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『CROWN』
作:是音



TURN24〜TERA's anger〜


コクピットの中でパソコンを打つミシェル。ふいにその手が止まった。
モニターには『プログラム完了』の文字が出ていた。
「ふむ。あとは起動を待つだけですね。」

金色の龍怒の中でミシェルは一息ついた。

その時、金色の龍怒の前、右、左に同時に三つのワープゲートが開いた。

「おや。」

目の前のワープゲートの中からザック、アウス、メーヴェが
右側のワープゲートの中からユノ、レイモンド、サイ、そして黒い虎駝が
左側のワープゲートの中からジン、アンカー、スティング、ライアが出てきた。
「オラ、ミシェル。全員処分失敗だったみたいだな。」

ザックがニヤッと笑って言う。それに対してミシェルはさほど驚いた様子も見せずに

「お見事です。ま、私も時間が稼げたら良い方だと思っていましたから。もともとあんな連中になど期待していません。」



「どうでも良いがミシェル、てめぇはこれだけの人数を一人で相手できるのか?」
レイモンドの皮肉な問い掛けにミシェルはレーダーを見ながら答えた。

「一人?はて何の事でしょう?」

その時遠くからARISが走って来るのが見えた。何故かARISの装甲は傷だらけで、上に乗っている二機の赤い虎駝も同様に傷がついていた。

「ランス隊長!!」
「無事で良かった!」
「お前達、一体どうしたんだ!?」

ランスとハルとアルマが通信無線で会話する。しかし答えを言ったのはミシェルだった。

「魔鬼が暴走しているんですよ。」

見るとARISが走ってくる後ろに大量の魔鬼が追って来ているではないか。


「フフフ、ではザック。最終決戦へと参りましょうか?」

ミシェルはワープゲートを開くと中へ消えていった。

錠剤を飲み、ミシェルを追い掛けてゲートへ入ろうとするメーヴェをアウスが止める。
「メーヴェ!何度言ったらわかるのですか!あなたは戦っては・・・」

アウスはメーヴェの目に強い意志を感じ、それ以上は言えなかった。
「・・・わかりました。しかし最後まであなたを守るのが、私の使命ですから。」
「ごめんなさい、アウス。」
メーヴェとアウスはワープゲートへ入って行った。


「おい!どうするんだよザック!?」

魔鬼の数の多さにたじろいだサイがザックに聞くが、ザックは迷っていた。ミシェルを追うのは当然だが、この魔鬼の量だ。戦力は一人でも多い方がいい。考えあぐねていると、急に背中をバシッと叩かれた。レイモンドだ。

「何迷ってるんだよ!魔鬼はオレ達が引き受けるから、お前はミシェルぶっとばしに行って来い!」

「大丈夫よザックくん、ユノは私が守ってるから!」
「な、何言ってんのよ!と、とにかく、早く行きなさい!」

ユノとライアだ。

「早く行っちまえよ!」
「言っとくけど、メーヴェに傷つけさせたら剛拳だからな!」
「ザック、頼んだよ。」

ハイテンションなジンとアンカー、そしてスティングが言った。

サイがザックへ近づく。
「ザック。オレはミシェルを信じたい。けど、アイツは倒さなきゃいけないんだよな。」
「サイ・・・。」

サイの表情は曇っていた。サイはミシェルとの付き合い一番長かった。裏切られたショックが一番大きかったのはサイだったのだ。
だがサイは
「・・・ザック、生きて帰れよ!!」
満面の笑みでザックを送り出した。

「オレはミシェルぶっ倒してくるから、みんなはARISと自分の命、しっかり守っとけよな!!」

そう言ってザックはゲートの中に消えた。



残っていた三つのワープゲートからオズマ、アザブル、シドが出て来た。
「おお、二人共無事だったか。」
「アハハハ、みんな龍怒壊されて生身で帰ってきてやんの!」
「うっせぇ!てめえもだろクソチビが!!・・・って、何事だよこりゃあ?」

オズマは魔鬼の大群と戦う能力者達を見て目を丸くした。
そこへ黒い虎駝に乗ったランスがやって来た。
「今は一人でも戦力が多い方がいい。
ARISの中にジークフェルドが密かに持ってきていた龍怒の試作機が丁度三体ある。お前達も死にたくないなら戦え。」
そう言ってランスは赤い虎駝達と戦闘に戻って行った。

「ハン!誰が敵だった奴らと一緒に戦うかよ!!って、お前等やる気満々じゃねぇかよ。ちょっと待てって!」
オズマはさっさとARISへ行ってしまった二人を追い掛けていった。




「オ、オズマ様!?シド様にアザブル様まで!一体どうしたのですか!?」

イリュージョン社最高幹部の三人が突然管制室に入ってきた事に兵士達は驚いていた。普段なら近づくことすら許されない人物だ。

「ヤッホー、みんな頑張ってるねぇ!」
シドが手を振る。

「皆、苦難の数々をよく乗り越えて来たな。感謝するぞ。もう一息だ。」
アザブルは皆に礼を言った。

「どーでもいいがさっさと龍怒の試作機ってのを出しな。」

オズマの言葉を聞いた兵士が慌てて三人を連れて管制室を出た。

試作機は通常より一回り大きかった。普通は収納されているスラスターも、大きすぎたのか外部に露出している。レーザーを発射するレンズも、とにかく普通より大きかった。
コクピットに入ったオズマはさらに驚いていた。

