挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
セブンス 作者:わい/三嶋 与夢

続くのか? 十代目

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

170/345

海の神様

 ――ノウェムは、トラシーの口に飲み込まれたライエルを見ていた。

 悲壮感はない。何しろ、モニカの大砲を手に持って飛び込んだのだ。そして、口を閉じたトラシーは、大きく体を反らして頭部を天に向けた。

 首筋からお腹の辺りが急激に膨らむと、そのまま口を開ける。

 中からは、大砲を左手に。そして、右にはヴェラを抱えたライエルが吐き出されてきた。

「ライエル様!」

 肉体強化のスキル――それも、ウォルト家の初代が使用し、そして失われた三段階目のスキルを復活させ、使用するライエルの姿をノウェムは見ていた。

 ライエルのスキルであるコネクションにより、ライエルがどんなスキルを使用しているのか情報が入ってくる。

 失われたスキルを、どうやってライエルが復活させたのか――疑問に思っているノウェムだが、今はそれよりも目の前の敵が邪魔だった。

 持っていた杖の先を変化させ、大鎌にすると周囲のサハギンたちを斬り割いていく。

「退きなさい。これ以上は好き勝手にさせません」

 紫色の瞳が僅かに光を持つと、ノウェムが呟いた。

「燃えなさい」

 魔法の呪文ではなく、ただの言葉でノウェムは魔力を操作して炎を出現させた。周囲のサハギンたちは、青白い炎が体にまとわりつき燃えていく。

 雨や水しぶきで火は消えず、されど甲板に燃え広がることもなかった。

 ライエルが着地する場所を確保すると、ノウェムはトラシーへと視線を向けた。突撃を止めてゆっくりと海面に倒れ水柱を作っていた。

 ただ、仕留めてはいない。

「まだ足りませんね」

 杖を握りしめ、魔法を放とうと構えると甲板にライエルが着地をした。

 大砲を放り投げると、砲身に当たった雨や水しぶきが蒸発して白い煙を放っていた。

 ヴェラを丁寧に甲板に下ろすと、ライエルは耳に手をやっていた。

「つけ忘れていたが役に立ったな」

 周囲のサハギンを吹き飛ばし、モニカがライエルに近付いていた。

「まったく。忘れるなんて駄目なチキン野郎です。そういうところも可愛いのですがね」

 ライエルはサーベルを引き抜きながら――

「恰好いいと言え!」

 ――近づいて来たサハギンを両断した。

 すると、頭の中にシャノンの声がする。シャノンの方を見れば、メイに小脇に抱えられていた。周囲のサハギンはメイが蹴り飛ばし、雷を発生させてサハギンたちを黒焦げにしていた。

