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セブンス 作者:わい/三嶋 与夢

逸話とかかなり曲解されて伝わっているかもね十二代目

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脅迫

 ガレリア公国。

 その公王代理であるグレイシアさんの前で、俺は笑みを作っていた。

 内心ではヒヤヒヤしているのだが、そんな内情を知られれば交渉など出来ない。

 公王の屋敷。

 その執務室で、俺はグレイシアさんと二人で向き合っていた。俺よりも二歳年上だが、雰囲気や貫禄が違って見えるのは、国を背負っているからだろう。

(ロルフィスの王女殿下とも、聖女であるアウラさんとも違うな)

 豪華な椅子に座り、机の上に並んだ書状を見て眉間に皺を寄せていた。そこに並んでいるのは、ザイン、ロルフィス、そしてベイムからの紹介状だった。

 ザインとロルフィスは、容易に書状を書いてくれた。フィデルさんは、俺がガレリアに仕官するのだと思ったのか、喜んで紹介状を書いてくれた。「これでお前の顔を見ずに済むと思うと、ぐっすり眠ることが出来そうだ」などと言うあたり、煽りすぎたのではないかと不安になってきた。

 別に俺が仕官するとは言っていないのだが、フィデルさんは勘違いをしていたようだ。それが面白いと、歴代当主たちはわざと黙っているように言ってくるから、こちらも質が悪い。

 銀色の髪を後ろでまとめ、溜息を吐いたグレイシアさんは俺を睨みつつ背もたれに背を預けた。

「何が望みだ。金か、女か? 貴様ほどの冒険者なら、地位を得るならガレリアでなくともいいはずだが?」

 机の上にある最後の書状は、ルソワースの女王であるエルザさんからの手紙だった。伝令役の冒険者から奪い、それをネタにこうして二人で交渉しているのだ。

 確かに、ガレリアは領主たちの集まりである。

 仕官をするなら、ルソワースの方が待遇は良くなるだろう。だが、それでは成り上がるのに時間がかかってしまう。まだ、融通の利くガレリアでなければ、俺たちの計画はスムーズに進まないのだ。

「仕官を希望します。それと、俺の方で書状の受け渡しを引き継ぎますよ。あの冒険者、元はガレリア公王家の家臣だったとか……街で追い回され、手配書も出回りましたからね。この辺りでは活動出来ませんよ」

 忌々しそうに俺を見るグレイシアさんだが、俺を殺そうとは考えていないらしい。何しろ、俺には仲間がいる。俺一人を殺しても、仲間が動けば危険だと判断したのだろう。

「……敵の策略だな。まったく、ルソワースの魔女も汚い手を使う」

 相手の策略だと言いだしたが、俺は笑みを浮かべつつ。

「そうですか。では、今後は手紙の受け渡しをしないまま戦争ですかね? 疲弊する両国を眺めつつ、ザインとロルフィスをけしかける事も考えないといけません」

 グレイシアさんの目が細くなり、一気に部屋が殺気で充満した。息苦しい。まるで部屋の温度が一気に数度も上昇した感覚だった。

 グレイシアさんは、悔しそうに。

「ザインの聖騎士、名前の割に随分と汚いじゃないか。……何が望みだ」

 俺は笑みを崩さぬままに。

「ガレリアの全てを。もっとも、全てと言っても俺はガレリアを欲してはいません。ザイン、ロルフィスと同じように、同盟なり連合を組んで貰います」

 その話を聞いて、グレイシアさんが俺を見て納得がいったようだ。

「両国が急に接近したのはお前のせいか? 余計な事を……こちらはお前たちが余計な事をしなければ、ルソワースと争うだけで良かったというのに」

「ルソワースを吸収するとは考えていないんですね」

 グレイシアさんが鼻で俺を笑う。

「元は領主貴族。しかも名門のウォルト家と聞いていたが、買いかぶりすぎたか? ……領地を広げるのは大事だが、何事にも面倒がつきまとう。領地の分配。領地替え、その他諸々の仕事……下手をすれば、内乱も起きかねない。そんな面倒よりも、現状維持の方が無難ではないかな?」

