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『CROWN』
作:是音



TURN3〜韋駄天〜


「ん・・・っ」
ほんの少し気絶した少女はすぐ目を覚ました。壁にぶつけた頭が痛い。(そうだ、私はあの化け物に・・・)
「!!」
(そうだ!あの化け物は!?確か男の人がいたはず!無事なの!?)慌てて三つ又の大戈{おおぼこ}を掴み立ち上がった少女は、目の前の光景に愕然とした。両腕、そして両翼を切り落とされたあの化け物がのたうち回っている。その奥には息を切らした一人の青年が化け物を睨み付けていた。化け物は叫びながら青年に向かって牙で襲い掛かった。しかし、青年が腕を振ると化け物の動きは止まり、床にバラバラに崩れ落ちた。
(何が起こったの?)
漆黒の瞳をもつ青年は少女に気付いて言った。
「大丈夫か?オレの名前はザックだ。」
少女の手を取りながら言う。
「私はユノ。あなた今の能力は?」
〈グゥオォォ!〉
「早くここから逃げよう!まだどこかに化け物がいるみたいだ。」
話は後だ。今は逃げなくては。ユノも同意した。二人は巨大なビルの中を走ってやっと一階のロビーに辿り着いた。だが、二人はその場の光景に声を失った。広いロビーにものすごい数の化け物がいたからだ。ただ、二人が驚いたのは、その化け物全てが首を切り落とされた死体であるということだった。二人はこの醜悪な状況をつくった張本人がロビーの中心に立っていることに気付いた。漆黒の衣を身に纏い、仮面の中から発せられる鋭く殺気の籠もった眼光は二人をとらえている。ザックは仮面の男に向かって言った。
「アンタ強いんだなぁ!どんな能力使ったんだ?」
仮面の男はザックの質問には答えず、二人を見据えて言い放った。
「何故・・・殺し合わない?」
二人は仮面の男を一瞬で見失った。次の瞬間、背中に強い衝撃が走る。二人はロビーの中心まで転がった。自分達がいた位置には仮面の男が立っていた。二人を見つめる目にはやはり殺気しか感じられない。
ザックはナイフを呼び出した。
(やるしかない。こいつは俺たちを本気で殺るつもりだ!)
ユノも同じ考えなのか、カードを取出して戈を呼び出す。ザックのナイフが周りの影を吸い込みはじめ、刃が長くなり、刀のような形になった。
「ザック!そのナイフの能力・・・」
「そう、こいつの能力は影を実体化させ、伸縮自在の刄にすることができるんだ。これが『JACK OF HEART』の能力ってわけ。」
仮面の男は凄まじい速さで向かってきた。
ザックは刀を振って影の刄を仮面の男に向けて飛ばした。しかし男は再び消えた。同時にユノが床に倒れる。気絶しているようだ。(この男、格が違う!カードすら出していないじゃないか!これが昨日突然連れてこられた奴の動きか!?)そう考えた直後、ザックも手刀を受け意識を失った。すぐ真後ろで男が呟く。
「・・・『JOKER』を使うまでも無かったか。そろそろ時間だ。貴様等は運がいい・・・が、次は殺す。」
そう言って男は消えた。












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