『耳栓つけ忘れたのが恰好いいとか……もう、好きにしろよ』

 グッタリとしたシャノンだが、トラシーや周辺の魔力の動きを魔眼で情報としてとらえてくれている。

 今回は大活躍だと思いながら、ノウェムは再び海面から姿を現したトラシーに視線を向けた。

 何とか生きているが、それでも表面よりも中身が酷い。ライエルの方を見て咆吼するが、その声には迫力が欠けていた。

 船橋からは、船長がヴェラの安否を気遣う。

「お嬢様ぁぁぁ!!」

 ヴェラはゆっくりと立ち上がりながら。

「船の維持に集中しなさい! ここで沈んだら意味がないわよ!」

 未だに瞳の奥で諦めていない強い意志を感じ、ノウェムは満足そうに頷いた。

 ライエルはサーベルをトラシーに向けて。

「左舷大砲、一斉射!」

 その声に反応し、船の左舷大砲が火を噴いた。トラシーの胴体部分に直撃すると、抵抗が弱いのか表面に直撃して血が出ている。

 ソレを見て、ライエルは――。

「まだ硬いか……」

 ライエルは両手に持ったサーベルを投げてサハギン二体を仕留めると、宝玉に手を伸ばした。

「よく耐えた。ご褒美だ……切り札を見せてやろう」

 そう言ってライエルが宝玉を握りしめ、チェーンを引きちぎるような動きをすると以前見た銀色の大剣が姿を現した。

 大剣の形は本当に凶悪だった。ただ、敵を斬り伏せるような形だが、同時に銀の細工部分が形を作ったせいなのか、綺麗に装飾も行なっていた。

 ノウェムは風に揺れるサイドテールが、視界の邪魔になって手でどけた。

 すると――。

「バジル様の姿……似ているだけではない」

 記憶にある領主貴族ウォルト家の祖。初代【バジル・ウォルト】の姿を、ノウェムはライエルに感じるのだった。

 大剣の姿も似ており、ライエルが先祖の血を引いているだけが似ている理由ではないと感じていた。

「やはり……」

 すると、トラシーが最後の力を振り絞って船に突撃をかけた。いや、ライエルに向かって頭部をぶつけようとする。

 体をぶつけて船の動きを止め、船が大きく揺れると全員が立っていられない程に傾いていた。

 その中で、モニカとノウェムだけは体勢を維持して、ライエルを見ていた。

「こいつは一番厄介なんだ。持ち主に似たのかな? あればあるだけ魔力を吸い上げていく。だから長時間使うのは難しいんだよ。ついでに喜べ……今の俺なら……成長を経験した俺なら、こいつをもっと上手く扱える!」

 ライエルが傾いた甲板を駆け上がり、トラシーの頭部に挑むように走り出した。

 銀色の大剣からは、青白い光が発生してライエルの走った後に光の尾を残した。

 トラシーが大きな口を開けてライエルを飲み込もうとすると、そのままライエルは直進して口の中へと入っていく。

 そして、今度は口を閉じる前にトラシーの体から青白い光の線が見えた。いくつもの光の線がトラシーの体から発生し、首と胴体部分の辺り――前は首が分かれていた部分にさしかかると、綺麗に首を切断してそこからライエルが飛び出てきた。

