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勉強の神さま(⋈◍>◡<◍)。✧♡ 作者:渋谷スクランブルエッグ(⋈◍>◡<◍)。✧♡
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勉強、大嫌い!?

ここは天上界。

「どこかに勉強の嫌いな子供はいないかな?」

謎の何者かが勉強の嫌いな子供を探していた。

(俺はバカじゃない!!! 勉強なんか大嫌いだ!!!)

男の子供の声が聞こえてくる。その男の子は勉強が嫌い、とても嫌いの様だ。

「いた!? あいつにしよう!」

まだ声だけなのだが謎の何者かが、勉強の嫌いな男の子を見つけたようだ。



ここは、どこにでもあるようなマンションの居間。テレビが置いてあり、小学6年生の男の子が必死にテレビゲームをしている。

「くそ!? どりゃ!? えい!?」

男の子が必死にゲームをしているが、なかなか敵が倒せない。男の子の名前は、佐藤陸さとうりく。どこにでもいるような、普通の男の子である。

「陸、ごはんよ。」

朝ごはんの準備のために台所と食卓を行ったり来たりしている陸のお母さんがいる。陸のお母さんは自分が朝ごはんの準備に忙しいので、精神的なゆとりはない。そして出来立ての温かい料理を愛する息子に食べてほしいと思っている。

「くそ!? どりゃ!? えい!?」

それなのに息子の陸はゲームに夢中でお母さんの呼ぶ声も聞こえないフリをする。

「リク!!!」

お母さんの怒りが絶頂に達した。お母さんは赤鬼のように怒り、ゲーム機のコードをコンセントから抜いた。

「ギャア!? ゲームが消えた!?」

陸はテレビの画面が真っ黒になり、悲鳴に似たような声をあげる。

「なにするんだよ!? もう少しでクリアできたのに!?」

陸はゲームの電源コードを抜くというお母さんの行動に抗議する。

「なんならゲーム機を捨てましょうか?」

お母さんは陸の逆ギレよりも何倍、何十倍も怒っていました。まさに赤鬼のようでした。

「いいえ。ご飯を食べます・・・。」

陸はお母さんを見て、これ以上お母さんを怒らせると本当にゲーム機を捨ててしまうと思い、やっとゲームをやめて、朝ごはんを食べることにした。


こうして佐藤家は朝ごはんを食べ始めた。

陸の家族は、お父さんとお母さんの3人暮らし。しかし、お父さんは会社に行くために、朝早くに家を出てしまう。

「まったく、ゲームと同じくらい勉強をしてくれたらいいのに。」
「無理! ゲームは面白いけど、勉強は面白くない。」
「はあ・・・。」
「勉強が楽しければやってあげるよ。」

陸の趣味はゲーム。テレビゲームを楽しんでやっている。陸は携帯電話やスマホは持っていない。それはお母さんが陸に携帯電話やスマホを持たせると、家の外でもゲームばかりするのが予想できるからだった。

「お母さん、俺にもスマホ買ってよ。みんな持ってるよ。」
「ダメ! 陸はゲームばかりするでしょう。」
「ケチ・・・。」
「誰がケチよ!?」

陸の性格は、お母さんに少し似ていた。毎日一緒に暮らしているのだから、息子とお母さんの性格が似ているのも普通である。お母さんが陸に厳しく当たるのも、息子を想う愛情からだった。

「ごちそうさま。よし! ゲームするぞ!」
「ダメ! もう学校に行くじかんでしょう。」
「ええ・・・。」
「遅刻して、先生に怒られても知らないわよ。」

こうして陸は学校に行った。これが毎朝の佐藤家の日常である。ゲームが大好きで、勉強が大っ嫌いな小学6年生の息子の陸と、息子に勉強をしてもらいたいお母さんの普通の朝だった。


