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セブンス 作者:わい/三嶋 与夢

最終章 ここまで来たぞ 十八代目

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ライエルとセレス

「突破します!」

 クラーラの声が聞こえてきた。

 ポーターのタイヤが回転し、床や絨毯をズタズタにしながら前に進む。荷台に掴まっている俺は、頷いた。

 俺のスキル【コネクション】で繋がっている今なら、意志だけでやり取りが出来る。両腕を振り回して周囲の魔物や騎士を吹き飛ばして進むポーター。

 階段を目指し、そして破壊しながら進んでいくと登り切った場所に大きなドアが見えた。

 謁見の間――セレスが待っている場所だった。

「クラーラ、ぶっ飛ばせ!」

 ポーターに取り付けられた大砲が火を噴く。一発しか使用できないものを二本だけポーターの肩に乗せていたのだ。

 発射された榴弾がドアを吹き飛ばすと。

「ノウェム!」

 ポーターが光のシールドに包まれる。マジックシールドで守られたポーターが突撃すると、かつて大陸で最大国家だったバンセイム王国の威厳を示すための謁見の間が広がっていた。

 広い部屋には、死兵がひしめくほどにいると思ったが……。

「へぇ、面白い玩具ね」

「……やっとここまで来たぞ、セレス!」

 ぱちぱちとやる気のない拍手をするセレスを睨み付ける。ようやく……ここまで来たのだ。

「ふ~ん、そんなに会いたかったの? 私はまったく会いたくなかったけど、この世からお前を消せると思うと……やっぱり会って良かったのかしらね。褒めて欲しい? 凄く頑張った、って。でも、私はあんたが大っ嫌いだから褒めてあげない」

 再会したセレスは、相変わらずの様子だ。アグリッサに操られているように見えては、決意が鈍るかと思ったがそんな事はない。前を見ると、セレスが豪華な玉座に体を斜めにして太々しい態度で座っていた。

