第 一話 白米
日本人で良かった、と思えるのは一体どんな時なのだろう?
私の場合それは、白米を食べた時だ。
とりわけ、長い海外旅行から帰ってきて、やっと白米を食べれた時にそう感じますねぇ。
ちょっと大袈裟? とんでもない! 考えてもみて下さいよ。
例えば、アメリカに一週間ばかり出張したとします。
あそこでは、やれハンバーガーだのフライドチキンだの……油まみれの料理ばかり。
肉料理以外の飯はないのか? と思うくらい肉ばかりなんです。
(まぁ、高級料理店は違うかもしれませんが、私のようなしがないサラリーマンの行ける店は大衆食堂レベルの店ですから)
付け合わせに出るジャガイモも、フライしてあるんですよ。
私なら一年でメタボになる自信があるくらい。まったく酷い食事なんだ。
そんな所に一週間もいてごらんなさい。
普通の日本人ならうんざりしますよ。
少なくとも私はそうでした。
そんな油まみれの食事から離れ、ようやく日本に帰国できたら……さて、あなたならどうします?
アッサリした日本料理を食わせてくれる飯屋に直行しますよね?
そこで何の料理を頼むかは人それぞれです。
でも必ず、白米は食べるでしょ?
そして熱々の白米を漬物と一緒に喉の奥に掻き込むんです。
その時、自然と……
「はぁ、日本人で良かったなぁ」
って、満足げなため息と共に呟いてしまうんじゃありませんか!
普通の日本人ならそうなるに違いありません。
分かっていただけましたか?
さて、実は私。
今まさに海外旅行から帰って来たところでして……
行きつけの店(成田空港にほどちかい小料理屋)で食事している真っ最中なんですよ。
そして、熱々の白米を漬物と一緒に掻き込んだばかり。
本当に日本人に生まれて良かったなぁ、と痛感しておる次第であります。
それにしても、ここの白米はなんてうまいんだ。
新潟産のコシヒカリかな?
少しお腹も膨れ、久しぶりの和食に満足した私は、上機嫌で店の大将に尋ねました。
「大将、うまい米だねぇ。どこ産なんだい?」
「へぇ、ありがとうございます。カリフォルニアでさぁ」
「……」
まぁ、その、なんだ。
アメリカも捨てたもんじゃないですなぁ。
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