武術大会
ロンドバル高等学院に入学して半年たった。
三日後に、全校生徒参加可能な武術大会が開催される。ユキトはフィリッポス先生から言われ強制参加なのでエントリーは済ませてある。
クルルル!
ルドラの食事が終わったみたいだ。
今ユキトはラスケス王国があった場所、魔物の領域に来ていた。ルドラと一緒に魔素の濃度による魔物への影響を調査するついでに魔物狩りをしていたのだ。この半年で、ルドラは子牛程に大きくなっている。
レベルも上がりステータスも順調に伸びている。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ルドラ 0歳 雌 グリフィン
レベル:21
称号 :大空の覇者
HP :900/900
MP :1200/1200
筋力 :280 (+50)
耐久 :280 (+50)
敏捷 :300 (+50)
知力 :280 (+50)
魔力 :280 (+50)
スキル
飛行 体力回復強化 身体強化Lv4
気配察知Lv3 直感 風魔法Lv5
頑強 風牙 龍のブレス(火属性)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
僕の召喚魔法のスキルレベルが上がったので、ステータスの補正値が上がってる。もうルドラだけで狩りに出掛けても心配ないだろう。
「ユキト様、素材の剥ぎ取り終わりました」
「ありがとうサティス」
ユキトが出掛ける時は、必ずサティスが付いて来る様になった。サティスも爺ちゃん達から鍛えられて、ユキトと一緒に魔物狩りをする様になってレベルもかなり上がっている。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
サティス 21歳 女 エルフ
1.精霊術士Lv26 2. 狩人Lv9
レベル:30
称号 :ユキトの奴隷
HP :880/880
MP :30,000/30,000
筋力 :160
耐久 :200
敏捷 :360
知力 :460
魔力 :860
スキル
魔力回復強化 身体強化Lv4
隠密Lv5 気配察知Lv5 直感
回避Lv4 弓術Lv8 投擲術Lv3 短剣術Lv6
魔力感知Lv8 魔力操作Lv8 生活魔法
精霊魔法Lv4 水魔法LvMAX 風魔法LvMAX
土魔法LvMAX 氷魔法Lv4 回復魔法LvMAX
時空間魔法Lv3 鑑定Lv5 料理Lv6
アイテムボックス
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
当然ユキトのレベルもかなり上がっている。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ユキト 13歳 男 人間
1.剣聖Lv2 2. 賢者Lv8 3.拳王Lv1 4.召喚士Lv10
レベル:31
称号 :英雄の孫 英雄達の弟子
HP :3000/3000
MP :462,000/462,000
筋力 :737
耐久 :770
敏捷 :1500
知力 :1140
魔力 :7200
スキル
武の極み 魔の極み
体力回復強化 魔力回復強化 身体強化Lv7
隠密Lv7 気配察知Lv7 心眼 直感 威圧
気功術Lv7 回避Lv8 格闘術Lv9 弓術Lv7
投擲術Lv6 剣術Lv9 槍術Lv8 棒術Lv7
短剣術Lv6 罠解除Lv5 魔闘術Lv8
魔力感知Lv9 魔力操作Lv9 生活魔法
火魔法LvMAX 水魔法LvMAX 風魔法LvMAX
土魔法LvMAX 雷魔法LvMAX
氷魔法LvMAX 回復魔法LvMAX 時空間魔法Lv4
光魔法LvMAX 召喚魔法LvMAX 鑑定Lv8
騎乗Lv3 魔道具製作Lv4 状態異常耐性Lv4
鍛治Lv7 料理Lv4 アイテムボックス
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
グルルルーー!!
ルドラが威嚇する。ユキトにも森から来る魔物の気配を掴んでいた。
「結構大きめの魔力だな、サティスとルドラは下がっていて。僕が殺るよ」
暗い森から出て来たのは人の形をした骨。
鑑定すると「ハイスケルトンか?」
汚れた鉄の胸当てと鉄の兜、ロングソードと盾を持っている。
ユキトは散歩でもする様に自然に歩いて行く。
ハイスケルトンがロングソードを振り被りユキトに斬りかかる。中々の斬撃だ元は腕の良い戦士だったのだろう。ユキトは斬撃を軸をずらして躱すとハイスケルトンのロングソードを持つ腕が飛んでいた。
「奥義 切り落とし!」
いつの間にか、ユキトの右手に抜き身の太刀が握られていた。
シュン! ……ボトッ!