 乗り込まれたというのに、あまり驚いた様子もない。むしろ、楽しんでいたようだ。

 視線を巡らせれば、周囲にはバンセイム王国の重鎮たちが整列して立っていた。その後ろには見た事もない魔物の姿が……。

 そして、玉座の後ろには王、そして王妃と王太子ルーファスが隠れるように震えていた。ポーターの姿に驚いたのだろう。

 そして、懐かしい姿が確認できた。俺のスキルに反応しない存在が二つ――セレスの隣を固めていた。

 セレスを睨み付け、無刀剣の柄を握りしめた。

「……父上の人形を作り出したのは知っていた。だが、母上の人形がどうしてここにある」

 セレスは、上半身を少し起こした。俺の方を見て機嫌を悪くする。

「乗り込んできて不躾に質問? まぁ、いいわ。お母様は私とずっと一緒なのよ。だから、一時的に死んで貰ったの。そうすることで、永遠に一緒にいられるわ」

 笑顔で答えるセレスに愕然とした。人形のような母が、隣で微笑んでいる。ただし、目は死んでいた。

「そうね、セレス。ずっと一緒よ」

 周囲の敵は動く気配がない。俺はポーターの荷台から飛び降りて、謁見の間を歩いてセレスに近付く。

「母上を殺したのか!」

 眉間に皺を寄せるセレスは、俺の方を見てイライラしながら。

「一時的、って言葉を知っているのかしら? それより、あんたの顔を見ているとイライラするのよね。お父様、お母様……私、アレの首を蹴って遊びたいわ」

 本気でそう思っているセレスは、両親に命令して俺の命を取りに来た。操られた両親が、俺に飛びかかってきた。

 父が――。

「そうか。では、これの首を蹴って一緒に遊ぼうか、セレス」

 母が――。

「家族で遊びましょう。楽しみね、貴方、セレス」

 笑いながら俺の方に飛びかかってくる二人を、俺は無刃刀を横に振るって斬り裂いた。間合いを読ませない武器であるために、両親は容易に斬り裂かれる。

 ただ、セレスは笑っていた。

「その程度じゃ止まらないわよ」

 しかし、俺だって分かっている。分かっているのだ。左手を少し上げた俺は、指を鳴らす。

「それがどうした。グレイシア」

 七代目の三段階目のスキル【シャッフル】――これは、自身と相手の位置を交換するスキルだ。荷台から降りてきたグレイシアと、俺は位置を交換したのだ。

「……義理になるとはいえ、私にも両親だ。すぐに終わらせよう」

 グレイシアが左手を横に振るうと、青白い炎が二人を焼き尽くした。断末魔は聞こえない。ただ、人形が焼かれているだけ。それが、両親の姿を模していただけ。

 しかし、セレスは動じない。

「酷いわね。両親を殺すんだ。この外道」

 笑うセレスは、玉座から立ち上がった。右手に持っていたレイピアが仕込まれている杖を掲げる。柄の部分には黄色の宝玉が確かにあった。

「また後で復活させればいいとして。あんたたちは邪魔ね。ご飯の時間よ、お前たち」

 重鎮たちの後ろにいた魔物たちが動き出す。雄叫びを上げ、そして目の前にいた重鎮たちを喰らって大きくなった。

「アハハハ、凄いでしょう。私が特別に作ったのよ。他の連中を食べちゃうくらいに凶暴だから、注意してね」

 俺は無刀剣の柄を握りしめると、首飾りに戻した。首にかけ、そして腰に下げたカタナを抜く。

「セレス、やっぱりお前は生きていてはいけない。ここで終わらせてやる」

 俺の言葉に、セレスの顔が歪んだ。

「私の名前を気安く呼ぶんじゃねーよ!!」

 口調が荒くなり、大声で怒鳴るセレスに合わせて周囲の魔物たちが飛びかかってきた。激怒するセレスを見ながら、俺は戦う覚悟を決める。どこかに恐怖があった。だが、今は一人で立ち向かうのではない。

「……全員、準備は良いな」

 意思を確認する。

 ノウェムが返事をした。

「はい。いつでも」

 アリアも槍を構えながら。

「ここで終わらせないといけないんでしょ? なら、さっさと終わらせるわよ。決着をつけて、もう終わりにしましょう」

 ミランダは短剣を抜くとゴーレムを作りだした。猫科の大きな動物の姿で、その背にはシャノンが乗る。

「いつでもいいわよ。そのために準備をしてきたんだし」

「……なんで私も強制参加? 早く帰りたいからすぐに終わらせて。怖いの。相手が私を睨んでいるから怖いの!」

 涙目のシャノンにオロオロするのは、エリザだ。

「だ、大丈夫だぞ、シャノン。私もフォローをするから。えっと、準備は出来ている」

 最後だけキリリとした表情で杖を肩にかけたエリザだが、しまらない。シャノンを見ているセレスが、忌々しそうにしていた。

 クラーラは、ポーターの中から。

「こちらも準備は出来ています。ポーターも絶好調ですよ」

 エヴァは興奮気味に。

「最高の場面に参加できて嬉しいくらいよ。絶対に勝って英雄歌を作ってあげる」

 メイはこの場にいない。だが、セントラルのどこかでマリーナさんと戦っているのは分かる。ヴェラは外で指示を出しながら戦っていた。モニカも、オートマトンの足止めをしてくれている。

