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恋の季節が過ぎたら

作者:菊池 匠
 いつも教室の隅っこにポツンと居座る僕は教室の背景としてよく馴染んでいる。クラスには馴染めないくせに。

 だから、今日の一学期の終業式がすごく楽しみだった。明日からの夏休み。帰宅部の僕は部活に追われることもなく、遊び呆ける訳でもないけど、普段よりはマシな一日が送れる気がする。
 待ちに待った終業式を終えて、誰と話すでもなく一人でせっせと帰宅の準備をして門を出た。

 平日の午前中とあって街の人気は少なく、車だけがせわしなく行き交う。

 まばらな雲たちがせっせと雨水をかき集めている。

 雨を予感させる微かに甘い匂い。

 どうして傘を持って来なかったんだろうと歩道橋を渡りながら思う。後悔しても仕方がない。まだ間に合うかもしれない。降ってくる前に早く帰ろう。

 学生鞄を片手にぶら下げ、早足で階段を駆け下りる。
 家に着くまでの記憶はない。ただ道順に沿って歩くだけだから。

 ときどき歩き方が可笑しくないか不安になる。周りでひそひそと嘲笑してはいないか。そういうときはばれないようにちらっと後ろを見る。後頭部にも目が付いていればいいんだけど。そして誰も僕を笑っちゃいない。むしろ無関心みたいに見える。

 だけど今日もなんだか気になって後ろを向いた。

 一人だけ、僕の後ろを歩いていた。

「うん。そう。だからぁ少し遅れるって。うん。ばいばい」

 見慣れない私立の制服を着た女の子は携帯を片手に溜め息を吐いた。
 僕は呼吸の仕方も忘れてずっとその女の子に見入っていた。
 後ろに彼女以外は誰もいなかった。
 たとえ彼女のほかに誰がいたとしても彼女から目が離せないのは同じだった。
 いつの間にか心は体を置いてどこかへ彷徨った。あまりにも唐突に溢れた胸の痛みに耐えられなかったから。
 どれだけ立ち止まっていたんだろう? 気付けば彼女は臆病な声でも届くほど近い距離まで近づいていた。

 見間違いだと自分に言い聞かせて、声を掛けるのを躊躇った。

 思いがけず彼女の方から話しかけてきた。

「もしかして……。春登くん?」

 やっぱり見間違いじゃなかった。もう会えないと思ってたのに。

 閉まって置いた想いがずんずん押し寄せてくる。南京錠を掛けて、鍵は飲み込んだはずなのに、この気持ちは収まりそうにない。他人の振りなんて出来っこない。

「久しぶり。佐々岡さん」少し震えた声が出た。

 彼女ははにかんだ。「わあ。やっぱり春登くんだった。高校に入ってから全然会わなかったね」
「うん。ほんとに久しぶり」
「なんか雰囲気変わったねぇ。イメチェン?」
「そうかな。変わってないと思うけど」

 目の前の彼女がいつかの君とぴったり重なった。全然変わってない様子にどこか安心した。

「せっかくだしさ。どこか座って話そうよ」

 期待を込めた目に見つめられる。

 二重の瞼に、か細いまつ毛が綺麗に整えられている。目いっぱい光で満たされた黒目。

 吸い寄せられるように僕は頷いた。



 少し歩いたところにある公園に僕らは移った。ベンチに座っている僕ら二人のほかに砂場で砂の城を作って遊んでいる子供たちがいた。

 中央に植えられた桜の木は緑の葉で生い茂っている。普段は涼しい木陰を作るこの木も今日はお役御免だ。

「何か飲もうよ。何がいい?」

 がまぐちの丸っこい財布を片手に佐々岡さんが自販機の前でこっちを振り向く。おごるよ、とわざとらしくウインクしてる。

「じゃあ、おすすめで」
「りょうかい」とびしっと敬礼。

 白い指が淡く反射している。彼女がよくやる癖だ。何か頼まれたら、とにかく敬礼しちゃう癖。そういうところも好きだった。明るくて、誰とでも仲良くなれて、自分より他人を優先出来るところとかさ。気が付けばめちゃくちゃ好きになっていた。中二の頃には学校では常に彼女を目で追っていた。

