STORY:01 女神なんてだいっきらい
情けは人の為ならず。
この言葉を正しく理解している人はいるだろうか?
情けはその人をダメにするから情けをかけてはいけない、というのは間違ってるんです。
情けをかけるとその恩情は自分にも返って来るから他人に情けをかけなさい、というのが本来の意味なんです。
ただ、こんな感じで返って来て欲しく無かったなぁ。
目の前に広がっているのは膝の高さぐらいまである草原。ってか、むしろ草以外見えない。
ちょっと落ち着こうか。まずは現状把握だ。
俺の名前は八神零。確か、今日目が覚めたのが9時過ぎ、どうせ遅刻なら、とゆっくり登校していた時、道端に倒れている人に声をかけたんだ。
「大丈夫ですかぁ?起きてますかぁ?」
触るのにはちょっと汚い格好をしていたので靴の先でチョンチョンと突く。反応は無し。それならば、と学校に向かおうと踵を返すとガシッと足首を掴まれた。
「ちょ!おまっ!!」
抵抗空しく地面と豪快にハグするしかなく、綺麗に顔面から着地した。
「痛ぇっつの放せよ!」
「・・・・た・・」
「あぁ?何だよ!しっかり喋れよ!」
苛立ちながら聞き返す。
「お腹空いたぁ〜。」
・・正直、聞かなきゃ良かったと思った。
でも聞いてしまったのだからどうしようもない。近くのファーストフード屋に連れて行き、財布に入っている唯一の野口英世で飯を奢ってやる。あぁこれで今月もピンチだなとか思いながら目の前でハンバーガーにがっついている女性を見遣る。
「ハグハグハグ・・・ブホッ!」
「うわっ!汚っ!誰も取りゃしねぇよ、落ち着いて食え!」
どれだけ食事を抜いたらこれだけがっつけるのだろうか?というか、食については困らないだろうこのご時世にこいつは何をしているんだろうか?
「ヂュルヂュル〜〜ぷはぁ!ごちそうさまでした!」
人の悩みや疑問を他所に、綺麗にハンバーガーのセットを2つも食い切りやがった。
「いやぁ、まさかここまで腹が減るとは思わなかったよ。助かった。ホントにありがと。」
にこやかに笑いながら、さりげなく俺の飲んでいる紅茶にまで手を伸ばす。何なんだこいつは?
「それでね、お礼と言っちゃ何だけど、君にはこれをあげちゃおう!」
そう言って、手首に嵌めていたブレスレット、そしてそこから繋がった右手の指輪5個を外し、俺の方に寄越して来た。
「これはね、意思の腕輪って言ってね、使用者の想いを形に表す事が出来るんだ。指輪はまたそれぞれ使い方があるけど、そのうち覚えると思うよ。」
何か話が胡散臭くなってきた。これで宗教やら壷やら買わされそうになったら逃げるしか無い。そう思って席を立とうとしたんだけど、いつの間にか腕を掴まれ逃げる事が出来ない。この力、本当にこいつは女なのか?
「まぁ慌てない慌てない♪」
強引に俺を元の席に座らせると女は再び口を開いた。
「実はね、私は女神なの。」
有無を言わさず席を立つ俺。しかしまた捕まる腕。強く握られ過ぎて若干痛いっつの。
「そう逃げないで?別に取って食おうってんじゃないんだからさ。」
ケラケラと笑いながらまた強制的に着席させられる。
「まぁ女神って言っても大した事は出来なくてさ、せいぜい人の人生を操るぐらいしか出来ないんだ。」
「・・それはかなり大きな事だと思うぞ?」
逃げようとすると腕を掴まれる。力でも振り放す事が出来ない=逃げられない。そんな図式が成り立ってしまい、しょうがなく話に付き合ってみる。
「そうなのかな?誰かに直接力の行使を出来るのは1回だけだからさ、やりっ放しになっちゃうんだよね。」
「トンデモネー女神だなそりゃ。せめてその対象にならない事を祈るよ。」
「ん?君はもう対象に入れちゃったよ?もうすぐお迎えが来るからねぇ?」
「それは逃げないといけませんね。」
痛い人もここまで来ると立派な物だと思う。これ以上この話に付き合っていると、本当にヤヴァイ事に巻き込まれそうだ。
「逃げる?まっさかぁ!もう決定された事なんだから無理だよ?まぁ深く気にしないで?君の力が遺憾無く発揮出来る様な後押しはしといてあげるし、後は君次第だよ。それに私は受けた恩はのし袋で返すタイプだからね!」
なぁんか嫌な予感がする。まさか、俗に言うファンタジーな世界に首を突っ込む事になるんでしょうか?
「あっ!」
「ん?」
グワァ〜〜ン!!
視線を上に向けると大きなタライが落ちて来た。避ける暇も無く見事にヒット。薄れ行く意識が最後に拾った視覚的聴覚的情報は、頑張れ〜!と気楽に手を振る自称女神の女だった。
回想終了。うん、理解した。首を突っ込むどころか、体全身こっちにやって来ちゃったわけね?これ何てラノベ?よくある話だと帰れるか帰れないかが問題なんだけど、あのクソ女神が力の行使は1回だけって言ってたから、多分後者なんだろうなぁ。
「はぁ〜。」
がっくりと肩を落とし溜め息を漏らす。おおよそトンデモな世界に飛ばされて、アイテムは意思の腕輪って呼んでたこの変な腕輪&指輪、それと鞄。鞄の中には色々な事情で、これまた色々な物が入ってるんだけど、この世界で役に立つのかは不明だ。
「進むしか道は無いよなぁ・・」
リアルに草原でポツンと立っていても何も起こらない。本当は何も起こって欲しくは無いんだが、そうはいかないんだろう。それならば、と進む方向を決めようと思うのだが、右も左も分からないとは正にこの事だ。
「せめてガイドさんか地図ぐらい欲しいな・・」
無い物ねだりをしてみても、何も始まらないのは分かっているが、望まずしてファンタジーな世界の住人になってしまったんだ。これくらいの愚痴は自然とこぼれてしまう。
幸いにして目印となりそうな山が2つある。問題はどちらに向かって歩くかなんだが、街とかに近い方が望ましい。
「ど・ち・ら・に・し・よ・う・か・な?」
古典的な決め方だが他に方法も見当たらない。右の山が当たりかハズレかなんて行ってみなきゃ分からないはずだ。そう意識を前向きに切り替え、鞄を手に持ち意思の腕輪を右手に装着して歩きだす。
神様、どうかこっちの世界では平和に暮らせますように・・
神様ってあの自称女神じゃん!
平和は無理なんだろうなぁ・・・
またテンプレ気味に新しく書き始めちゃいましたー
どうも50話を境に他の事を書きたくなるんですよねぇ(言い訳
とりあえずネタが続く限りは書き続けようと思います。
ってか、読む人っているのだろうか・・・
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。