 甲板に飛び出た王冠から伸びた刃のようなものが突き刺さり、そして、ゆっくりと斬り離された胴体部分が船の側面に血の跡をつけながら滑り落ちていく。

 しかし、甲板に突き刺さった中央の頭部の重みによって、船は傾きが元に戻ってもゆっくりと左側に傾き始めた。

「このままだと沈む。すぐに海面を――」

 凍らせよう。

 そうした時だ。

 海面はノウェムが動く前に凍り、そして船を支えるような形で止まった。敵がまだ生きていると思えなかったが、ノウェムは凍った海面を見るために移動しようとした。

 甲板に突き刺さったトラシーの頭部は、通り過ぎるノウェムを見て大きく目を見開いていた。

 ノウェムは小さく「もう眠りなさい」そう言って通り過ぎると、ゆっくりとトラシーは目を閉じるのだった。

 凍った海面を見るために、ヴェラや船員。そして、甲板に出ていた全員がそちらを見ていた。

 シャノンを抱えたメイが、氷の上を見て。

「鯨……今になって」

 大きな体をした鯨や、それ以外には小柄なものも集まっていた。周囲には、数多くの鯨が集まっている。

 ノウェムはその様子を見ていた。中でも、一番大きく白い鯨を見て。

「白鯨まで」

 すると、氷に近付いた白鯨が人の姿になる。ほとんど着ていないような衣装に身を包み、大事なところだけを隠している姿だった。

 左手には金色の槍を持っており、頭部にはティアラがあった。体の大きな女性が、氷の上に立って船を見ている。

 髪と同じ水色の瞳で、トラシーを見て。

「せっかく集めてきてみれば、もう人の手によって討たれたか……いや、麒麟がいるな」

 メイを見る女王のような神獣は、船に突き刺さったトラシーを見てからメイ、そして顔を出した人間たちに視線を巡らせた。

 そして、ノウェムを見ると動きが止まる。

「……そうか。来たのではなく、呼ばれたのか。いや、呼んだつもりもないのかも知れないが……ふむ」

 視線は次にヴェラに向いていた。すると、女性は笑い出した。

「アハハハ、見事だよ。しかし、ボロボロではないか。しばらく沈まぬようにしてやろう。それと、代表者は降りてきて貰おうか」

 その言葉に、ノウェムは後ろを振り向いた。

 そこでは、トラシーの頭部を見ながらライエルとモニカが。

「代表……やはり俺か!」

「その自信過剰なところは好きですが、普通に考えてヴェラ・トレース様ですね。しかし、いったいいくらでこれは売れるのでしょうね?」

「……まさか! トラシーの王冠を渡せと言うつもりか! これは俺のものだ! どこのどいつか知らないが、後からきて横取りは許さん! 文句を言ってくる」

 そうして混乱する甲板からジャンプして、氷の上に着地しようとしたライエル。

 しかし――。

「あ、ライエル様が……」

 ノウェムが手を伸ばし、ヴェラは左手で顔を押さえながら。

「転んだわね」

 着地をするときに綺麗に転んだライエルを、神獣の女性はポカーンとした表情で見下ろしていた――。





「ハハハ、まさか目の前に降りてきて、そのまま転ぶとは。お前、面白い人間だな」

「だろ? 惚れても構わないぞ」

「遠慮しておこう。これでも亡き夫に操を立てているからな。しかし、こいつを倒すとは驚いた。名前を聞かせて貰おうか」

 そう言って、髪が氷上すれすれまで伸びた女性は、肩に金色の槍を担いで転んだ俺に手を差し伸べてきた。

 着地した瞬間に、後ろに倒れて後頭部を打った俺だが、やはり転んでもオーラが出ているようだ。

 芸術的な転び方だったと思う。

 宝玉の中からは、五代目も。

『お前、なんでこういうところで……いや、良かったけどさ。なんかタイミング的にも最高だったけどさ!』

 大喜びだ。

 女性の手を握って立ち上がると、俺は両手を広げて。

「ライエル・ウォルト……この海の神様とやらを倒した神殺しの男だ。もっと早くに会っていれば、きっと俺に惚れていたな」

 すると、女性は首を傾げつつ。

「なんだ? こいつはそんなふうに呼ばれていたのか? 百年から二百年前はただの魔物扱いだったんだが……それと、私の夫は三百年前の人間だ。お前は生まれていないが……しかし、ウォルトか。陸でそういった英雄がいたという話を聞いたな」

 その言葉に反応したのは、宝玉の中の三代目だ。

『ライエル、確認してくれ……そのウォルトが誰なのかを』

 神獣は長生きだ。そして、その記憶はあやふやなことも多い。元から、人の世界で生きていないので、細かなところは興味がない場合が多い。

「三百年前に俺と同じ苗字を持つ人が? 名前を聞いても?」

 女性は肩にポンポンと槍を当てながら、少し考え込んでから一言。

「思い出せないな。ウォルトという名前は記憶していた。それ以外ではフォックスだったか? バンなんとかもいたようだな。夫と陸の上で暮らしていたが、何せ三百年も前の事だ。おっと、拾ってきたか」

 すると、赤く大きな石を一頭の鯨が頭部に乗せて持ってきた。大きなそれを、女性は片手で持つと俺に投げて寄越した。

 受け取ると、俺でも片手で持つのはスキルの補助が必要なくらいの重さだ。

 女性はそれを見て。

「……口説いてきた仕返しに痛い目に遭わせようと思ったが、こいつを倒しただけはあるな」

「なんだ、怒ったのか? 安心しろ。人の女には手を出さない主義だ」

 女性は少し呆れた様子だったが、少し笑っていた。

「本当に面白い人間だよ。魔石が欲しいんだろ? 海の底に沈んだのを回収させた。純度も高いから高く売れるだろうさ。さて、この氷はしばらくもつ。船に突き刺さった頭部を何とかするまでには溶けるだろうさ」

 俺は手にした大きな魔石を見た。以前、これだけの大きさの魔石は、地下四十階層のボス――アラムサース以来の魔石だった。

 四代目の声がした。

『……結局、名前は聞けないまま、か。気になったんですけどね』

 そして、女性は振り返って海へと戻っていこうとして最後に俺に。

「あぁ、どうしても知りたいなら本でも調べるといい。当時は有名な話だったから、きっと名前くらい調べられるだろうさ。なにせ、傾国の美女――アグリッサを倒すために戦った連中だからな。私は詳しくは知らないが、当時はとても有名だったよ」