 ぼうっと雲の流れを眺めていると首元にひやりと冷たい刺激が走った。

 佐々岡さんがポップなラベルのペットボトルを差し出していた。

 ありがたく受け取ると、佐々岡さんもベンチに座る。

 僕と佐倉さんの間に隔てるものはなく、当然のように隣同士になる。心臓はそれに気づくよりも早く脈打った。

 触れられそうで触れられない微妙な距離。

 ただ一つ。彼女の嫌なところがあった。
 気のない相手にも距離が近いこと。おかげで僕は叶わない夢を見る羽目になった。

 でもそれは言い訳にしかならない。彼女に悪いところなんて一つもなかった。

 隣で長く伸びた髪がふわりと風に揺れた。

「なんでだろうね。なんで私たち高校生になってから会わなかったんだろうね。結構仲良かったのにね」
「……どうしてだろうね」

 言葉が喉の奥で詰まった。
 本当のことが言いたくて、悩んで、やっぱりやめた。
 何も彼も全部リセット出来るとしたら、きっぱり言えたかな?

『会わなくなったのは、君に片思いするのを諦めたから。仲が良かったのは、好きだったからだよ』

 きっと言えない。

 それに今更告白して何になる。

 彼女は優しいからきっと返事は曖昧にする。僕が忘れられるようにゆっくり後ずさりながら離れて消えていく。

 彼女の唇がペットボトルから離れる。中身はほとんど減っていない。

 スカートの擦れる音が僕の心臓を握り潰す。
 二人の距離が縮まると同時に怖くなった。
 彼女がどこか遠い惑星からやって来た異星人に見えた。

「ねぇ高校では何してるの?」
「特に何もしてないかな」
「何も? 部活とか、生徒会とか」
「……してない」
「無気力ボーイだね」
「かもしれない」
「もしかして、彼女とイチャイチャばっかりしてるの?」
「い、いる訳ないよ、彼女とか」
「いないんだ。じゃあ、好きな人は?」

『君だよ』心の奥底で誰かが呟く。

 言いたければお好きにどうぞ。ただし慰めはしないよ。知ってるんだ、その声。
 その声は臆病者の声だ。

「……いないかな?」
「疑問形だね。怪しいぞ」
「それより佐々岡さんはどうなの?」
「気になるの? 私のこと」
「まあ、一応ね」
「一応かぁ。まあ、いいよ。じゃあ言うね」

 彼女の顔つきが変わった。

 気づいたときには遅かった。僕は思った。ああ、これできっぱり諦められんだなって。

「……いるよ。付き合ってる人」

 ほんとに好きなんだってその染まった頬から嫌というほど伝わる。

 こういう時友人としてなんて言えばいいのかな。友人? 元クラスメート? あれ? 僕って彼女にとってなんだったんだろう?

 とにかく、お祝いしよう。佐々岡さんとその彼氏さんが幸せになれるよう気持ちを込めて。

「おめでとう」

 あっけらかんに出た言葉はまるで僕のじゃないみたい。確かにそうなんだ。これは本心なんかじゃない。
 不思議だな。言いたい言葉は何度勇気を振り絞っても出ないのに、嫌な言葉はこうもあっさりと出てくるんだ。

「ねえ、お姉ちゃん。なんで泣いてるの?」
 砂場で遊ぶ子供の一人が駆けて来て、話し掛けた。
 彼女は泣いていた。
 泣いたまま何も答えず、ただ俯き首を横に振る。
「ねえねえ、お兄ちゃん。どして?」
「僕だって分からないよ」
 どうして泣いてるの?
 分からない。僕のせい? でもそんなはずがない。僕にとっては嫌な言葉だけれど、君には嬉しいはずだから。

