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マジカルハイテンション!
作:アカ



第11話:桃栗秋子と家庭訪問


 ある日クロウ君が、
「ポストに手紙が入ってたよ」
 と言いながらトテトテと走ってきました。
「あらあら誰からかな? 無駄な勧誘のやつだったら捨てていいよ」
「学校からだよ」
 学校って……クロウ君が通ってるマホーツ界魔法学校だよね。一体何の用なんだろう?
 ――ハッ! まさかクロウ君が何か悪いことをしたとか! そりゃお姉さんとしては許せないわよ。つまようじで刺してやろうかしら。
 ……っていうのはまったくの見当違いでした。

――――――

 桃栗秋子様へ。

 どうもご無沙汰しております。校長のライトです。
 突然ですが家庭訪問を実施したいと思います。日頃のクロウの頑張りを報告していただきたいのです。
 都合のいい日をこの手紙の余白に書いてください。後ほど確認に参りますので。

――――――

 家庭訪問ね。なかなか興味深いじゃない。
 都合のいい日は……。今週の土曜日かな。余白に書くんだよね。――はい、書いた。
「今週の土曜日ですね! わかりましたー!」
 誰! いつの間にか黒ずくめの見知らぬ男が部屋に突っ立っていました。
「ああ、そんなに驚かなくても大丈夫。この人は配達屋さんのパットさんだよ」
「配達屋さん? 隠密とかじゃなくて?」
「手紙とか荷物を届けてくれる人。とりあえず手に持ったその長ネギは置いた方がいいよ」
 ふむ、どうやら危ない人じゃないみたいね。強盗だったらネギで気絶させようかと思ったんだけど。痛いのよ、ネギって。
「どうもはじめまして。ワタクシ、パットと申します。以後、よろしくお願い致します。では、ワタクシはこのことをライト校長に伝えて参りますんで、これにて失礼します」
 そう言うとパットさんは一瞬でいなくなりました。
「っていうかクロウ君。あいつ、不法侵入してない?」

 そしてあっという間に土曜日になりました。
 みっともなく見られないように部屋は片付けたし、私はより一層美しく見られるようエステに行きました。よし、パーフェクトゥ! あとは先生が来るのを待つのみ! あ、ちなみにクロウ君の担任のカンムっていう先生が来るんだって。
 ふふふ、来なさい来なさいカンムとやら。私の素晴らしさを存分に教えてやるわ!

 ピンポーン。

「モモグリさん……」
「うむ。どうやら敵がおいでなすったようだな。出陣するか!」
「武将ですか?」
 扉を開けました。そこにいたのは眼鏡をかけた見た目三十歳いくかいかないかの若さの男性でした。
「……カンムです」
 それだけ言うと黙って家に入りました。私の第一印象。こいつ暗いです。死んだような目をしてるし。
「…………」
「…………」
 黙〜ったままお茶をすすっています。私はやるせないです。
 普段ならハイテンションに話を進めていくけど、相手は先生だから一応にもちゃんとした話をしないといけないよね。私にだってそのぐらいの常識はあるわよ。
「…………」
「…………」
 うわぁ、絡みづらいわこの先生〜。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………うぶばっ!」
 カンム先生、お茶を飲みながらいきなりむせた。
「……カンム先生?」
「…………。……茶が喉の変な器官に入った……」
 よくあるよ、それ!
「…………」
 再びお茶を飲むカンム先生。
 そういえばさっきから気になっていたけど、先生のお茶の飲み方がおかしいのよ。唇を尖らせてチビチビとお茶を飲んでるのよ。
「…………」
 うわぁ、すごいチビチビ飲んでるわ。ひよこみたいな唇してるわこいつ。見ていて笑いそうになるんだけど。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………うぎゅふっ!」
 またむせた! むせすぎじゃないの! 口の横からお茶が垂れてるし。
「さて、クロウ君はどうですか?」
 あ、やっと話が進んだ。でも口の横からお茶が垂れてる。
「彼なりに頑張っているようです」
「そうですか。ま、別に興味ありませんけど……」
 え。
「それだけ聞ければ他に用はありません。では失礼します」
「ちょっ……! 家庭訪問ってそんな適当でいいの?」
「……ええ」
「もうちょっと見るべき所があるでしょうが!」
 私はくるりと一回回りました。私のエステで磨き上げた美しさをアピールしました。さあ、『桃栗秋子さんって美しい方ですね』って言いなさい!
「…………」
 ちょっと、何黙ってんのよ。なんか言ってよ。
「……桃栗さん」
 おっ、きたきた!
「はいはい、何かな!」
「もう一杯お茶を頂けないでしょうか?」
 …………。
 ほう、そうきたか……。
「はい、どうぞ」
 そして可愛らしくスマイル! どうよ、キュンときたでしょ?
「…………」
 無視かい。無視かいあんた。
「…………ばぶりゅふふッ!」
 吹くなや! 汚いわよ!
 だけどグッと堪える私。私ってオ・ト・ナ!
「カンム先生、おしぼりです」
「……どうも」
 そしてまたお茶を飲む。
「…………ぶぇっくしょーんッ!」
「帰れ貴様ハゲ眼鏡てめぇコノヤロー!」
 …………。
 ……ハッ! 私としたことがついはしたないことを!
「いや、先生その……。今のは冗談なわけでして……」
「ほほう……。この私に向かってハゲ眼鏡てめぇコノヤロー、略して『ハロー』だと……!」
 挨拶じゃないのそれ。
「……まあ許すけど」
 あっさりと! この私をビビらすんじゃないわよ!
「とりあえずもう一杯おかわりを……」
「帰れ」







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