 ここ最近。特にガレリアを中心に情報収集を進めていた。そして、俺たちはガレリアの抱える問題にも気が付いていた。

 それは、統治するシステムが現在の状況に合っていないのだ。

 数十年。もしくは百年前でなら、それで良かった。

 ガレリア公王家が周辺では力も強く、周囲が極端に弱かったからだ。そのため、公王家に協力する代わりに、公王家は周囲に支援をしてきた。

 戦場となった領地の領主に、公王家が金を無利子無担保で貸しているのも慣例となっている。

 だが、この数十年で周辺領主たちは力を持った。代わりに、公王家は力を大きく失ったのである。当然だ。内政に回す余力が、周辺領主や戦争で奪われているのだから。

「無難でもありませんね。俺にしてみれば、このまま疲弊しているだけに見えます。戦争を重視しすぎですよ」

「……言われずとも分かっている。だが、外からはそう見えていても、中から見れば違った見方もあるものさ。こちらの現状を知っているなら話が早い。ガレリアをお前らの側に引き入れるのは止めておけ。公王代理の私が言うのもなんだが、ガレリアは敵国がいてまとまっている国だ。敵がいなくなれば、確実にお前たちに噛みつくぞ」

 そうさせないために、俺たちは面倒な手段を取ることにしているのだ。

 両国を吸収すれば、また統治に時間がかかってしまう。下手をすると、内部に敵を抱える事になりかねない。滅ぼした国の騎士たちが、手に入れた領地で暴れるなど悪夢だ。

 何しろ、敵の方が地理に詳しく、下手をすると現地人も味方になる。

「ま、その辺も色々と対策を考えていますよ。それに、俺は別に戦争で勝つのが目的ではありませんからね」

「どういう意味だ?」

「仕官させるのは【ミランダ・サークライ】と【シャノン・サークライ】に【クラーラ・ブルマー】そして【モニカ】の四名です」

「……お前は仕官しないのか?」

「しませんよ。だって、俺は手紙の配達という仕事もありますし。あ、お手伝いはしますけどね。ロルフィスの領地にいますから、何かあればそちらに声をかけて貰えればいいです。モニカに伝えれば、俺の方にすぐに連絡も来ますけどね」

「お前、何がしたいんだ?」

 俺は笑顔で。

「ガレリア公王家には、以前のような力を持って頂きます。それと、全てが上手くいったら港を作って貰えません? 海があるのに利用しないのは勿体ないでしょう」

 グレイシアさんが頭を抱えそうになっていた。

「海も領主の利権で色々と複雑なんだよ。領主自体が海賊行為をしているところもあるんだぞ」

「説得しましょうよ。まぁ、すぐに出来なくてもいいので、そちらは後日にでも」

 グレイシアさんは俺を見て、嫌そうな表情で。

「まだ雇うとは言ってないんだが?」

「雇わなければ色々と面倒ですよ? それに、俺は別に俺だけの利益を求めていません。上手く行けば、戦争をせずにルソワースと和解できるかもしれませんよ」

 それを聞いて、グレイシアさんが難しい表情をしつつ俯いた。しばらくして、諦めた表情で顔を上げると。

「……エルザとは互いに憎からず思っている。お互い、相手がいなければ殺されていてもおかしくない立場だからな。一方的に潰すと言わないところは気に入った。仕官も認めよう。ただ、お前が裏切るような行動を見せれば、お前の仲間は死ぬことになる」

 俺もそのつもりだ。グレイシアさんに仕官する俺の仲間は、グレイシアさんの家臣になると同時に、俺にとっての人質なのだ。

 これで、グレイシアさんも俺を信用せずとも、手の中に人質がいれば多少は安心するだろう。

 まぁ、俺が裏切ることはないのだが。

「すぐに四人を連れてきますよ。ミランダはなんでもこなします。モニカもですが、あいつは家事万能なのでメイドとして扱ってください。クラーラは知識量が凄いですね。シャノンは……ミランダの手伝いで」

 グレイシアさんは、そんな俺の説明を聞いて不安そうにする。

「おい、ちゃんと役に立つんだろうな?」

「有能なのは保障します」

 そう、彼女たちは有能だ。まるで蜘蛛のような女性でも、そして魔眼以外はポンコツでも、メイドとしても間違っている存在でも、本が好きでそれ以外が多少問題ありでも……彼女たちは優秀だ。