 グレイシアが、柄の部分に盾のついたランスを構えながら。

「一度見れば分かる。アレは厄介だ。なる程、私たちを揃えるわけだ。期待には応えよう」

 最後にルドミラが長剣を抜いて赤く細い刃をセレスに向けながら。

「これだけの面子がいるなら、負けることもあるまい。早く終わらせて色々と話を進めよう」

 その色々という話の部分は進めたくないが、終われば強制的に色々と話が進むのだろう。

 気持ちを切り替えた俺は、全員に言う。

「行くぞ!」





 ――セントラルの街中。

 建物を破壊しながら戦うのは、メイとマリーナ――そして、黒い麒麟のルメルだった。

 大口を開けたルメルの上下のあごをマリーナが口の中に入り込んで両手で塞ぐ。

「こいつ、なんてタフなんだい!」

 斬り裂いて、叩きつぶして、魔法で黒焦げにしてもすぐに再生する。近くにいた死兵を喰うと、魔力を補給でもしているのか、すぐに欠損した部位を元通りにするのだ。

 メイが上空から回転しつつ勢いをつけ、ルメルの首辺りに鋭く威力のありすぎる蹴りを叩き込むが――。

「硬いなぁ」

 ビリビリとした痛みを感じながら、メイはルメルから離れた。衝撃でマリーナも口から放り出され、地面を滑るように着地するとルメルを見る。

 地面にめり込んだ体を手足で無理やり起こし、どこか骨が折れたのか吹き飛んだのかした部位があるようだ。

 周囲を見て死兵を呼ぶ。すると、わらわらと死兵がルメルに近付いて食われた。

 バキバキと音を立てて食べ、そして再生するとルメルは雄叫びを上げる。

「ちっ、さっき周りにいた死兵共はある程度減らしたのに」

 マリーナが舌打ちをするが、周囲は死兵で溢れているのだ。周辺の死兵を倒した程度では、すぐに集まってくる。

 メイは蹴った足をプラプラさせると、地面を踏みしめた。

「希少金属まで練り込んであるよ。本当に人形だね」

 ルメルがメイに飛びかかると、大きな手で上から下に振り降ろしを行ってきた。

 メイは飛び退いて避け、そして頭部。耳の上辺りから後ろに伸びた鹿のような角を光らせ、魔法をルメルに叩き込む。

 紫電がルメルを襲うが、表面を焦がす程度であまり効果は見られない。同じ麒麟だけあって、耐性もあるようだ。

「周りは餌だらけ、しかも体力は無尽蔵……これは、本当に厄介だよね。君、なんでセレスに捕まったの? 勘弁してよ」

 ルメルが持つ大きな口。だが、メイの言葉に返事をする事はなかった――。





 ――一体のオートマトンであるバートを相手にするモニカ、そしてヴァルキリーの一号、二号、三号。

 両手持ちのガトリングから逃げ回っていた。光学兵器であり、当たれば容易とはいかないまでも、特注の鎧すら溶かして貫いてしまう。

 あまり攻撃を受けたくないため、バートが上の階を気にして柱をあまり攻撃しないのを確認し、モニカたちは柱を利用しながら攻撃をかけていた。

 モニカは、服がボロボロになっていた。

「ダメージを与えても、懐に持った魔鉱石で回復。あれだけの攻撃を続けても魔鉱石で回復。最低な奴ですね」

 違う柱を見れば、二号が片腕を失っていた。反対側では三号がバインダーを盾代わりにしていたため、すでにバインダーを失い全身がボロボロだ。

 モニカの近くにいる一号も、鎧の表面が溶けている部分がある。一号はモニカに。

「……このままでは、ご主人様のところにあいつを通してしまいますね」

 バートは、柱に隠れるモニカたちを攻撃するために回り込む。圧倒的な火力で攻撃してくるバートを前に、モニカも計算をすると確かにまずい状況だ。

「それだけは認められません。チキン野郎のところにこいつを通してしまえば、切り抜けたとしても確実に被害が出ます。そんなの、絶対に認められません」

 ライエルは犠牲が出れば悲しむ。

 すぐにモニカはそれを予測し、そして最良の選択をはじき出した。

「元から我々は作り物。ならば、選択肢など一つです」

 モニカが回り込んできたバートから逃げるために移動をすると、一号もそれに続く。

「貴方がいなくなってもご主人様は悲しみますよ」

「ふっ、一生心の中にモニカは住み続けるので大丈夫です。それに、他を犠牲にするなど、私の美学が許しません」

