に、不気味な声が聞こえてきた。アグリッサだ。

 アグリッサが爆発に包まれ、煙が晴れてくると流石に痛々しい姿だった。肉から骨が見えている部分もあった。

「――ラァイエルゥゥゥ」

 眉間に深い皺が刻まれているが、すぐに修復していく。やはり、自分の安全も確保した攻撃を放っているようだ。

 性格の悪い奴。

 俺は溜息を吐く。

「はぁ、ヤレヤレ……もう、奥の手で行くしかないか」

「奥の手とかどうでもいいから、早く何とかしてよ! 寒い! 凄く寒いの!」

 高い場所が怖くて震えているのか、寒くて震えているのか分からないエヴァ。俺はノウェムの方を見た。

 首をダラリと下に下げ、自身の鎖骨部分より下はアグリッサに取り込まれている。

「まぁ、やることは簡単だ。何しろ、眠った美女を起こすのは、いつだって白馬に乗った王子様の仕事。まぁ、俺は将来皇帝だから微妙に違うが」

 まぁ、王子でもなければ皇子でもない。しかし、俺という存在自体が特別だから、問題は何もない。むしろ、皇子や王子よりも希少価値のある存在だと思う。いずれ皇帝――なんというプレミアムな響きだろう。

「次期皇帝である俺のプレミアム感は半端ないな」

 そう言うと、ポーターの横で浮んでいるモニカが。

「……プレミアムですか。まぁ、オマケ、って意味なんですけどね。流石です、チキン野郎」

「そう、俺という存在が特別であって、皇帝などと言う肩書きはオマケに過ぎない! と言うわけで、俺は眠り姫――というか、眠った恋人を起こしてこよう」

「……好きにしてください」

 呆れたクラーラの声が聞こえてくる。きっと嫉妬だろう。後でフォローをしておこう。俺はフォローを忘れない男だから。

 しかし、ディープなキスで繋がる俺のスキル……。

 やはり俺は持っている男だと思う。選ばれた男はやはり違うな。

 そう思ってポーターを蹴って空へと飛ぶと、俺はモニカに手を伸ばした。モニカが俺の手を掴み、そのままノウェムのところを目指す。

「眠り姫のキッスは独占しておきたかったのですが。私の最初の大事な思い出なので」

 愚痴を言うモニカに、アグリッサが両手を向けて攻撃を仕掛けようとしてきた。俺は笑いながら。

「一番有効な手段だ。ノウェムと繋がり、意識を呼び起こさせる」

「おや、意外と考えていたのですね。てっきりキスだけしたいのかと思っていました」

 当然、どちらも考えての結論だ。

 アグリッサから魔力の塊がいくつも撃ち出され、その中を進む俺たち。モニカは避け、そして避けられない時は翼から光を放って魔力による攻撃を迎撃していた。

 急激に動くため、モニカが俺を抱えて空を飛ぶ。急降下、急上昇、回転も加わり実に楽しい。

「オートマトン風情がぁ!!」

 アグリッサの苛立ちを見抜いた俺は、地味に攻撃をワープさせてアグリッサに当てる。ヴァルキリーズたちもアグリッサにチマチマと攻撃しており、アグリッサの苛立ちはピークに達しているだろう。

 俺は笑う。

「ほら、どうした。俺はここだぞ、――アグリッサちゃん」

 からかうように言うと、アグリッサがいい加減に我慢の限界に達したのか体中からトゲのような物が突き出てきた。

「もういい! 塵すら残さず――消えてしまえ」

 強大な魔力が出現すると、俺たちに向かって放たれた。その巨大さは俺やモニカ、そしてその後ろにいるポーターやヴァルキリーズたちをのみ込むほどだ。空に向かって放たれたその一撃に、俺たちはのみ込まれる。

「味方から離れれば、ワープも自由には――」

 勝ち誇ったアグリッサの上空から、俺はモニカに手放され接近する。

「悪いな。それは幻だ。スキルを作った割に、三代目のスキルに引っかかる。可愛い、アグリッサちゃん」

 俺はそのまま降下して、アグリッサの目の前に来る。巨大な瞳に自分の姿が映り込むと、横一線に刀を振るう。すると、赤い線が横に入り、アグリッサの目を斬り裂いた。血やドロドロとした液体が噴出する。

 両手で顔を覆うアグリッサ。

「アァァァアァアァアアアァァァアァァァァ!!」

 苦しむアグリッサ、俺はノウェムの近くに着地するとノウェムのアゴに手を伸ばした。あごを持ち上げ、キスをしやすい体勢にするとそのまま唇を重ねる。互いの間にラインが構築された時。