「ごめんよ。ごめんよ」

 謝るしかなかった。

 彼女の隣には僕しかいなかったんだから僕が泣かせたとしか考えられない。

「あー、お兄ちゃんが泣かせたんだー」

 周りで子供たちが騒ぐなか必死に謝り続けた。
 首を振り続ける彼女に。泣き続ける彼女に。
 声が枯れても。喉が潰れても。
 涙が止まるまで、謝るしかないと僕は思った。



 いつ降ってもおかしくない曇り空の下、子供たちはまた砂場でせっせと城の建築に勤しむ。

「ごめんね。ほんとにごめん」

 殆ど減っていないペットボトルを両手で握る彼女。落ち着いたのなら何よりだけどさ。

「一体どうしたの?」

 急に泣き出すものだから心配になる。泣くだなんて彼女らしくもない。

「ん。やあ、なんだろね。嬉し泣きって奴なのかな?」

 未だ流れ続ける涙が違うと言う。

「そうなんだ。それならよかった」

 納得した訳じゃない。でもそれ以上は訊けなかった。
 話題を変えないと。必死に考えてはみるものの次を繋ぐ言葉が出ない。

 二人して黙ったまま、砂場の子供たちを眺める。
 砂の城はなかなかいい上出来で、小人が住んでもおかしくない。はしゃぐ子供たちは膝をつき、靴に砂が入ることなんてお構いなしで、砂山にトンネルを開通させている。

 横目で彼女を一瞥した。

 どことなく大人びた眼差しで子供たちを見守っている。彼女の知らない一面は慈愛に満ちていた。

「ねえ、春登くん」
「ん?」

 砂場のほうを眺めたまま彼女は言う。

「ちょっと泣き疲れた」
 右肩に重みを感じる。
「少し……肩借りるね」
「ちょっ、寝ちゃ駄目だよ」
「寝ないよ。少し休むだけ」

 そう一言呟いて彼女は目を瞑った。

 半永久的な静けさが雲のように覆い尽くす。
 その中で心臓が激しく脈を打った。
 柔らかな石鹸の匂いが隣よりもずっと近くで漂う。

 手が微かに触れて、慌てて離した。
 反応はない。
 規則的な呼吸の音が聴こえる。

「佐々岡さん?」

 声を掛けても返事はない。

「どうしよう」

 困惑する僕は助けを求めて彼女の寝顔を見る。
 すーすーと寝息を立てる彼女の頬にはまだ乾き切っていない涙の痕が残っている。

 無意識のうちに頬に手を伸ばして拭った。その手で彼女の左手の小指に触れた。子供の楽しそうなはしゃぎ声が寂しく聞こえる。

 もうすぐ雨が降る。そしたら僕らはさよならを言って別れる。どうせ、もう会うことは出来ないだろう。雨の滴が彼女の頬を伝うまで、この白い小指を繋いでおこう。少しでも彼女が不思議がって僕を忘れないでくれたらそれでいい。



 彼女は笑った。今度は自嘲的な笑みで。

 どす黒い雲は人も建造物も底深くに沈めるために今も雨水を溜めている。アスファルトの道路は濡れていない。僕らはまだ別れてはいなかった。

「彼氏はね。よく君に似てる。控え目なところとか、自分に自信がないところとか、チキンなところも、よく似てる。どうして似た人を好きになったんだろうね? 好みの問題かな? そうだったらいいな」
「罪悪感で私は死にそう」と言った。

