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第  六話 呪い
 お前は昔から本当に胃腸の弱い子供でねぇ。とうとう胃潰瘍になっちゃうなんて……しかも、お父さんも一緒に。きっと恐ろしい呪いにかかってるんだって思ってたわよ、あたしは。でもねぇ、あんな事が原因だなんて……驚いたわ。

 その頃はねぇ、お前はようやく離乳食離れして、普通の食事ができるようになっていたんだよ。

 ろ線バスの運転手をしていたお父さんは、夕食を家族と一緒に食べるマイホームパパでさ、きちんと定時に帰ってきては、お前の食事の手伝いをするのを楽しみにしていたんだ。お前は末っ子だしね、それはそれは可愛がっていたんだよ。

 し六時中、つきっきりでお前の面倒見てくれたんだよ、あの頃のお父さんは。

 いた飯って言うのかい? 子供の頃のお前はパスタやらピザやらが大好物のでねぇ、お父さんはお前が好きなものを手当たり次第に買い集めては、食べさせてあげてたの。それは感謝しなくちゃいけないわよ礼二。でも……

 のみ込みやすいようにお父さんはよく、ちょいと噛んでからお前にあげてたんだけど……あれが悪かったとはねぇ。

 ろう若男女、日本の家族はこうしてみんな育ってきたもんなんだ。

 いやぁ、それが悪い事だなんて……思いもしないじゃないか? 口移しなんて親ならみんなやってる事なんだよ。

 そんなに怒んないでよぅ、礼二。母さんも悪かったなって反省してるんだから……でも一番悪いのはお父さんだって事は忘れないでね。あたしは、共犯者ってくらいの立場。それにしても、お腹すいたわね。

 れい凍ミカン食べる、礼二? あっ、そうかそうか! 駄目だったわね。

 はっ、はっ、はっ、ごめんねぇ礼二。これはあたしが食べとくわ。

 ピーナッツも駄目なの? まぁ当然か、冷凍ミカンも食べれないくらいだもんね……じゃあこれもお母さんが食べてあげる。

 ロクでなし? やぁねぇ、それを言うなら人でなしよ。ロクでなしは今のお父さん。定年退職してからは本当に我が家の粗大ゴミになってしまって……役場で引き取ってもらえないかしら?

 リンゴジュースはどうかしら? 手術が終わるまでは飲み物も一切飲めないの? じゃあ、これもあたしが……っえ? いい加減にしろ? もう、だから怒んないでよ。

 きれやすいわねぇ、現代っ子は。誰に似たのかしら、まったく。

 ん? お母さんだって? 馬鹿、何言ってるのこの子は。そんなわけないじゃない。お前はお父さん似です。だって、胃弱なところなんかそっくりじゃない。

 をっと、いけない、もうこんな時間だわ。

 うっかりしてた。

 つまらない言い合いしてる場合じゃないのよ。

 さマーバーゲンが始まる時間! 2丁目のデパートでね。

 れいじ、それじゃあお母さんもう行くわ。手術くらいお前一人でも大丈夫よね?

 たしか、お父さんの手術もお前と同じ時間だから、終わる頃には帰ってくる。

 ことしは、夏物ワンピースを狙っているのよ……って、あれ? お腹痛いわね……あっ、痛い、痛い、痛い!

 と、といれに行かなきゃ……でもこの痛みはなに? ただの腹痛じゃないわ。もしかしたら、お前と同じで……お父さんの恐ろしい呪いにかかったのかも! あ、あの、禿おやじめぇ……って、いたたたた。こんなこと言ってる場合じゃない。か、看護婦さん助けてぇ、私もお父さんの恐ろしい呪いにかかっちゃったわぁ!


恐ろしい呪い、それはピロリ菌をうつされたこと……でしたぁ。ってつまんない物書いてしまった orz


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