ふたりのソレイユ
その向日葵に問いかける
その太陽に
情熱って、どんな感じ?
絵筆を取れば渦を巻いた
星が、木々が
青が、黄色が
その自画像に問いかける
その世界に
〈狂おしい色彩の魔術師の物語と出会う前の、彼女達の物語〉
***
毒素に汚染された星で
褐色の肌に金色の髪
繋がって産まれた子供の産声を
皆、口々に
よからぬ事の前触れだと
いいえ、救いの兆しだと
父は無く
歌姫だった母は逃げ出した
取り残されて
私達は味わい知った
奇異の眼差しなら、どちらでも同じだと
双子の向日葵
結合の茎は
一人では断ち切れない形だけを支えに
私を生かすのは、彼女
彼女を生かすのは、私
私を壊すのは、彼女
彼女を壊すのは、私
それだけではいつか、渇いてしまう
恐れていたとおりに
天秤は傾いた
恋をして
私達はふたりで一つ
でも愛した人は、片方しか望んでいない
双子の向日葵
傾いた茎の
わずかな差異が膨らんで、いつか壊れるかもしれない恐怖
乗り越える勇気は、どちらにも無く
ただ、逃げ出した
星から星へ
やがて最古の太陽に照らされる人類の母星へと流れ着き
ふたりの足を止めたのは、時を超えた生命が見た景色
ああ、うねる夜空、糸杉の声
鋭く繊細な眼光に宿した
向日葵の色
貴方は遠い昔に生きた
色彩の魔術師
幾つもの書簡、兄弟の絆
教会の前の像は手を取り、支え合う
まるで、一つの魂のように
まるで、私達のように
消えるはずだったふたりの軌跡を繋ぎ
遺された者がおこした奇跡は
目を閉じても見えるユートピア
ただ、光に向かう双子の向日葵だった私達
いつか太陽になれるかしら?
貴方のように、近づき過ぎたら焼かれて果てる?
けれど今なら、恐れず歌うわ
ただ一つ、母がくれた贈り物
産まれた時からの全てを込めて
歌いましょう
***
〈双子の歌姫の歌声は
瞬く間に星々を駆け巡り
やがて星屑の軌跡となった
その光は、今も人々の心の中を照らしている〉