 もし全部この曇り空のせいにできたら。彼女から滲み出るこの凄惨さが湿気のせいなら。僕は晴れ男になりたい。

「雨、降りそうだね」
「……うん」僕は空も見ずに答えた。
「そろそろ帰ろっかな」

 両手を突き出して背伸びする彼女を僕は見ているだけ。まだ半分残ったペットボトルを右手の人差し指と中指で挟み、立ち上がって僕の隣を離れる。

「春登くん。ずっと好きだったよ、ばいばい」

 返事を聞かないまま、僕を置いて去って行った。
 隣に残された冷たい告白が僕を切り裂いた。



 放課後、教室に一人残って進路希望用紙とにらめっこしていた。

 行きたい高校なんてないんだ。先生に勧められる高校で構わないとも思っている。
 でも欲を言えば。

「あ、春登くん。まだ残ってるのー」

 佐々岡さんは鞄を両手で持って、トテトテタッタと駆けてくる。

「あ、うん。進路希望まだ書いてなくて」
「へえー。悩んでるの?」

 相談乗るよっ、と前の席に座って机に腕を組んで顎を乗せた。
 わずか三十センチほどに縮まった距離。それは女の子が使うシャンプーのいい匂いを吸い込むには十分な距離で。僕は少し椅子を後ろに下げる。

「どれどれ」と彼女が用紙を覗きこむ。
「うはー。ほんとに真っ白だ」

 なぜか嬉しそうに驚いて手を挙げた。

「ねえ、佐々岡さん」
「何?」首を傾ける彼女。
「一応参考ということで訊きたいんだけどさ。佐々岡さんの志望校って、もちろん言いたくないならいいだけど」
「春登くんが他の人とか訊くの珍しいね。いいねぇ新鮮だねぇ」
「そうかな?」
「そうだよ。いいよ、教えてあげる」

 表彰台に立つみたく服装を整えて、こほんこほんとわざとらしく小さく咳をする。

「なんだか緊張するね」

 冗談かと思って笑ったら、いきなり手を握られた。うわ、手汗でべっとり。

「何するんだよ」
「いいじゃん。こんなに可愛い女の子の汗だよ。むしろ感謝してよ」
「手汗つけられて感謝する奴なんていないよ」

 それを聞いて彼女はいたずらめいた笑みをこぼす。

「ではでは私の志望校を教えようかな」

 手招きされ僕は机に身を乗り出す。僕ら以外に誰もいない教室の中、まるで秘密の話をするみたいに「私はね」と耳元で囁く。
「え、そこって私立の名門だよね」
「まあね、うちのお父さんの母校がそこでね。どうしても私をそこに行かせたいんだって。それで一時期は揉めたけど私が折れちゃって」
 ぼきっとね、と彼女は棒を折るジェスチャーをする。

 机を転がるシャーペンが彼女の足元に落ちる。

「落ちたよ」

 彼女が身を屈めて拾う。

 元々同じ高校に行きたいと思うこと自体が図々しい。高嶺の花に無理して手を伸ばそうとするから苦しい思いをするんだ。
 あわよくば同じ高校に行きたいとか。一体何に期待してたんだ、僕。

「何か参考になったかな?」
「……うん、ありがとう」と礼を言って、用紙に向かう。
「もう決まったの?」
「うん。やっぱり先生に勧められた高校にするよ」
「すぐに決まったね。ねぇ何に悩んでたの?」

 聞かれたくない核心に一歩近づく。

 いつから?
 この想いを彼女に聞かれたくないと思っていた? 告白したいはずなのに。もう会えなくなるかもしれないのに。でもまだ彼女はいるのに、いるのに。僕は彼女を綺麗な思い出にしようとしてる。
 そう考えると、今二人きりでいる時間がすべて僕のためみたいに思える。
 鼓動が速くなる前に、今の気持ちを伝えたい。