 その名前を聞いて、俺は左手を伸ばした。

「ちょっとま――」

 直後、大きな白い鯨が尾ひれを高く上げて深く潜っていった。





 周囲の雨雲が晴れ、そして海がオレンジ色に染まる中。

 俺は解体されたトラシーの頭部……王冠を受け取って、七代目のスキルであるボックスで回収しておいた。

「きっと高く売れるな!」

 喜んでいると、疲れた表情をしたシャノンが俺を見て。

「五月蝿いわね、この馬鹿! あんたのせいで何度死にそうな目にあったと思ってるのよ!」

 俺はシャノンを見て、怒っている理由に想像がついた。

「なんだ、愛を囁いて欲しかったのか? この場で囁いてやるから怒るなよ」

 七代目は、必死に笑いを堪えながら。

『ち、ちが……そうではないと思うぞ、ライエル』

 楽しそうにしている歴代当主たちだが、今回は少し疑問もあったようだ。以前よりも大人しく、とてもつまらない。

 シャノンは。

「ふざけんな! 誰も彼もが、あんたの口車に乗って、なんでも許すと思うなよ! みんながチョロイとか思うな、馬鹿ライエル!」

 俺は含み笑いをしつつ。

「あまり強く否定しない方がいい。余計にチョロく見えるぞ、チョロノン」

 すると、ムキになったシャノンが腕を振り回して突撃してきたので、俺は左手でシャノンの頭部を押さえた。

「チョロノン、って誰のことだ、こらぁ!」

「おっと、失礼……可愛いからからかいたくなった。可愛いな、シャノンは」

「お前はどうして……この野郎ぉ!」

 余計に暴れるシャノンだが、甲板の上でみんなして笑っているとそこにヴェラさんがやってきた。

「船に入ったサハギンも処理したわ。応急修理も済んだ。出発するけど、何か問題はあるかしら?」

 すると、アリアが。

「あぁ、こっちは問題ないんで好きにして下さい。それと、依頼料なんですけど……キャンセルという話は……」

 ヴェラさんは首を横に振った。

「仕事はしてくれたわ。追加報酬は私が払ってもいいくらいよ。なら、出発しましょうか」

 俺はシャノンから手を離すと、真面目な顔をしてヴェラさんに近付いた。

「いや、まだ大事な話がある」

「な、なによ? というか、なんで真顔に……」

 少し俺から距離を取るヴェラさんに近付き、俺は手を取って引き寄せ。

「前のキスはノーカウントだ。俺にファーストキスを捧げて貰おう。俺のものになれ、ヴェラ」

 頬を引きつらせるヴェラさんと、その様子を周りで見ていた船員たち。

「神獣にも恐れないで話していたし、度胸はあるんだよな」
「いや、でもお嬢様にはこれくらいの男でないと」
「でも、跡取りになるんだよな? いや、いいのか?」

 割と肯定的な船員たち。どうやら俺の価値に気が付いたようだ。

「さぁ、答えを聞かせて貰えませんか?」

 すると、呆れたような声が周りから聞こえてきた。

 汗だくだったので着替えたエヴァが、俺を見ながら。

「……こいつ私たちの前で堂々と」

 俺はエヴァに勢いよく振り向いて、親指で自分を指差しながら。

「こそこそ告白するのは俺の趣味じゃない!」

 そう言い返すと、三代目が爆笑しながら。

『いや、前提が間違っているよ、らいえるサン!! 彼女の前で、他の女性に告白したら駄目だよ!』

 四代目も同じだった。お腹を抱えて笑っているような声がする。

『普段は告白することもできないのにね!』

 苦笑いをしたノウェムは、俺の意見に何も言わなかった。つまり、ノウェムから見ても合格なのだろう。

(俺の目に狂いはなかった。ヴェラは、俺に相応しい女性だ!)