 一号がクスリと笑う。

「なにか?」

「いえ、たいした美学ですね。他は犠牲にしても、自分の周りだけは犠牲を出させないという身勝手な美学です」

 後ろから迫るバートは、モニカたちを見ながら。

「お喋りとは余裕ですね。すぐに終わらせて差し上げますよ!」

 また魔鉱石を砕き、攻撃の威力を高めてきた。床の一部には穴が開き、そして溶けた部分をモニカと一号が飛び越えて移動する。

 モニカは、一号に言う。

「悪いが付き合って頂きます。私一人でアレを道連れには出来ません。……申し訳ないですが」

 すると、一号は首を横に振った。モニカと同じ顔、そして同じ髪型のツインテールが揺れた。

「構いません。無為に過ごすよりも、ずっと良かった。私たちには意味があったと、貴方が教えてくれましたから」

 モニカは、立ち止まるとバートに振り返る。

「では、行きます!」

 最後の試験管を取り出して飲み干すと、モニカは両手に武器を取り出した。バートがソレを見て笑う。原始的すぎるハンマーだ。ジェットエンジンが取り付けられたお遊びのような武器。

 ソレを見て勝利を確信したのだろう。

「最後まで舐めた態度ですが、そこまで貫けば一種の美学ですよ。さぁ、消し飛びなさい」

 両腕のガトリングをモニカと一号に向けると、その前にボロボロになった二号と三号が飛び出した。

「自爆? やはり、変態国家のすることは同じですね。特攻ですか!」

 容赦なく引き金を引かれ、二号と三号は光学兵器に貫かれ、溶けていくのだった。その体に隠したコアごと――コアがなければ、彼女たちヴァルキリーは蘇らない。

 しかし、二号も三号も、バートのガトリングを手で掴むと。

「いい加減にして欲しいですね。人を貶さないと自分の価値を確認できないのですか?」

「構って欲しいからと文句ばかり……まぁ、今となっては国などないのですけどね」

 二号と三号の言葉に、バートが大声を上げた。その表情は憤怒を表わしていた。

「言うなぁぁぁ!!」

 二号と三号は、笑いながら胸に隠した魔鉱石を使用し……爆発した。

 バートも吹き飛ぶと、両腕を失っている。ガトリングも失うが、内ポケットから魔鉱石を口で取り出し破壊すると腕が再生された。

 しかし、今度はモニカと一号がバートに向かって駆けてきた。二号と三号が作りだした爆発による煙の中を駆け、バートに接近したのだ。

「私と、一号の自爆なら貴方を消すことくらい!」

 モニカが近付くと、バートは自身の身長を超えるようなライフルを取り出す。光学兵器のライフルタイプのようだ。

「消えろ、紛い物共が!」

 バートが引き金を引くと、モニカはその攻撃を利用して爆発を起こそうとしていた。しかし、そんなモニカを一号が左手で押しのけ光学兵器を受ける。バインダーで受け止めるも、ガトリングより一撃の威力があって一号の下半身が溶けてなくなった。

「なにを……」

 モニカが驚くと、バートは次を撃つために魔鉱石を取り出していた。一発につき、一個を消費するようだ。

 一号は自分の胸に手を入れて魔鉱石を取り出すと、モニカに投げた。

 そして、一号が両腕をバートの腕に向けて放った。ワイヤーが二の腕から伸び、手はバートの両腕を掴む。

「何をして――」

 モニカが魔鉱石――ペリドットを受け取ると、一号はモニカの方を見て微笑む。

「貴方は残りなさい。その方がご主人様も喜びます。それとこれは伝えて欲しいのですが――」

 一号がバートを拘束すると、モニカは魔鉱石を砕いた。キラキラとした光が発生し、モニカのダメージを回復させる。

 バートは、一号を振りほどいてその頭部を掴んだ。

「この、ゴミがぁぁぁ!!」

 コアごと握りつぶされる一号は、そのまま砕け散った。それを見たモニカは、迷宮で――オクトーがライエルを呼び出した迷宮の部屋で、砕けた一号のコアを持った姉妹を思い出した。

 最後に、一号は笑っていた気がする。

「……掃除を開始します」

 モニカの服が光ると、白く染まってメイド服ではなくなった。まるでウェディングドレスのような形状になると、モニカの背中から白い翼が出現する。翼は金属。羽一枚一枚が、兵器という武器だった。