陸は学校の教室に着いた。

「おはよう、陸くん。」
「おはよう、陽菜ちゃん。」

カワイイ女の子が陸に朝のあいさつを笑顔でしてくれた。女の子の名前は、鈴木陽菜すずきひなちゃん。陸の隣の席に座っている。陸と陽菜ちゃんは仲良しであった。

「陸くん、宿題やってきた?」
「うんうん、やってない。ゲームばかりしてた。」
「また先生に怒られるよ。」
「だって、勉強は面白くないんだもん。」

陸は勉強が面白くないので、宿題をやりませんでした。キーンコーンカーンコーンっとベルが鳴り、そこに先生がやって来ます。

「おはよう。」
「おはようございます。」
「それでは昨日の宿題を集めます。ノートを後ろの人から前に送ってください。」
「はい。」

先生の指示で後ろの席に座っている子から、宿題をやったノートを前の席の子へと送ってくる。そしてノートは前にいる先生の元に集まってくる。

「宿題をやっていない子はいますか?」
「はい。」

先生の問いかけに、陸は正直に宿題をやっていなにので、手をあげました。

「また佐藤くんですか。どうして宿題をやってこないのですか?」
「勉強が面白くないからです。」
「勉強が面白い訳ないでしょう。」
「ですよね。」
「・・・今は体罰と騒がれるので、バケツに水を入れて持たせたり、あなたが宿題ができるまで家に帰らせないとか、学校の先生はできません。勉強ができなくなっても先生は知りませんからね。」
「・・・はい。」
「授業に入ります。」

というよりも、陸は宿題をやりたくても、宿題ができませんでした。陸は小学生高学年の勉強など分からない子供になっていたのでした。

(・・・どうせ俺の気持ちなんか、お母さんも先生も分かってくれないんだ。)

陸は自分が勉強が分からないということを自覚していました。しかし子供心に恥ずかしいので、「自分は勉強が分からない。」「自分に勉強を分かるように教えて下さい。」とは言えないのだった。

(勉強しろ! 宿題しろ! 好き勝手言うけど、一度でも俺に勉強を教えてくれたことがあるのかよ!)

普通の子供たちと同じく、陸も親や教師に対して、子供の素直な気持ちを持っていました。大人は子供の気持ちを知ろうともせず、大人の都合のいいように押しつけて、大人の思い通りになると思っているのが嫌でした。

そして授業が終わり、休み時間。

「陸くん、勉強を教えてあげるね。」
「陽菜ちゃん~♪ ありがとう。」
「陸くんは、やればできる子だよ。」
「俺、がんばる!」

勉強嫌いの陸でしたが、カワイイ陽菜ちゃんに勉強を教えてもらうのは好きでした。見方を変えると、勉強は嫌いだど、陽菜ちゃんに勉強を教えてもらうのは好きでした。陸は優しくてカワイイ陽菜ちゃんが大好きでした。

「陽菜ちゃん!」
「高橋くん!?」
「漣!?」

陸と陽菜ちゃんが勉強をしていると、クラスメートの男の子が現れました。男の子の名前は、高橋漣たかはしれんくん。漣くんは陸くんと違い、勉強ができて宿題もちゃんとします。さらに漣くんの親はお金持ちでした。

「陽菜ちゃん、そんな落ちこぼれの相手をしないで、みんなと遊ぼうよ。」
「誰が落ちこぼれだ!?」
「あ、そうか。バカだったな。ワッハッハー!」

漣くんから勉強ができないとバカにされ、自分は勉強ができないと思い込んでしまったり、他人からバカにされる勉強の話をするのも嫌いになります。陸くんはますます勉強が嫌いになりました。

「漣くん、笑っちゃあダメよ!」
「陽菜ちゃん~♪」
「陸くんがかわいそうよ。」
「ガーン・・・。」

グサっ!? 勉強ができないことで、大好きな陽菜ちゃんに同情されることが、1番陸くんの心を傷つけました。失恋にも似たような、好きな女の子からの勉強ができないのは可愛そうという言葉に、陸くんは勉強がもっと嫌いになりました。