「何だこの機体、何で核エネルギーパック三個も積んでんだよ!危なすぎだろうが!!」
「なに?オズマビビってんの〜?僕は乗りこなす自信あるよ〜。」

シドの言葉にムキになったオズマはスラスター全開で発進してしまった。予想を遥かに超えた加速だ。

「シド、お前は大丈夫なのか?恐ろしい程のGがかかるぞ。」
オズマの発進した様子を見たアザブルが言った。
「大丈夫!僕は天才だからね!」
そう言ってシドは発進した。アザブルも後に続いた。



魔鬼の中には下級クラスはほとんどいなかった。暴走で互いが互いを攻撃し合った結果、テラで生き残ったのは上級クラスだけになっていたのだ。
中には見たこともないタイプの魔鬼までいる。その中の一体、デモン型と似ているが体の色が青く、すらりと手足の長い魔鬼がユノの目の前に立った。

『キサマラ・・・我々ノ本体・・・ドコヤッタ』

魔鬼が喋ったのだ。ユノの近くで戦っていたライアとサイもその様子を見て固まった。

「こいつ・・・喋った!?」
「魔鬼にも言葉がわかる奴がいたのか!?」

その青い魔鬼は続ける。
『アレ、我々ノ本体。我々アレ奪ワレルト死ヌ。キサマト同ジ種族、奪ッタ。ソレカラ我々オカシクナッタ。』

ユノは落ち着いて、魔鬼と話すことにした。
「あれはあなたたちにとって何なの?それに何故あなたは私達の言葉を話せるの?」

『アレ我々ノチカラノ源。言葉ハ、覚エタ。オレ、仲間ノ意識ノ中入レル。キサマラニ知ラナイ世界連レテ行カレタ仲間ノ意志カラキサマラノ言葉覚エタ。』

つまりこの青い魔鬼には仲間の意識の中に入る能力があり、イリュージョン社によってCROWNへ転送された下級魔鬼の意志の中に入って言葉を覚えたということらしい。それにこの魔鬼、妙にふらついている。

『源、無クナッタ、皆意識失ッタ。オレモ・・・モウ・・・失イ・・・カ、オ、オォォォォ!!!』

突然暴走した青い魔鬼が腕を振ってユノに襲い掛かったが、頭部を爆破されて崩れ落ちた。

「どうやら新資源はこいつらにとってなくてはならない物らしいな。」
「それを奪っていった種族の私達を狙っているのね。」




テラ全域から集まってくる上級魔鬼は気が遠くなる数だった。倒しても倒しても丘から次々と魔鬼が現れる。だんだんとARISの周りは魔鬼で埋め尽くされていった。その中を恐ろしい速さで飛び回る機体がいた。オズマだ。胸から巨大なレンズが出る。

「死ね雑魚共ぉぉぉ!」

レンズの三倍の太さはあるレーザーが発射され、線上の魔鬼は全て蒸発した。


「あれは龍怒?何で加勢してるの?」

驚異的な攻撃力に驚きながらライアが疑問をもつ。
そこへスラスターで轟音をあげながらシドが降りて来た。
「気分って奴だよ〜。それよりすごいでしょあのレーザー!ただここだけの話、攻撃力は絶大だけどその分だけ冷却量も絶大なの。だから装甲は放熱性を高めるために普通の龍怒より強度が格段に落ちてるんだよね〜。」

と説明するシドの背後にムカデ型魔鬼が数体飛び出した。しかしそれらが原型を留めていたのはほんの一瞬だった。
両手の指全部から出したビームウィップが魔鬼たちを網のように包み込み、バラバラにしたのだ。

「これを動かしてるのが子供っていうのが恐ろしいわね。」
ライアは苦笑した。



「あれ!?もしかしておっさん!?何で?」
「誰がおっさんだ!我が社の兵士達が危険にさらされているのだ。黙って見てはおれん!!」

牙隠を動かしていたサイがパンチで魔鬼十体を吹き飛ばす豪快な戦いをしている龍怒を見つけて言った。

「おっさん意外と仲間想いなんだな。」
「だから俺は25歳だ!」
「マジかよ!?そんな喋り方だからてっきり40代のオヤジかと思ったぜ・・・。」



ザック、アウス、メーヴェは暗黒の世界にいた。空は常に雲に覆われ、雷が鳴っている。嫌に寒気のする場所だ。

「ようこそ、異世界『ヴァルガ』へ。ここが私とあなた達との最終決戦の場です。あ、魔鬼は心配しなくて良いですよ。この世界の魔鬼は全滅した筈ですから。フフフ。」

金色の龍怒から笑い声が聞こえる。金色の龍怒は虹色のオーラに包まれていた。虹色のオーラの周りにはさらに紫のオーラが広がっている。
「ザック、新資源システムはまだ起動していないようだ。」
「倒すなら今だな。」

アウスとザックは構えた。既にメーヴェは意識を集中している。


「さあ、始めましょうか!」












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