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ネトゲの旦那は私のアバターにしか興味がない! 作者:七風纏
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39 遠い日の記憶

 私は、うるさく鳴り響く目覚まし時計を手探りで止め、寝ぼけ眼をこすりながら身を起こした。
 今日は学校がある日だけど……まだ時間に余裕があるので、そのまま椅子に座り、ぼーっと物思いに耽ることにする。

 そう言えば……遥斗にとっては、一応私が初恋の相手(三次元では)ってことになるのかな?
 私の初恋は──いつだっけ?
 ふと、そんな考えが頭をよぎる。
 それと同時に、最近はほとんど思い出さなくなっていた幼い頃の記憶が甦ってきた。

 あれは、まだ私が小学校に入学する前……六歳くらいの時だっただろうか。
 一時期、一緒に遊んでくれていた三歳上のお兄さんに懐いていた記憶がある。
 今思えば、あれが私の初恋だったのかも知れない。

 その人は確か、私の父の旧友の息子さんだったかな? ……その辺は、ちょっと記憶が曖昧なんだけども。
 とにかく、私は子供ながらに、そのお兄さんに淡い恋心のようなものを抱いていた。
 元々、海外に住んでいて、夏休みの間だけ日本に滞在していたらしいけど……。
 当時、まだそういうことがよくわからない年齢だった私は、お兄さんが家族と一緒に外国に帰ってしまうのが嫌で、泣いて困らせたっけ……。
 泣きじゃくる私に、お兄さんは「きっと、また会えるよ」と言ってくれたけど……結局それ以来、日本に来ることはなかった。
 最初の一、二年は父や母に「あの時のお兄さんはもう来ないの?」と聞いたりしていたけど……時が経ち、成長するにつれて、だんだん彼のことを思い出す日が少なくなっていった。

 そんな小さい時のことを覚えているなんて、珍しいと思われるかも知れないけど。
 初恋ってそんなものだと思う。だから、そのお兄さんと遊んだことが思い出として残っているんだろうな。
 彼は、今頃どうしているんだろう。元気でやっているだろうか。

 でも──そこまで覚えているのに、不思議と彼の名前が思い出せないんだよね。
 どうして、思い出せないんだろう……。
 父がまだその旧友と付き合いがあるかどうかわからないけど、今度聞いてみようかな。

 ……何だか懐かしくて、ノスタルジックな気分になってしまった。
 思い出に浸っているうちに、いつの間にか結構いい時間になってるし。
 急いで支度をして、学校に行かないと。


◇ ◇ ◇


 少し早足で通学路を歩いていると、不意に背後から肩を叩かれた。

「おはよう、咲本さん」
「あ……おはよう、成神くん」

 相変わらず、適度な距離感を保ちながら話し掛けてくる歩。
 うーん……。『成神』かぁ……。偶然だと思うけど、どうも気になる。

「浮かない顔をしているけど、何かあった?」

 どうやら、顔に出ていたらしい。
 私はその場を取り繕うために、とりあえず話題を振ることにする。

「ううん、何でもない。そう言えば、この前、よくゲームをやるって言ってたけど……オンラインゲームはやらないの?」

 いきなり話を変えたら、ちょっと不自然だったかな?
 まあ、前から聞こうと思ってたことだし、そんなにおかしくはないはず……。

「オンラインか。僕は、やらないけど……兄さんが結構コアなネトゲーマーだよ」
「兄さん……? 成神くんってお兄さんがいたんだ?」
「ああ、言ってなかったっけ?」
「うん。たぶん、聞いてないと思う」
「もう何年も前からやってるし、今やってるゲームのキャラもかなり強くなってるらしい」
「へぇ……そうなんだ」

 歩に兄がいる──それを聞いた私は、何故だかわからないけど胸騒ぎがした。
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