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エイリアン君問題
 ある日、事件が起きた。
 なんと、私の友達の男の子が、実はエイリアンであった事が判明してしまったのだ。
 私は、驚きを隠せない。
 しかし、私はその程度の事で今までの対応を変えてしまう程弱くはなかった。
 エイリアン君(仮名)は、今までだってずっとエイリアンだったのだ。それを私が知らなかっただけで。それで平気で一緒にいられたのだから、これからだって一緒にいられる。
 それで、私はエイリアン君に向けこう言った。
 「大丈夫よ! あなたがエイリアンだったからって私は気にしない。それでも同じ人間だものね!」
 ところが、それを聞くとエイリアン君はこう返したのだ。
 「いえ、違います。"同じ"人間ではありません。"違う"人間です。ですから、違う人間のまま違う人間として受け入れてください」
 私はびっくりしてしまう。
 「何を言っているの?」
 「長い物には巻かれろ。朱に交われば赤くなる。郷に入っては郷に従え。違う何かを受け入れる時、平等として扱う時、人は"同じ存在"にして受け入れようとします。それは、人が自分とは違う異なったモノを恐れる性質を持っているからでしょう。しかし、それでは結局異なった存在を拒否しているのではありませんか? そういう意味ではそれは平等として扱っているとはいえない。無理矢理に変えられてしまう方の気持ちを考えた事はありますか? これは、実はとても残酷な事なんじゃないでしょうか?」
 私はそれを聞くとすぐさまに反論を考えた。同じにして受け入れる平等が駄目だなんてとんでもない!と、そう思ったからだ。
 ところがエイリアン君は、私の反論を予想していたのか、予知していたのか、流石はエイリアン(偏見?)、私が口を開こうとすると、その前に
 「僕の言う意見に反論しようとしましたね?つまり、あなたは心の中で、僕の存在を拒否しましたね? ほら、それこそ"同じ存在"として受け入れる平等に限界がある事を示しているではありませんか。僕は人畜無害な存在です。害は為しません。それなのに、あなたは拒否しようとする」
 ふぉ、ふぉ、ふぉ、ふぉ、ふぉ、
 それを言い終わると、エイリアン君は笑い出した。
 私は、それが妙にむかついたので、必死に反論を考えた。ええ、考えましたとも!
 「ちょっと待って!」
 そして、それを考え付いた。
 ふぉふぉ?
 エイリアン君の笑い声が止まった。
 「異なった存在を異なった存在のまま受け入れなくてはいけない。この考えは分かるわ。でもね、それで同じ存在として受け入れる平等を受け入れないのだったら、結局あなただって異なった存在を受け入れられていないじゃない! 既に論理矛盾を起こしているわ!」
 それを聞くとエイリアン君はびっくりとした様子を見せた。
 「なるほど、確かにその通りです」
 そして、そう認めると考え込み始めた。
 「もちろん、ここでの平等は、法律的なモノとは違うわよね」
 考え込んでいるエイリアン君に向け私はそう言った。
 エイリアン君は頷いている。
 そして、それからしばらくが経つと口を開いた。
 「数学での解なし命題。『私は嘘を付いている』のようですが、これは現実の問題です。現実世界が我々が思っているよりもずっと不確定であるという事を物語っているような話ですね。しかし、機能面を考えるのなら、便宜上にしろ答えを出しておかねばならない問題でもあるでしょう」
 ふんふん、と私は相槌を打つ。
 「そこで、どうでしょう? この異質平等、同質平等(仮名)を同時に満たす事を目指すというのは? 一見矛盾し合う事柄で、不可能であるように思えますが、人間という性質を持った存在ならばそれが可能でしょう。いえ、むしろ補完し合う事すらできるのではないでしょうか? 機能面で考えても」
 私は、その話を聞くと取り敢えずは了解をした。
 確かにそうだ。機能面で考えたら、同じ存在として受け入れなければいけない時もあるし、異質な存在としてそのまま受け入れなくてはいけない時もある。
 そう思ったからだ。
 もちろん、取り敢えずは、だが。

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