「陸! おまえが勉強ができないから、陽菜ちゃんがみんなと遊べないじゃないか!?」
「仕方がないだろう!? 勉強が嫌いなんだから!」
「そうだ! 勉強ができる高橋くんが、陸くんに勉強を教えてあげたらいいんじゃない?」
「嫌だ! 陽菜ちゃんになら教えるが、陸には誰が教えるものか!」
「こっちだって、漣だけはお断りだ!」
「もう2人共!?」

ビビビビビっと陸と漣の間に目から光線が出て火花が飛び散る。2人を見守る陽菜ちゃんは困り果ててしまう。


学校が終わり、自宅に向かって帰り道を下を向きながら暗い顔をして歩いている陸。

「勉強なんか、勉強なんか、大っ嫌いだ・・・。」

お母さんから勉強しろっと言うだけ言われて、学校の先生には勉強ができないと見放されて、同級生の漣からは落ちこぼれとバカにされて、大好きな陽菜ちゃんからは勉強ができないかわいそうな子と同情をされ、陸はますます勉強をする気にもなれず、勉強が大嫌いになった。


陸、自宅に帰る。

「ただいま。」

誰からも「おかえり」の返事はない。陸のお母さんはパートに出ていて、陸が小学校から帰って来ても家にはいなかった。カバンを自分の部屋に置き、口と手を洗い、テレビとゲーム機のあるリビングに向かう。

「さあ! ゲーム! ゲーム!」

陸が学校から帰ってきたらゲームをするのが日課だった。陸は宿題なんかしなかった。勉強が嫌いだらじゃない。勉強に関わる全ての人間が嫌いだったのかもしれない。勉強をするより、誰からもうるさく言われないゲームの方が好きだった。

「くそ!? どりゃ!? えい!?」

陸は勉強ができないことのストレスを晴らすように必死にゲームをする。しかし、気持ちの整理ができていない陸はイライラしているので、ゲームの操作を間違ってしまい、ゲームをクリアすることはできない。

「あああああ!!!」

ゲームの画面にゲームオーバーという文字が出る。陸は声をあげ、頭を両手でかきむしる様な感じで、ゲームを上手く操作できないことにイライラしていた。たださえ、学校で勉強ができないとバカにされてイライラしているのに、大好きなゲームでもストレスが溜まるのだった。