「……優秀です。彼女たちは優秀です」

「なんで二回言った?」

 グレイシアさんは少し不安そうにするのだった。





 ミランダたちをガレリアに残し、俺は滞在する村に戻った。

 ノウェムが久しぶりに家事をしている姿を見て、少し良い! と思ったのは内緒である。

 建て直された家で、俺はメイド服を着たヴァルキリー一号、二号、三号を見る。

「こいつら、なんで桶に水を入れてそれを持っているの?」

 部屋の中、一号が水の入った桶を持ちながら、無表情で俺に説明してくれた。

「あのモニカを超えるために家事を行なったのですが」

 続いて二号が。

「購入したお皿を割ってしまい」

 最後に三号が。

「こうして罰を受けております」

 それを聞いて、流石にやりすぎだと思った俺は、ノウェムに対して。

「少し厳しくないか?」

 ただ、ノウェムは微笑んでいるが、絶対に譲らないという意志が感じられた。三体を許さないらしい。

「駄目です。お皿全てを破壊したのなら問題ありませんが、最終的に三体で皿を投げ合っていましたからね。誰が仕事をするのかで喧嘩したんですよ。おかげで余計な掃除まで増えてしまいました」

 俺が三体を見ると、三体とも視線を逸らした。

(……モニカの姉妹もポンコツかよ)

 ノウェムは、俺が戻ってきたのでガレリアの件を聞いてきた。

「ライエル様の方はどうでしたか?」

 俺は頷きながら。

「予定通り、かな。どうにも思っていた以上に中にいると状況が見えていないというか……いや、ガレリアの内部から見たら真剣なんだろうけど」

 外から見れば、もっと上手くやれと言いたい。しかし、内部から見れば違った見方も出来るかも知れない。その辺の判断は、ミランダに任せる事にした。

「ガレリアに最初に接近して、その後にルソワースですか。上手くいくといいですね」

 ノウェムの言葉に、俺は肩を落とした。

「上手くいかないとルソワースは滅ぼすしか道がなくなる。それは絶対に避けたいからね」

 国を滅ぼすというのはとても面倒だ。

 それを出来るだけ回避しつつ、戦力を温存させてこちらに引き込む。難易度が高すぎて厳しいのだが、なんとかやれない事もない。

 俺は、ノウェムを見ながら。

「ルソワースに入り込むときは、ノウェムたちにも頑張って貰う。あの迷宰相をどうにかしたいところだけどね」

 ルソワースの内情も徐々に集まり始めていた。だが、聞けば聞くほどに、宰相が中央とその周辺でしか尊敬されていない事が分かってくる。だからこそ、厄介でもあるのだ。中央では人気が高いという事だ。引きずり降ろすにしても、その人気が厄介なのである。