「佐々岡さん、僕は君が—」

 下校時刻を示すチャイムが教室に鳴り響く。鼓膜の奥で終わりを告げられた感覚。

「もうこんな時間。で、春登くんさっき」
「いや、何でもない」口元を歪ませる。

 とっくに鼓動は僕を追い抜いていた。

 思えば彼女の好きなところに気付く度、自分が釣り合わないと身に沁みた。

 閉まってしまおう。いつかこの恋の喜びさえも忘れてしまえるように。

 これから先、誰も好きになれなくても構わない。一生分の恋をした。

 愛しさも喜びも切なさも嫉妬も全部君が教えてくれた。

 それから僕らは夕日を浴びながら帰り道の歩道橋を歩幅を合わせ歩いた。
「さっきからぼーっとしてるよ。他にも悩み事あるの?」

 彼女が軽く肩が当たる距離まで近づいて僕の顔を覗き込む。

「佐々岡さんのことを考えてた」
「ええー私のこと?」
 照れくさそうに笑った彼女の横顔を今も覚えている。



 急いで公園を出た。彼女が歩いて行った方向を見る。少し先で彼女が小さく見える。走って彼女の後を追う。

「待って!」

 声の届く距離。
 彼女の歩く速さは変わらない。

「今まで言えなかったけど」

 手の届く距離。
 濡れたように冷たい彼女の手を引き止めた。
 彼女は立ち止まって振り向いた。

「何? 春登くん」

 ひどく落ち込んだ声はこれ以上訊くなと言う。私に触れるなと言う。

 自分勝手に言うだけ言ってさよならなんて許さない。

 憧れの人はもういない。ガラス越しに見ているだけじゃ駄目だった。彼女に踏み込まなければ始まらない。たとえ突き破ったガラスの破片が足に刺さっても、君が僕を傷つける為に手を振りかざしたとしても、僕は言わなくちゃならない。

「ずっと前から好きです。よかったら僕と付き合って欲しい」

 遥か昔に心の奥底に沈殿した想いも生まれて間もない想いも言葉に乗せた。

 蒸気した頬に雫が滴る。僕の場合は緊張と高揚の汗。彼女の場合は驚喜と後悔の涙。

 ぽつぽつと音がして、タイミングを見計らったように雨が降る。
 雨音はしだいに大きくなって、落ちた雨粒が跳ねて足元に散る。

 砂場で遊んでいた子供たちは走って我が家へと帰る。砂の城は跡形もなく溶けていく。スコップやらバケツやらみんな置いてけぼりにして。きっと彼らは母親に太陽の匂いが染み込んだバスタオルで体を拭かれ、おやつのチョコクッキーと温かいミルクを飲むのだろう。

 そんな彼らもいつの日か恋をする。

 初恋は淡い。二度目はずっともどかしい。何度目の恋でもあの胸の高鳴りは色褪せない。

 高鳴る鼓動を押さえつけ返事を待つ。

 雨に打たれて濡れた彼女は笑っても泣いてもいなかった。

「知らないままでいたかった……」
 弱々しい声に腹が立った。
「でも知ったんだ。返事をしてよ」
「無理に決まってるでしょ」
「じゃあ振ってくれよ」辺りがしんとした。
「僕より今の彼が好きだって、振ってくれよ」
「どうしても言わなきゃいけないの?」
「どうしてもかな」
「この意地悪さんめ」

 諦めの溜め息を吐いて、僕の目を見た。

「振るならとことん振るよ?」
「構わない」
「ひどいこともいっぱい言うよ?」
「望むところだ」

 そして、ほんの数秒だけ間を置いて、彼女は言い放った。

「好きだよ。今の彼の方が。背だって春登くんより高いし、ひねくれてもいないし」

 最初は鋭く切れ味のいいナイフのように。

「成績だっていいよ。困ったときは頼りになるよ」

 でもしだいに口調が緩やかになり優しさの籠った声になる。

「すごく優しいし、みんなの中心だし、他の女の子にも人気だし、君よりいっぱいいっぱい良い所持ってるよ」

 今にも泣きだしてしまいそうな声で。

「だから、春登くん。私に恋を教えてくれてありがとう」

 その一言だけで、ついさっきまで続いた片想いの半分くらいは報われたんじゃないかな。

 ずぶ濡れの僕はそう思った。
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