「下手くそ。」

陸の背後から声が聞こえた。ゲームで失敗してゲームオーバーになった陸の心に追い打ちをかけるように。

「え!? 誰だ!?」

陸は誰もいないはずの家の中で、誰かが自分に声をかけたことに驚いた。そして声のした後ろへ振り向いた。

「私は勉強の神スタディーだ。」

陸が後ろを振り向くと、見たこともない小さなお人形があった。その人形は動き言葉を話している。人形は見るからに、ギリシャ神話の神さまのような姿をしていた。

「うわあ!? 人形がしゃべった!?」

陸は人形を少し震える手で指さした。陸の口はビックリして空いたままだった。

「人形ではない、私は神だ。」

目の前の人形またしゃべった。しかし、人形だと思っている陸は、人形が手のひらサイズで小さかったので、それほど動じることはなかった。

「またしゃべった!? こ、こ、これは呪いの人形だ!?」

陸は人形がしゃべることはないと思っている。目の前の人形がしゃべるのは、夢でも見ているのか、それとも悪い呪いを見ている様だった。

「神だと言っている! 私は勉強の神さまだ!」

人形はしゃべったり動いたりしないのに、まるで生きている様だった。自分のことを勉強の神さまだと言っている。

「勉強の神さま?」
「そう、勉強の神さまなのだ。」
「えらそうに・・・。」
「神さまはのえらいのだ。」

陸は勉強が嫌いなので、勉強の神さまのことも好きではありませんでした。勉強ができるからといって、大きな態度をとるのが嫌でした。

「勉強の神さまが、俺に何のようですか?」

陸は疑いの眼差しで勉強の神さまを見る。

「おまえが勉強をできるようにしてやろう。」

勉強の神さまは、勉強が大っ嫌いな陸に、勉強ができるようにしてくれるという。

「はあ!? なにを言っているの!?」

陸は勉強の神さまが何を言っているのかが分からなかった。自分が勉強ができるようになるとは思えなかったからだ。

「私は本当は、おまえが勉強が大好きなことを知っている。」
「俺は勉強なんか大っ嫌いだ。」
「おかしいな。私の姿は勉強が大好きな子供にしか見えないはずなんだが。」

勉強の神さまの姿は、勉強が好きな子供にしか見えないみたいだった。

「どうしておまえが勉強が嫌いになったか教えてやろうか。」
「え?」

陸は勉強をすることも、勉強、勉強と言ってくるお母さんも学校の先生も同級生も嫌いだった。陸は誰も自分の気持ちを分かってはくれないと子供心に思っていた。

「まず、お母さん。勉強しろ、勉強しろというけれど、お母さんが勉強を教えてくれたことはない。」
「え!?」
「どうせお母さんが帰ってきたら、強制的に勉強させられるから、お母さんが帰って来るまでゲームをしておこう。」
「どうしてそれを!?」

勉強の神さまは陸の心の中を読んだみたいに、陸がお母さんに思っていることを言い当てた。陸は目の前の呪いの人形が、本当に神さまに見えてきた。

「次、学校の先生。みんな同じ生徒なのに、勉強のできる生徒は可愛がって、勉強のできない自分のことなんか相手にしてくれない。学校の先生なのに自分には勉強も教えてくれない。」
「どうしてわかるの!? 先生に無視されているって!?」
「神さまは全部お見通しだ。」

次に陸が学校の先生に思っていることも、神さまは言い当てた。

「おまけにクラスメートの高橋漣。ちょっと勉強ができるからって、いつも自分のことをバカにしてくる。勉強さえできれば、バカにされないのに・・・。」
「・・・漣に負けたくない。」

陸は同い年の同級生なのに、自分のことを勉強ができない、勉強ができないと言ってくるので勉強と同じくらい、漣のことが好きではない。

「最後に鈴木陽菜。勉強ができない自分に優しくしてくれるけど、本当は自分のことをどう思っているのだろう。本当は勉強ができないバカだと思っているんじゃないだろうか。」
「うわあ!? もう言わなくていい!? 陽菜ちゃんのことは言わないで!?」

陸は勉強ができないことはどうでもよかった。それどころか勉強ができないことで可愛くて優しい陽菜ちゃんが勉強を教えてくれるのが楽しみだった。しかし本当は大好きな陽菜に勉強ができないとバカだと思われていないかと心配だった。

「わかった! わかったから! 神さまと信じます!」
「それでよろしい。」

陸は自分の思っていることを言い当てた、目の前の呪いの人形を神さまと信じることにした。

「勉強が嫌いという子供は、勉強が嫌いなのではなく、お父さんやお母さん、学校の先生、友達などから、いろいろなことを言われるから、勉強が嫌いになる。」
「言われてみれば・・・。」
「テストの点数も、上がればいいけど、下がったらどうしようという不安があるよね。だからプレッシャーを感じる勉強やテストが嫌いになるのは普通だ。」

勉強が嫌いとは、勉強自体が嫌いなのではなく、勉強におまけとしてついてくる人間関係や目に見えないものが嫌いということになる。

「そうか、なら俺は勉強が嫌いでも悪くないんだ! やった!」
「バカ者!」
「ギャア!?」

勉強が嫌いでもいいと思った陸に、勉強の神さまの怒りが爆発した。大きな声に陸は驚いた。

「勉強が嫌いというのと、勉強ができないというのは、別の話だ。」
「どういうこと? 一緒じゃないの?」

勉強が嫌いと勉強ができないの違いが、勉強が嫌いで勉強ができない陸には同じに思えた。

「勉強が嫌いでも、勉強ができる子はたくさんいる。」
「うそ!?」
「例えば、クラスメートの高橋漣。彼もテストの点はいいけれど、勉強をしなくてよければ、もっと大好きなサッカーをして遊ぶことができると思っている。」
「漣が!?」
「彼は勉強をしてから、サッカーで遊ぶから、誰かさんと違って、テストの点数がいいんだ。」
「グサ!? 軽く俺の悪口なんですけど。」

