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ネトゲの旦那は私のアバターにしか興味がない! 作者:七風纏
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42 言えないこと

「メイド服を着てみてくれないか!?」

 突拍子もなくそう言い放ったルディアスに面くらいつつも、私は考えを巡らす。
 ……えーと。この場合、どっちのことだろう。
 ゲーム内で着てくれってこと? それとも、リアルで?
 仮に、リアルでってことだったとしても……ここまで堂々と言うかな!?
 ……うーん。やっぱりこの人はよくわからない。
 それにしても──『メイド服』か……随分、タイムリーな話題を振ってくるなぁ……。
 ついさっき、その事で恥をかいたばかりなのに。

 アレクの正体がわかって、私も正体を明かさないといけなくなって……一時はどうなることかと思ったけど。
 予想に反して、すんなり受け入れて貰えた。元々リアルのことはあまり喋らない人だったから、実は私が昔からの知人だってわかったら気まずくなるかなぁ、と不安だったけど……。
 確かに、アレクとは運命的なものを感じた。でも……私にとって、彼はあくまで『初恋の人』なんだよね。

 やっぱり私は──今、目の前にいる『とんでもなく面倒くさい人』のことが大好きだし、恋人同士になりたい。
 だから……気まずいのはわかるけど、避けないできちんと向き合ってほしいな。

 そう言えば──私とアレクがリアルの知り合い同士ということは、ルディアスに言った方がいいのかな?
 一応、アレクに許可を貰ってからにするべきだろうか。
 よくよく考えると……『ギルマスとサブマスが、本人たちも気付かないうちにリアルで鉢合わせする』という奇跡みたいなイベントが起こっているわけだけど……。
 それをルディアスが知ったら、どんな顔をするんだろう。ちょっと反応が楽しみかも知れない。

 何故か彼の顔がやつれている(寝不足?)のと、錯乱気味なのが気になるけど、それは置いておいて……。
 どう返事したらいいかな……やっぱり『ゲーム内で』という解釈が無難だろうか?

「でも、このゲームはメイド服の種類が──」

 とりあえず、『ゲーム内でメイド服を着る』という前提で話を進めてみたものの、彼は何だか冴えない表情をしている。
 あ、やっぱり『リアルで』ってことだったのかな……。
 そう思いつつも、私は彼の手を引っ張って歩き出し、街に戻るために門を潜った。

「──それで、どのタイプのメイド服がいいんですか?」

 ある程度歩いてきたところで後ろを振り返り、そう尋ねてみた。

「あー……その……わざわざ買って貰うのも悪いし、ユリアが持ってるタイプで構わないぞ」
「わかりました。でも……メイド服なら、前も着て見せたことありましたよね? どうして急に──」
「そ、それはっ! 今日は、たまたまそういう気分だったんだ!」

 やけに焦った様子でそう返したルディアスを怪訝に思いながらも、私はメニューウィンドウを開いて装備を変更した。

「どうですか? この服を着たのは久々なんですけど、やっぱりスカートが短すぎる気が……。まあ、ショートタイプだから当たり前なんですけどね……」

 私はそう言いながら、スカートの裾をぎゅっと手で引っ張る。
 今メイド服を着ているのは仮想体だから、別に現実の自分が着ているわけではないのだけど……これだけスカート丈が短いと、何だか恥ずかしい。
 羞恥心に耐えながら彼の方に視線を移すと、一瞬頬を赤く染めたものの、すぐにまた憂鬱な顔に戻ってしまった。
 うーん……あんまり嬉しそうじゃないな。
 ってことは……やっぱり、リアルなの!? リアルで着れば喜んでくれるの!?
 でも、アレをもう一度着るのは精神的に辛いなぁ……。写真が残ってるだけでも嫌なのに。

「……なんか、あんまり嬉しそうじゃないですね」
「いや、そんなことは……」
「何か、悩んでるというか……気にしていることがあったりしませんか?」

 もう、単刀直入に聞いてみることにした。
 あの時のことが気まずいだけでは、ここまで沈んだ表情にはならないだろうし、やっぱり彼は何かを隠している。

「……別に何もないぞ」
「そうは見えませんけど……。アレクさんも心配してましたよ」

 一瞬、ルディアスの瞳が僅かに揺れた気がした。

「本当になんでもないんだ。気にしないでくれ……」

 彼はそう言うと、悲しげな顔をして目を伏せた。
 さて……教えてくれそうにないし、一体どうしたものか……。
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