「――ノウェム、お前」

 ノウェムはゆっくりと目を開けた。紫色の瞳が淡く光る。そして、俺を見て微笑むのだった。

「流石ですね、ライエル様。アグリッサを――セプテムをここまで追い詰めるなんて。やはり、貴方は私が見込んだ殿方です」

 優しい声だった。

 ただ、ノウェムとのラインが繋がり、俺はノウェムから流れ込んでくる情報に息をのんだ。

「モニカ!」

「ガッテン!」

 ノウェムから飛び退く俺は、空中でモニカの背中に乗る。そのまま、目を覚ましたノウェムはゆっくりと深呼吸をした。

 ポーターに掴まっているエヴァが、俺に向かって。

「ちょっと! なんで助けないのよ!」

 俺は、クラーラにすぐに指示を出した。

「クラーラ、ポーターの腕を使え! アリアとエヴァはヴァルキリーズに回収させろ!」

 ヴァルキリーズがエヴァとアリアを掴んでポーターから離れると、ポーターはその大きな両手をアグリッサの体に伸ばした。

 目を押さえているアグリッサだったが、ノウェムが溜息を吐くと。

「いつまで遊んでいるんですか? この程度で狼狽える――だから、お前たちは駄目なんだよ」

 ノウェムの目が細くなると、アグリッサが急に動き出した。

「わ、私の体が――」

 ポーターの伸ばした手を、アグリッサの手が掴む。掴み合った状態で、俺はクラーラに叫んだ。

「やれ!」

 クラーラが、ポーターの両腕に仕込んでいた武器を使用した。ポーターの両腕が切り離されると、胴体部分はヴァルキリーズたちが後退させる。

 ノウェムは、その光景を見て笑っていた。

「随分と仕込みましたね。ライエル様がポーターを弄る姿は、とても楽しそうで見ていて楽しかったですよ。微笑ましいですもの」

 微笑むノウェム――。

 次の瞬間、ポーターの腕に仕込んだ杭が発射された。腕は仕込んだ火薬で爆発し、アグリッサの腕が吹き飛ばされる。

 アグリッサが口を開いて叫ぼうとしていると、いきなり体からマスクのような物が出て来て口を塞いだ。

 もがくアグリッサに、ノウェムは埋まっていた体をゆっくりと風呂から上がるかのように裸体を晒して立ち上がった。その手には魔具が握られている。

 腕が吹き飛び、苦しむアグリッサに杖である魔具を突き刺したノウェム。

 アリアがその光景を見て。

「何よ、ノウェムの奴、もしかして取り込まれて――」

 俺はアリアに、そして周囲に向かって。

「違う。ノウェムの奴――アグリッサにわざと取り込まれた。最初から自分ごとアグリッサに止めを刺させるつもりだったんだよ」

 最終的に、ノウェムが目を覚ましてアグリッサを拘束。俺たちに集中砲火をさせて、自分ごと消え去るつもりだった。

 そうする事で、ノウェムは俺が更に強くなる――そう思っていた。力ではない。ノウェムの死を乗り越え、俺が精神的に強くなるのを――そして、立派な皇帝になるよう、導こうとしていた。

「――アグリッサで勝てないから、ノウェムは方針を切り替えた」

 髪留めが外れて長い髪が解放され風に揺れている。ノウェムは俺の言葉に返すように。

「はい。想像以上です。ライエル様はいつもそう。私の期待をずっと裏切り続けてくださいました。それがとても嬉しかった。体を捨て、夢に逃げた脆弱な者たちとは違う。真の人間として、この地球を支配するに相応しい程に。私の計画は――これをもって完了しました。残念なのは、この先を見守ることが出来ない事だけ」

 アグリッサに突き刺した杖を手放し、ノウェムは両手を胸の前で組んだ。まるで祈っているようにも見える。

「あぁ、素晴らしい。オクトー、私たちの計画は成功しましたよ。裏切り者のセプテムを始末もできた。――ニヒル、ウーヌス、ドゥオ、トレース、クァットゥオル、クィーンクェ、セクス……七人全ての女神の末裔もライエル様の下に集った。ライエル様、貴方こそこの星の支配者に相応しい。後は、私自らライエル様の実力を確かめさせて頂きます。大丈夫――手加減はしますよ。ただし、私を殺すまで私は止まりません。私を殺して、ライエル様は完成するのですから」

 ノウェムの瞳は――マジだった。どうしようもなく狂っていやがる。くそっ! 俺はどうしてこういう時に!

 俺の悔しそうな顔を、アリアたちが見ていた。

「ライエル、ノウェムがあんな事を――」

「うん? あぁ、なんか言っているな。正直、内容はどうでもいい。俺はノウェムも愛しているからな。受け入れる準備は出来ている。軽くぶっ飛んでいるが、俺はいつでもウェルカムだ! まぁ、問題があってな……」

 俺の問題。

 それは――。

「……どうやらタイムアップらしい。もっと俺の愛を伝えたかったが、時間切れらしい」

 アリアたちが首を傾げた。そして、クラーラが。

「それはスキルの使用時間が――」

「違う。ソッチは大丈夫なんだが……なんか、テンションが下がってきた。正直、よくあそこまでアグリッサと戦えたと思うんだ。俺、実は凄いのかな?」

 急激に冷めていくような感じと、顔が徐々に熱を持つ感じ。冷静になって今までの自分を省みると、恥ずかしくなってきた。

「……もう駄目。全部忘れたい。空の上で良かった。地上だとみんなに会わせる顔がない……アァァァ!! しまったぁぁぁ!!」

 思い出した。思い出してしまった。

 俺――みんなとラインで繋がっているんだ。

 呼び出した連中と……そう、歴代当主たちと。
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