陸は勉強が嫌いだから、勉強をしないでゲームばかりしている。陸は勉強から逃げ出しているのだった。どうして陸は勉強から逃げ出しているのでしょう。

「陸、おまえの場合は勉強が嫌いなのは、勉強がわからないからだ。」
「ギク!?」
「勉強の問題があったとしても、問題の解き方がわからないから、問題の答えがわからない。わからないと面白くない。
「ギクギク!?」
「だから勉強が嫌いになったんだ。」
「ギクギクギク!?」

下を向いた陸は図星だった。小学校に入学した時は初めての勉強が楽しかった。それなのに、いつの頃からだろう、勉強がわからなくなった。勉強が楽しくなくなった。そして陸は勉強が嫌いになったのだ。

「・・・すごいな、神さまって。俺のこと、なんでもわかるんだ。」

まだ陸は小学6年生の子供。だが子供でも勉強ができないことを恥ずかしいとも思っている。それを認めたくない気持ちもある。自分を勉強ができない可哀そうな子だと認めることをしたくなかった。

「俺だって! 俺だって! 勉強ができれば、お父さんやお母さんによくやったってほめてもらいたい! 学校の先生にも勉強のできる子だって言われたい! 漣なんかにバカバカ言われたくない! 陽菜ちゃんに教えてもらうだけじゃなくて、陽菜ちゃんがわからない問題を、俺がカッコよく教えてあげたいよ!」

これが陸の本当の気持ちであった。陸が心で思っていることは、普通の子供が心の中で思っていることと何も変わらなかった。ただテストの点数の悪い陸には、自分の本当の気持ちを隠して、バカなフリを演じてゲームをするしかなかった。

「・・・でも、ダメなんだ。自分でもわからないんだ。いつからか、勉強がわからなくなってたんだ。もう・・・俺には・・・勉強なんかわからないんだ!」

陸にもわからない。いつから勉強がわからなくなったのか。いつから勉強ができなくなったのか。いつから勉強が嫌いになったのか。きっと、それがわかっている子は勉強ができる子になっているだろう。

「ゴホン。勉強の神さまであるスタディーが、おまえの今を説明してあげましょう。」
「足し算や引き算はできる。でも掛け算や割り算はできない。」
「いや、それぐらいはできるよ。たぶん。」
「・・・。」
「すいません。」

陸の横からの言葉に、勉強の神さまは陸を少し見つめ静かになった。陸が話している時に横から声をかけて悪かったとあやまる。

「簡単に説明すると、分からなくなった時に、親に聞いても親が答えられない。学校の授業はどんどん進んでいく。ということで、わからない問題がわからないままで置いたっきりになっている。さらに新しいわからない問題がくると、もう頭の中は、なにがなんだかわからなくなってしまう。」
「さすが神さま! その通り! わかりやすい説明!」
「それほどでも。」

陸の頭の中には勉強や問題ではなく、わからないがたくさんあり、ブロックのように積み重なっている。わからないから、できないのであり、楽しくないのである。

「誰でもわかる説明としては、1+1=2である。しかし、陸の頭の中では、1+1が、なぜ2になるのか? というところで止まっています。」
「それ、わかる!」
「そして次の問題の2+2がきても、まだ1+1が、なぜ2になるのか? ということを考えています。気づいた頃には、周りの子供は100+100をやっているのに、陸はまだ1+1が、なぜ2になるのかという問題をやっています。陸はわからないところで立ち止まっています。」
「その通り! 神さま、すごい!」
「それほどでも。」