 すると、俺から離れたヴェラは、その場で腕を組んで仁王立ちになると。

「そうね。これだけの事をしたんだし、考えてもいいわね。ただ……勝負をしましょう」

「勝負? このライエル、勝利のために負けることはあっても、最終的には勝つ男です。そんな条件で良いのですか?」

 髪をかき上げながらそう言うと、ヴェラは笑って船員に指示を出した。

「手に入れた強いお酒と杯があったわね? 持ってきてくれる」

 船員たちは。

「あ~、あれですか……でも、ライエルの旦那は知らないと思いますけど?」

「だから勝負になるんじゃない。早く持ってきて」

 いつの間にか、船員たちからは旦那呼びになっていた。

(さて、この勝負はどうするか……)





 応急修理がされた甲板の上では、照明が用意されて机を挟んで俺とヴェラが立っていた。

 そこには大きな丸い皿のような杯があり、しっかりとした土台付きのものだった。バンセイムでは馴染のない杯で、どこか外国の品なのだろう。

 ヴェラはその杯と酒樽を用意しいて。

「この杯で百杯飲み干したら、私を好きにして良いわよ。ま、失敗しても今回の報酬ははずむから心配しないでね」

 周囲で船員たちが俺たちを見ており、ノウェムたちも俺を心配そうに見ていた。

 酒樽にはアルコールの強い酒が入っており、そして杯には結構な量が入りそうだった。

 すると、四代目が面白そうに。

『あぁ、これはあれだね……少し頭を使う奴だ。普通に考えれば、この入れ物で百杯は不可能だ。無理をすれば体を壊す』

 七代目も。

『……この娘、ライエルを試しているな。さて、さっさと終わらせようか。ライエルに無理をさせるのも嫌だからな。ライエル、杯をひっくり返してみろ』

 言われて杯を逆にすると、台座の部分に酒が少量だけ注げるようになっていた。

 ヴェラの目が細くなると、周囲の船員たちが口笛を吹いた。

「知っていたのか?」
「ま、少し考えれば気が付くか」
「これは、お嬢様の結婚も決まったか?」

 ヴェラは少し溜息を吐きながら。

「私の負けね」

 だが、俺は――。

「何を言う! まだ百杯飲んでいない。ここで俺が酒を飲み干すところを見ているといい。きっと楽しいぞ」

 そう言って樽に杯を入れてすくい上げる。少量の酒が注がれた杯を口に持って行った俺は――。

「おふぅ……」

 そのまま倒れるのだった。

「……え?」

 ヴェラが呆れた表情をしていた。ノウェムが俺に駆け寄ると。

「ライエル様、そういえば今までにお酒を飲んだことは……」

 ミランダが俺を見て。

「……なかったわね。いつも水とかお茶だったし」

 アリアが額に手を当てて。

「どうしていつもしまらないのよ、アンタは……」

 クラーラが。

「……気が付いたのは良かったんですけどね。これ、どう見ても失敗です」

 エヴァは口元に手を当てて笑っていた。

「お酒に弱かったの? なんだか可愛いわね」

 メイは、俺を見ながら。

「顔が赤いね。あれだけ大口を叩いておいて、まさか負けるとか」

 モニカは、すぐに水を用意してきて、俺に飲ませた。

「お酒に弱くとも、チキン野郎は私のご主人様です。さぁ、起きて私に愛を囁いて下さい。永久保存決定ですよ」

 そして、最後にシャノンは俺を指差して。

「恰好悪っ!」

 などとゲラゲラ笑うのだった。歴代当主たちも。

『最後はしまらないね。なに? フィーバータイムおしまい?』
『今回は色々と出ましたね。俺は『こそこそ告白するのは俺の趣味じゃない!』かな?』
『女神すら惚れさせる自信がある、の方が良くないか?』
『飛び出して神獣の前で着地ミスもいい感じですけどね。五代目、今回は神獣に反応しませんでしたね』

 七代目の疑問に、五代目は。

『あそこまで大きいと可愛いとかの次元じゃないからな。船より大きいとか可愛がれないだろうが』

 そんな声が聞こえた。

(ば、馬鹿め……これは勝利のための……)
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