 ノウェムは、俺に頼られるのが嬉しいのか、笑顔で。

「お任せください、ライエル様」

 そう言うのだった。





 ――量産型であるヴァルキリーズの三体が、ガレリア公王家の領地で調査を行なっていた。

 ローブを纏い、ガレリア公王家の紋章を持つ三体を、誰も咎めようとしない。

 そんな三体が訪れていたのは、雨が降ればすぐにでも氾濫しそうな川であった。

「ここを改善すればすぐにでも国力は回復するのでは?」

 一体がそう言うと、もう一体が指を指した。バイザーをしているので表情は見えないが、あまり面白くなさそうだ。

「公王家の領地と他家の領地との境目です。この場だけを対処しても難しいでしょう」

 残りの一体が、周囲を見ながら。

「水場があれば人が集まる訳ですが……そうなると、領主たちも多いわけですか」

 少なくとも、その場だけでガレリア公王家と他家が二つも川を接して隣り合っている。川の利権もあって、対策を講じるのは難しいと何十年と放置された場所だった。

「……情報をご主人様に送ります。あの忌々しいモニカが情報をまとめるのは嫌ですが、ご主人様の負担を考えれば仕方のないこと」

 悔しそうに量産型の一体が、ライエルとのラインを使用して情報を送るのだった――。





 ――ガレリア公王家屋敷。

 部屋の掃除を嫌々やっているモニカは、溜息を吐く。

「あの劣化品共が……私のチキン野郎に色目使いやがって。画像データは重いから送るなと何度も説明したのに」

 ブツブツと文句を言いながら、金髪のツインテールを揺らしながら部屋の掃除をしていた。モニカ的にはいつもより雑だが、その仕事ぶりに周囲は満足しているようだ。

 周囲からも仕事が丁寧だと評判が良かった。

 ただし、事情を知っているミランダたちからすれば、本人のやる気がないのは一目瞭然だった。

 呆れるミランダは、ソファーに座りながら足を組み替えてモニカに言う。

「モニカ、あんたはライエルに大事な仕事を頼まれたんだから、ちゃんと仕事をしなさいよ。というか、公王家とか言っても領地的には周囲の中で一番大きいだけね」

 書類などを整理するミランダは、モニカが調べてくる領地の内容を確認しながら今後の方針をまとめていくのだった。

「……治水をすれば結構早い内に国力が回復しそうですね」

 横から書類を覗いていたクラーラが、そういった意見を口にする。だが、出来るならグレイシアも最初からやっているだろう。

 ミランダは額を手で押さえ。

「領地が微妙な位置ね。しかも、利権とかで揉めているみたい。これ、放置したくなる訳だわ。治水をするにしても、誰がどれだけお金を出して、利権がどうなる、ってだけで数十年揉めるとか……馬鹿じゃないの?」

 クラーラは、ミランダを見ながら。

「無理ですかね? この地形なら、いくつか治水の方法も本で読んだので知っているのですが」

 ミランダは資料に目を通しながら。

「公王家に従ってはいるけど、自分の利益のためなら武器を持って戦うでしょうね。こっちが治水を全部引き受けて、今まで通りの利権を維持する、って話も蹴っているみたい。失敗した場合の保障とかその辺の取り決めとか……うわ~、これはやる気なくすわ」

 クラーラもミランダの話を聞いて酷さを実感したようだ。

 ライエルがミランダたちを選んで送り込んだが、この状況をどうにか出来るとはミランダも思えなかった。

 ミランダはモニカに。

「それで、ライエルからは何か連絡があった?」

 すると、モニカは嫌そうに振り返りながら。

「……できる事からすればいいそうですよ。とりあえず、レオルド君に内政面で実績を積んで貰う事になるかと。開拓村を二つから三つ用意させろと指示が来ました」

 モニカはそれだけ言うと、溜息を吐いて仕事に戻るのだった。

「……チキン野郎が、私の料理が恋しくて泣いている気がする」

 などと文句を言っているが、ミランダは無視する。

「ま、出来る事をするしかないのは分かるけど、小さな村が二つから三つ出来ただけで現状が変るかしら?」

 ミランダはライエルの指示通りに、レオルド主体で開拓村に取りかかるという計画を考えるのだった――。





『世の中は冷たい。特に、世間を知らない若者には非常に冷たい。だが、世間を知らない若者の言葉に説得力がないのも事実!』

 宝玉内。

 四代目の抗議を聞きながら、ガレリアの現状打開策を教えて貰っていた。

 俺は手を上げて。

「あの、それで開拓村とどう繋がるのでしょうか?」

 円卓の間。

 円卓の上には、ガレリアの立体的な地図が表示されていた。細い棒状の物を使用し、四代目がある部分を差し示した。

『現状、ここを改善すれば大きく国力は回復するのは分かりきっている。他にも色々と改善出来る点は多いが、一番はここだ』

 他家と領地が入り組んでいる場所で、どうにも治水が出来ない場所でもあった。

「色々と理由をつけて治水させてないみたいですね。俺ならすぐに取りかかりますけど」

 そんな事を言うと、四代目が棒をピシャリと円卓に叩き付けた。

『甘い! 甘すぎるぞ、ライエル!』

「え、そうですか?」

 俺の甘い考えを、四代目は否定するのだった。

『治水工事にどれだけの時間と金がかかると思っている? 人手もそうだ。それを実行して――失敗しました――ではすまされないんだよ。領主は失敗して酷い状況になるなら、いっそ手を付けないことを望む』