陸はわからない問題をたくさん頭に抱え込んでいた。それを言い当てた勉強の神さまのスタディー。

「やっぱり、俺は勉強のできない子なんだ・・・。」

陸は今の自分を知ったことにより、自分が勉強ができていないと認めました。

「それでは勉強ができない今の陸がわかったところで、陸を勉強ができる子にしよう。」
「え?」
「わからないところがわかったんなら、わからないところをわかるようにすればいいのだ。」
「でも、俺は全部わかってないんだよ!?」
「全部わからなければ、全部わかるようにすればいいだけだ。」
「神さま、カッコイイ。」
「それほどでも。」

陸は呪いの人形と言っていたのに、光かがやく勉強の神さまに見えてきた。しかし神さまはほめられるとてれる。

「陸でもわかるように、陸が大好きなゲームにおきかえて、問題をといていきましょう。」
「やった! ゲームの授業だ!」

陸は思った。学校の授業にゲームの時間があればいいのにと。そうすれば全ての授業が嫌いではなくなる。きっと学校も勉強も楽しくなると思った。

「それでは遊ぶゲームは、これです!」
「勉強クエスト!?」
「勉強と名前についていますが、遊びますか? やめますか?」
「やる! やるよ! だってゲームだもん!」

勉強の神さまのスタディーはいきなりゲームを出しました。ゲームのタイトルは勉強クエスト。勉強と聞くと嫌な感じでしたが、ゲームなので陸は勉強クエストを遊ぶ気満々でした。勉強は嫌いでも、勉強のゲームは好きなのでした。

「勉強クエストって、どんなゲームなの?」
「普通の勇者がモンスターを倒して、姫を助けるというものです。」
「おもしろそう! すぐにやろう!」

陸は勉強の神さまのスタディーからゲームを奪い取り、ゲーム機にセットしました。

「よし! ゲーム、スタート!」

陸はゲームを始めました。ゲーム画面にゲームの始まりの文字と音楽がなりはじまめした。

(ようこそ! 勇者リク!)
「勇者陸!? なんて、いいひびきだ。」
「このゲームは陸だけのゲームです。」
「俺だけのゲーム! カッコイイ!」

勉強クエストは陸に合わせたゲームになっていました。ゲームの主人公の名前も陸の名前になっていました。

「ああ!? 俺だ!?」
「それはゲームの中のアバターです。」
「すごい! 自分の姿がテレビの画面に映っている!」

ゲームの画面に陸の姿が写っていました。これをゲームの中の陸があやつるアバターといいます。陸のアバターは今の陸と同じ服を着ていました。

「それでは冒険に出る前に、剣を持ちましょう。」
「おお!」

画面には勇者リクと剣が映っていました。そして、その上に1+1=という問題も映っていました。

「あれ? どうして勇者リクの上に1があって、勇者リクと剣の間に+があって、剣の上にも1があるの?」
「勇者リクが剣を持てばわかります。」
「よし!」

勇者リクは剣を持った。すると1+1=という問題の横に、2という数字が入った。

(勇者リクは剣を持った。こうげき力が2になった。)
「神さま、これはどういうこと?」
「勇者リクのレベルが1とします。剣のレベルも1とします。」
「ほうほう。」
「レベル1の勇者リクがレベル1の剣を持ったので足したら2になりました。」

1+1=2ということである。陸にも、それはわかっているみたいだった。

「陸、問題だと1+1=2にどうしてなるんだろうって考えてしまうけど、ゲームで考えればどうですか? 1+1=2になることを考えましたか?」
「あ!? そういえば、そんなことをまったく考えなかった。それよりも自分のレベルをあげて、剣のレベルもあげて、俺はもっと強くなるんだって思った。」