ユキトは続けて、ハイスケルトンの残された盾を持つ左腕を斬り落とすと、手に持つ太刀【焔】を鞘に収める。
両腕を失いながらも威嚇するハイスケルトン。
ユキトはハイスケルトンの腕が再生する前に、召喚魔法を発動する。
魔力の流れがハイスケルトンに向かうが、ユキトはそこで抵抗を感じる。
「おっ、頑張るじゃないか」
ユキトは込める魔力を一気に増やす。膨大な魔力の奔流がハイスケルトンを呑み込み、抵抗を許さず契約が成立する。ハイスケルトンが光に包まれ消える。
ユキトが召喚すると、先程と違う姿のスケルトンが現れる。フルプレートの鎧に変わりロングソードと大盾を持っている。
「えっと、お前の名前は、これからバルクだ!」
ユキトが名付けると片膝をついて頭を下げた。
ユキトが鑑定してみると、
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
バルク 120歳 雄 スケルトンロード
レベル:26
称号 :ハルトの騎士
HP :1100/1100
MP :400/400
筋力 :320 (+50)
耐久 :420 (+50)
敏捷 :200 (+50)
知力 :280 (+50)
魔力 :200 (+50)
スキル
体力回復強化 身体強化Lv5
剣術Lv6 盾術Lv5 威圧 剛腕
気配察知Lv5 直感 頑強
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
進化したのか?スケルトンロードになってる。
「ユキト様、先程のスケルトンと姿が違う様に思うのですが」
「うん、なんか進化したみたい。スケルトンロードになってるね。ドノバンさんに頼んで装備を作って貰おうか」
『有り難き幸せ!』
「おわっ!…バルク喋れるのか?」
『主よりの濃密な魔力で進化してのち話せるようになりました』
「そうか鎧が随分格好良くなったな、剣と盾なんかの装備は帰ってからドノバンさんに相談しよう」
ユキトはルドラとバルクを送還する。
「サティス、帰ろうか?」
「ハイ、ユキト様」
二人は手を繋いでロンドバルの家の裏庭へ転移して帰った。
武術大会の日がやって来た。
大会は身体強化の魔法以外の魔法は使用禁止。
出場者は三学年併せて120人、予選では1グループ30人で4つのグループを作り30人が1度に戦い上位2名が決勝に進む。
ユキトは C グループになった。一年生で出場してる人は余りいないみたいだ。貴族の子弟以外は子供の頃から剣や槍を習うことがないからだろう。
予選が始まり A グループから順番に進んで行く。
やがてユキトのCグループの予選が始まる時間になって闘技場に降りる。
あれ?何故かみんな僕を見てる気がする。しかもみんな睨んでるよね。
予選Cグループのユキト以外の29人は、確かにユキトを見ていた。武術大会の使用武器は刃引きの剣か先を丸めた槍に革鎧か金属鎧を着用する。現に大会出場者の119人はその様な装備で出場していたがユキトだけは、普段の制服に木刀を一本持っているだけである。
当然、他の出場者は舐められたと敵視するのも仕方のない事だった。
「ねえねえマリア。ユキト木刀だよ。防具も着けてないし、あんな細い木刀じゃ直ぐに折れちゃうじゃない」
「最近は教室にも来ないで学院長と二人で研究室に籠りっきりだものね」
「ユキト、皆んなから狙われてるよ」
「それはあんな格好してたら狙われるわよ」
「あっ!ゲルトもいるよ」
「彼奴は剣術だけでAクラスに入ったからね」
マリアも剣術には自信があったが流石に三年生には敵わないと思い出場していなかった。
「ほらヒルダ、始まるわよ」
ピィーーーーー! 開始の合図が鳴る。
一斉にユキト目掛けて襲い掛かる29人の出場者達。
そこからの出来事は、闘技場の観客席を含めた全員が夢でも見てるかのような現実感のない状景に静まり返った。