 バートがライフルでモニカを撃つが、容易く避けられてしまう。そして、開いた翼によって空中に浮ぶモニカは、両手を広げた。

「フルクロス――憧れのウェディングドレスですよ。まぁ、貴方には終わりを告げる使者にでも見えるでしょうが」

 バートが魔鉱石を取り出すと、広がった翼から次々に光が放たれる。バートのライフルを、そして腕を撃ち抜いて溶かしてしまった。

「お前なんかに見せる気はなかったんですよ。でも、出さないと勝てない。それに、切り札の一つだったのに……」

 光が再生するバートを撃ち抜いていく。しかし、バートは。

「高純度の魔鉱石……だが、そんな事をしてもすぐに限界が来る!」

 バートの言うとおりだった。すぐにフルクロスは消え、いつものメイド姿に戻るモニカ。バートが立ち上がると、武器を取り出そうとして。

 モニカが腕に取り付けたドリルで、バートを壁に縫い付けた。腹部をドリルの先端で貫かれたバートは、なんとか逃げようともがく。

「こ、この!」

「確かに、姉妹が貴方の隙を作ってくれたから可能な手段でした。使える時間も限られています。ですが、もう十分です」

 ドリルが回転を始めると、バートを破壊し続ける。それを再生するために魔鉱石が消費されていく。

「や、やめろ! やめろぉぉぉ!!」

 万全の状態であれば逃げられたバートだが、今のままでは逃げ切れない。それに、魔鉱石の数がもう少なかった。あれだけあった魔鉱石が、大量に消費されていた。

 モニカは無表情で。

「言い忘れていました。貴方、生産された国を誇っていましたね。だから言っておきます。私は全てのパーツが純国産ですが、貴方……祖国のパーツは二割にも満たないですよね? 他八割が海外製なのに、よく大口が叩けたものです」

 バートの顔が歪み、両手で回転するドリルを押さえようとするが手が削られるだけだった。

 モニカは続ける。

「ほとんど中身は外国製品。しかも、重要部分は私たちと同じパーツです。つまり、見下していた私たちと同じパーツで動いているわけですが……それって恥ずかしいですか? まさか、自分をも卑下する高等な自虐ですか?」

 ドリルの勢いが増すと、バートは魔鉱石がなくなったために叫ぶ。

「セレス様ぁ! 魔力を――この執事に魔力をぉぉぉ!!」

 セレスの魔力があれば再生できると思ったバートだが、ドリルはめり込んでバートの腹部を完全に破壊した。

 火花が飛び散る中、バートの表情が青ざめる。

 モニカは無表情で。

「その表情の豊かさも、再現しているパーツは私と同じパーツですよ。正直、私からすれば……紛い物は不良品混じりの外国製品を使用した貴方です」

 バートが口を開こうとしたが、ドリルによってバートの体が削り終わった。首が地面を転がると、バートがモニカを見上げようとした。

 モニカは、そのままバートの顔を踏みつぶす。

「スカートの中を覗いて良いのはチキン野郎だけです。消えなさい」

 すると、バートが機械的な音声を出す。口は動いてはいない。

「い、いやだ。せっかく主を得られたのに……こんなところで消えたく……な」

 コアを見つけたモニカは、問答無用でバートのコアを踏みつぶした。

「あまり手間をかけさせないでください。チキン野郎が魔力をこちらに分けてくるから、気を使うじゃないですか。まぁ、素晴らしかったのは私の主人のようですね」

 最後にドリルを使用していた時、モニカはライエルから魔力が流れ込むのを感じていた。

 ドリルから煙が出ていた。モニカはドリルから手を離すと、周囲を見渡して姉妹たちの残骸を見た。

 一号のパーツのところに向かうと、モニカは座り込む。

「……しっかり伝えますよ。『人にお仕えできて良かった。私たちに存在した意味をくれてありがとう』と」

 モニカは目を閉じると、すぐに開いてライエルの下に駆け出すのだった――。
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