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Chapter:02 神話
Episode:16
「ほら、これやるよ」
「え?」
 あたしの目の前に、小さな包みが差し出される。

「これ……?」
「いや、いちおうその――俺からな」
「くれるの?」
 あたしがそう言うと、困ったように彼が頭を掻いた。

「だ〜か〜ら、俺からだって!」
「えっと、何が……?」
「だから、誕生日のプレゼントだっつーの!」
「あ……!」
 やっと意味を飲み込む。

「えっと、その、もらっていいんだよね……?」
「お前がもらわなかったら、誰がもらうんだ」
「あ、そっか」
 イマドがため息をついた。

「ったく、どこまでボケてんだ」
「ご、ごめん……」
 自分がなさけなくなって、なんだか泣きたくなる。
 でもその前に、イマドが包みをあたしに持たせた。

「開けられっか?」
「う、うん」
 リボンをほどいて、包み紙を破らないようにそっとはがしていく。中から箱が出てきて、それもそっと開けた。
「あ……♪」

 自分の顔がほころぶのが分かる。
 出てきたのは、可愛いキーホルダーだった。

「ごめんな、ンなちっちゃいモンで。
 まさかお前が、あそこまで大金持ちのお嬢さんだとか、思ってなくてよ」
「ううん、いい。これで、いい……」
 どうしてだろう? 悲しくないのに、涙が出てくる。
「大事に、するから……」

「ンなたいそうなモンじゃねぇって。
 それよりそろそろ、戻るか? いい加減暗くなっちまったし」
 言われてあたりを見回すと、確かにもう日が落ちて、空に星がまたたいていた。
 吐く息も少し白い。
「――そうだね」

 優しい潮騒の音を聞きながら、学院への連絡船に乗った。ほかに乗客はいない。
 船の後舷へ出てみると、街の明かりが遠ざかって、暗い海の上にゆらめいた。
 振り仰ぐと、煌く星が目に飛び込む。
 海にまたたく灯と、空にまたたく星。

 この光景を忘れたくない、そう思った。

Fin



◇あとがき◇
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。明日より第6作「表と裏」の連載となります。いままでどおり、毎日“夜8時過ぎ”の更新です。
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