1人の生徒がユキトに斬りかかった、次の瞬間にはユキトは斬りかかった生徒の背後に抜けている。斬りかかった生徒はそのまま倒れ伏す。後はユキトが闘技場の中を歩いているだけで次々と対戦者が倒れていく。剣を撃ち付ける音さえ聞こえない。
「あっ!しまった!皆んな倒しちゃった」
ユキトの呟きが聞こえたかどうかは分からないが、終了の合図が鳴ってCグループの予選が終わった。
静まり返った闘技場に終了の笛だけが響きわたる。
「ねえ、マリアは剣術得意だったよね、今のどういう事か分かる?」
マリアが顔を横に振る。
「私、今迄剣術には少し自信があったの……でもさっきのユキトの動きはさっぱり分からないわ。ただ、ユキトは全然本気を出していないという事は分かる。剣や槍を撃ち合わせる音が聞こえなかったでしょ。ユキトは一度も受け太刀をしていなかったわ」
「どのくらいなんだろうね彼の剣術のレベル。」
「……見当もつかないわ。私は剣術レベル3だけど、どのくらいの差が有るか差が大き過ぎて分からないわ」
「凄いのは魔法だけじゃなかったんだね。マリアは、試験の時に見なかったの?」
「だって、ユキトの魔法で試験会場が壊れたから、私が別の場所で試験を受けている間にユキトの武術試験は終わってたんだもん」
ユキトが全員を倒してしまった為に、準々決勝は7人で始まった。ユキトの相手は槍使いの三年生だった。連続で槍を繰り出す三年生の槍を避けた時、試合は終わっていた。倒れる三年生を確認することなく控え室に帰る。
ユキトは漸く他の生徒とのステータスに差がある事に気がついた。
準決勝も開始数秒で終わって、決勝戦は前年の優勝者だった。ただ相手には気の毒だったのはユキトが飽きて速く終わらせて研究室へ行きたかった為に決勝戦はユキトから仕掛けて一秒も掛からなかった。
表彰式にも出ずに闘技場を後にするユキトを、呼び止める声が聞こえた。
「おい!おいお前!お前だ黒髪のお前!」
うん?僕のこと呼んでるのか?
「何か用ですか?」
「お前!光栄に思え、俺の騎士にしてやろう」
「お断りします。では急ぎますので」
「ちょっ!待て!ゲルト・フォン・フォルムバッハ様の騎士にしてやろうと言ってるんだぞ。イオニア王国のフォルムバッハ子爵家の騎士に成れるのだぞ!」
「いや、知らないし」
「貴様ァーー、ゥッ、……」
バァタァン! 白目を剥いて倒れ失禁している。
ユキトが煩わしくなって威圧したのだが効き目が良過ぎたみたいだ。
「やり過ぎちゃったかな?まぁ良いか」
「随分と速く終わらせましたね」
フィリッポス先生が研究室に戻っていた。
「少し退屈だったからサッサと終わらせました」
「しかし、一度も剣を合わせる事なく勝ち進むとは私も思いませんでした。もっと武術科のレベルを上げないといけませんね」
「あぁ、そうだ、さっきケトルだっけなんて言ったっけ、うーん…まあ良いか、そいつがいきなり騎士にしてやる光栄に思え、なんて言ってきたんですけど」
「ケトルなんて居ましたかね……、それで如何したのですか?」
「エラそうだし鬱陶しいので、ちょっとだけ威圧したら白目を剥いて失禁して倒れちゃいました」
「倒れちゃいました。じゃないですよ。「騎士にしてやる。」と言うってことは貴族ですか。爵位はなんか言ってませんでした?」
「なんだっけなー、たしか子爵だっけな」
「子爵のケトル……もしかしてゲルトじゃないですか?イオニア王国のフォルムバッハ子爵家の四男だったはずです」
「もしかして不味かったですか?」
「いえ、問題有りません。どうせ今回の大会でユキト君はこれ以上ない位目立ちましたから、イオニア王国も貴方に嫌われるのは避けるでしょう。自国に取り込みたいのですから。まぁそのゲルト君は、分かりませんけどね」
「話は変わりますがフィリッポス先生、出来るだけ強い魔物を召喚する魔法陣を研究したいんですけど相談に乗って貰えませんか?」
「分かりました、魔法文字と記号の組み合わせを考えてみます。今日はもう帰って良いですよ」
「分かりました。失礼します」
ユキトは校門を出ると気配を消して家に帰えった。