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ある夏に得たもの
作:剣


私-阿部夏実が野球を始めたのは小学校一年生の頃、大の野球好きである父親がグローブをプレゼントしてくれたのがきっかけだった。高校時代キャッチャーをしていた父の影響でリトルリーグでもキャッチャーをやっていた。そして中学時代・あいつと出合った時も・・・
「おーい、阿部ー!」
話しかけてくるのは小さな体の持ち主・菅一かんはじめだった。小学校からの同級生だ。いわゆる幼馴染という奴なのだが、私も一も恋愛感情は一切持っていない。
「何の用、一?」
「明日は地区予選の準決勝だろ?」
「そうね」
明日は一の言うとおり私達にとって最後の大会だ。女子の公式戦出場が認められてこそいたが、数はゼロに近かった。中学生になると男女の体格差がはっきりしてくる。一も小さいが来年の今頃には私の身長を抜かしているだろう。
「明日は夕日浜西との試合だろ?夕日浜西にはすごい豪腕投手がいるって聞いたからさ」
「何言ってんのよ!明日も勝つんだよ!私のリードがすごいのはあんたも知っているでしょ?」
弱小チームをここまで引っ張ってきたのは私のリードのお陰と言ってもよかった。
「そうだよな。変な事言ってごめんな」
「いいよ、別に」




次の日、私は朝の散歩をしていた。試合の日には必ずするリラックス方法だ。私は不意に誰かとぶつかった事に気がついた。
「ス、スミマセン」
ぶつかった相手は中学生らしかった。
「いいよ、誤らなくても。俺の不注意だし」
といってあいつは笑った。そして去り際に言った。
「今日の試合楽しみにしてるぜ、朝日中学の阿部さん」
走り去って行くあいつを私は呆然と見ていた。





夕日浜西と朝日の試合が始まった。両チームの先発は夕日浜西が山田、朝日が一だった。私は3番キャッチャーで出場した。朝あったあいつは西崎という名で、4番サードで試合に出場した。
朝日が先攻だったのですぐに私の打順がまわってきた。1アウト2塁
「まさか豪腕投手じゃなかったなんてね。私達なめられてたんだ」
相手のピッチャーの初球を私はホームランにしてみせた。

3回に私の打順がまわってきた。その時、相手チームの監督が審判に言った。ピッチャー交代だ。三塁からあいつがやって来た。そして投球練習を始める。


投球練習をおえたあいつと私は対峙した。大きく振りかぶって投げた。
「!!」
「ストライク!」
審判が高々とコールする。あいつのストレートは化け物だった。球速はもちろん、ノビも中学生レベルじゃなかった。あっと言う間に追い込まれた。
「(なんとかしないと・・・)」
あいつが投げる。私はとっさにバントの構えをとった。


しかしボールがバットに当たることはなかった。
「「ストライク、バッターアウト!チェンジ!」
「嘘でしょ。今の球はフォークじゃない・・・」
私は驚き、戸惑った。フォークのキレと変化量がストレートと同じく中学生離れしていたからだ。いわゆる怪物だった。



一は左のアンダースローと抜群の制球力でなんとか抑えていたが、7回でスタミナが切れかけてしまい逆転を許してしまった。そして九回2アウトランナーなし。私とあいつは再び対峙した。
「(打つ!絶対打つ!)」
「(まだ目が死んでない)面白い、そうでなくっちゃな!」
あいつが投げる。私は無意識にバットを振っていた。


カキーン!


心地よい快音と共に打球が二遊間を抜けた。私は思わず叫んだ。そして










四番が三振で試合が終わった。だが私はこの試合で大切な事を学んだ。そして無意識のうちにあいつに惹かれていたのかもしれない。














またあいつと野球がしたい。あいつはこの想いと野球選手にもっとも大切な事を教えてくれた。






あきらめないということを



普段主人公が男なので女の子視点で書いてみました。













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