いつからだろう・・・小さな期待でも嫌に感じたのは。
いつからだろう・・・努力することを面倒と感じたのは。
いつからだろう・・・自分の限界を決めてしまったのは。
いつからだろう・・・嘘をつく事に慣れたときは。
今日も大学を休んだ。
病気にかかっているわけではない。友達がいないわけでもない。
ただ単にめんどくさいだけだった。
僕は何をしてるんだ・・・いや、こんな考えはやめよう。
そうやって自分のことを見ようとしない。そして別のことを考える。
今日は何しようかなぁ。久しぶりに麻雀でもするか。
友達に電話をかける。
「ごめん、今日無理だ。明後日までのレポートが残ってるんだ。また誘ってくれよ。」
何だよ、レポートなんて明日一日でできるだろう!
その考えの甘さで僕は苦しんできているのに・・・また考えようとしない。
こんな僕でも昔は勉強が出来たほうだった。
僕の実家には兄が一人いる。兄は昔、一言でいうと不良という感じだった。
いつも不良仲間と遊び、この地域で有名な兄。
兄とは違い、僕は勉強がそれなりに得意だった。
親から見れば僕は可愛いかったのだろう。
ケンカなどで迷惑ばかりかけていた兄と、いつもテストの点を喜んで伝えてくる僕とでは。
そんな僕に期待する親。始めは嬉しかった。
兄が持っている存在感。気が弱い僕には、勉強というもので存在が保てた気がしたから。
しかし年頃になれば勉強だけでは満足してなかった僕がいた。
兄と比べたら小さな僕の反抗期。
親に伝えず友達の家に外泊したり、学校をズル休みして友達と遊んだり。
高校1年のとき始めて彼女出来たんだよな。親には恥ずかしくて伝えてなかったけど。
ははっ、それに1ヶ月で終わっちゃたし。
そんなことでも僕にとっては心を満たしてくれた。
その頃から勉強に対して興味も薄れていった。
昔は存在感をくれた勉強だったのに、今は友達や彼女と遊ぶ時間を失くす邪魔なもの。
日に日に落ちていく僕の成績に親は「どうしたの?」と問う。
「大丈夫だから。今回調子悪かっただけ。ちゃんと勉強するよ。」
今、思えばこれが始めての小さな嘘。勉強なんてもうめんどくさい。
「ちゃんとやるのよ。良い大学にはいらなくちゃ。」と母が言った。
もう期待なんかしなくていい。今の僕には期待なんていらない。
友達と遊んでる方が大事だ・・・なんて都合のいいことを考えていた。
そして親の期待を裏切り、適当な大学に入った。
そのころ兄は自営業であるうちで働き始めていた。
少ない給料の中から大学の学費を少し払っていてくれた。
そして今、3年生の春。
そろそろ就職活動のことも考えなければいけない時。
父も母も大学には出ていないから大学のことはよく知らない。
最近親からよく電話が来る。
「勉強の方はきちんとやってるの?」と。
「大丈夫だよ。大変だけどやってるよ、ははっ。」と笑って誤魔化す。
大丈夫・・・何が大丈夫なんだよ。ほぼ留年が決まってるのに。
僕はこの電話が嫌いだ。いつも親が勉強のことに聞いてきて嘘を付く。
そしてその嘘を隠すための嘘、嘘、嘘。
何もかもがマイナスの方向へと向かう嘘。
いったい何個の嘘を付いたのだろう・・・
「今日レポートやってて電話出れなかったよ、ごめん。」
「ちゃんと単位取れたから大丈夫だよ。」
「きちんと卒業できるからさ。」
・・・全部リセットできればいいのに。
嘘によって固められた偽りの僕は親から見れば少なからずまだ期待してくれているだろう。
来年には卒業してどこか会社に入り普通に生活していけると。
しかし、本当の僕は・・・
もう嘘は付きたくない。
初めて自分のことを考えてみると、何もかもに嫌気が刺す。
何事にも諦めている自分。嘘に固められた自分。
もう誰もが僕に期待なんてしていないだろう。
本当の僕を知ったら親でさえも・・・
今日の夜、親から電話が掛かってきた。
すべての嘘は話して大学を辞めるって言おう。
僕にどれだけ落胆するだろう・・・
兄はどれだけ怒るだろう。
社会をなめてると思われても仕方ないだろう。
だけどもう嘘は付きたくない。
偽りの自分で生きていきたくない。
打ち明けるのが遅すぎたとしても・・・
「もしもし、話したいことがあるんだ・・・」
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