 正直、その感覚が理解出来なかった。地図を見る限り、いくつかの方法で治水は可能だった。氾濫する川をこれでなんとか出来るなら、実行した方が絶対にいいのだ。

『というか……今のガレリアに治水に関してスペシャリストがいるかな? 内政面でも良いよ。現状維持はできても、これ以上の発展は望めそうかな?』

 俺は少し考えて。

「いませんね。ある程度の家臣の人たちを調べましたけど、ほとんどが戦闘に特化しているというか……」

『そう! この豊かな土地にあぐらをかき、今までなにもしてこなかったガレリアは最低だ! 俺の時なんか、何もなくて大変だったのに! 土地なんか荒れ地が多くて、しかも産業はなくて、特産品もない。何もない土地をいきなり渡され男爵だぞ。今にして思えば、陛下が嫌な奴に思えてきた』

 そんな事を言う四代目に、三代目が爆笑しながら。

『遅い! 気付くのが遅いよ、マークス!』

 四代目は眼鏡の位置を正しながら。

『俺もそれだけ忙しくて、他の事に気が回らなかったんですよ。さて、それでは問題です。そんなガレリア公王家が、治水をするから協力しろと言ってライエルは信用するかな?』

「しませんね」

 確かに、不安要素の方が多い気がする。というか、逆に触らないで欲しいと考える領主たちの気持ちが分かった。

『そこで実績作りだ。丁度この辺に手頃な土地がある。治水も必要だが、それを行なえば村がいくつか出来るだろうね』

 指し示された場所は、すぐに氾濫する小さな川が流れる場所だった。そして、そこには魔物も多く、開拓するには大変だと手がついていない場所だったのだ。

「ここを開拓ですか?」

『そうだ。治水も必要だし、それなりの難易度……これが成功すれば、レオルド君の実績になる。安定するまで数年は必要だが、形が出来れば問題ない』

 レオルド君に実績を積ませるのが重要らしい。

 そうする事で、レオルド君が内政向きの人物として認識される。戦争が嫌で、内政に力を注ぎたい領主たちがレオルド君に集まる、もしくは指示をすると言うのだ。

「成功しますかね?」

『させるんだよ。ライエル、お前……魔法が使えるだろ? しかもヴァルキリーズとかいるじゃない』

「え? でも、あんまりこういう事に魔法を使うのはよくない、って!」

『誰も見ていなければ問題ないんだよ! ある程度の基礎はこっちがやって、残りは任せるの! というか、魔法使いの教訓は、全部を魔法で片付けるな、って事だから! 基礎を作って人を入れて作業させれば、村なんか簡単にできるんだよ! ……まぁ、一番の問題は、それを維持することなんだけどね』

 世の中、維持するというのが結構難しいらしい。状況の変化もあるが、村など魔物が出現して滅ぶことも多い。

「実績を作れば、その後は本命に取りかかれると?」

『その可能性が高くなる。小さくとも実績があるのとないのとでは、説得力が違ってくる。あと、内政で活躍した歌をエルフに広めて貰おうか。エヴァちゃんはそのために残って貰ったようなものだし』

 俺は頷くと、四代目の指示通りに動くことにした。そして、四代目は――。

『さぁ、楽しくなって参りました!』

 ――元気に叫ぶのだが、周囲の反応は微妙だ。

 五代目など。

『はぁ、駄目だ……ルソワースが攻め込む地点に罠を仕掛けて一網打尽にしたい』

 ミレイアさんは面白くなさそうに。

『ライエルがグレイシアちゃんを押し倒せばすぐに解決するのに。あの子、絶対に出会いがなくて苦労してそうですし』

 七代目など。

『……ガレリア公王家が、そのまま周囲を攻め滅ぼせば楽なのですけどね。というか、微妙な領地はこの際ですから従うか戦うか迫った方がいいのでは? 理由をつけて大義名分を得て勝ってしまえば、周囲は黙る物ですよ』

 面倒そうなガレリアの内情を知ると、もう従わせればいいと言いだしてしまった。

 お前ら、もっと一致団結しろよ。

 そう思った俺は、間違っていないと思う。
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