陸は勉強ではやる気はない。しかし勉強のゲームだとやる気があった。陸のやる気を見て勉強の神さまのスタディーはうれしかった。

「いいですね。どれだけ考えても1+1=2なんです。そこで立ち止まって、なぜだ? なぜだ? と考えても1+1=2で変わることはないので、考えてもどうにもなりませんよ。」
「そうなんだ。考えても変わらないんだ。」
「さあ! 冒険の始まりですよ!」
「おお! どんどん勇者リクを強くするぞ!」

どんなに考えても、1+1=2ということである。陸は始めて、考えてもどうしようもないことがあると知った。そして、勉強だとわからないと考え込んで、次の問題に進もうとしないが、ゲームだと思うとドンドン強くなりたいので、次の問題に進もうとする陸であった。

「さあ! いよいよ敵との戦いですよ!」
「がんばって戦うぞ!」

勇者リクの敵の名前はタマネギちゃん。カワイイ顔をして、タマネギちゃんは友達を呼びます。

「ん? タマネギちゃんの上にも1という数字があるんだけど。」
「タマネギちゃんは友達を呼ぶので、早くたおさないと、タマネギちゃんだらけになりますよ。」
(タマネギちゃんは友達を呼んだ。タマネギちゃん2が現れた。)
「ええ!?」

タマネギちゃん2の上にも1という数字があり、さらにその上には1+1=という問題の式も表されていた。

(タマネギちゃん2は友達を呼んだ。タマネギちゃん3が現れた。)
「ギャア!? 助けて!?」
「陸、あきらめた、ゲームが終わっちゃうよ。」
「え?」
「ゲームもできない子になってしまっていいの? このゲームができないと、勉強ができない子のままだよ。それでもいいの?」
「・・・嫌だ。ゲームもできなくて、勉強もできない子のままなんて嫌だ! 負けるもんか! タマネギちゃんなんかたおしてやる!」

勇者リクは立ち上がり、タマネギちゃんと必死に戦いました。勉強をする時には見せたことのないやる気で必死に陸は戦いました。

「やった! タマネギちゃんをみんなたおしたぞ!」
「問題です! タマネギちゃんを何匹たおしましたか?」
「10匹!」
「どうして10匹ですか?」
「タマネギちゃんが友達を9匹呼んだので、全部で10匹!」
「正解です!」
「え?」

陸は問題を答えていた。勉強は嫌いなのに、問題をゲームにおきかえると、ゲームを進めるように、陸は問題をかんたんにといていた。

「陸、やればできるじゃないですか!」
「・・・お、俺が、俺が問題をといたんだ!? 」
「そうです。陸が答えたんですよ。」
「やった! 俺が正解したんだ! わ~い! わ~い!」

陸はよろこんだ。まるで初めて問題をといた子供のようによろこんだ。ふしぎなもので少しでも問題がとけると、陸は嫌いな勉強も少しは好きになるし、楽しくなってきた。

「おかしいぞ!? なんだか勉強が楽しい!?」
「わからない問題がとければ、嫌いな勉強が楽しくなるのはとうぜんです。」
「ありがとう! これも神さまのおかげだよ!」
「それほどでも。」

勉強の神さまのスタディーも勉強嫌いの陸が、少しだけだけど勉強の楽しさを知ってくれたのがうれしかった。そして、陸にほめられると神さまはてれた。

「よし! この調子で勉強するぞ!」
「その調子です。」

といっても、陸がやっているのは、ゲームで勉強ができる勉強クエストというゲームだった。

「ただいま。」

そこに陸のお母さんが帰ってきた。

「もう! 陸ったら! またゲームばかりして! 宿題はやったの!?」

お母さんは陸を毎日のようにうたがいの目で見て、ゲームをして勉強をしないので陸のことを怒っていた。これでは陸が勉強が嫌いになるのもわかる気がする。

「勉強をやってるよ!?」
「どこが勉強よ!? ゲームしてるじゃない!?」
「これはただのゲームじゃないよ!? 勉強のゲームだよ!?」
「ゲームはゲームです! ゲームをやめて、勉強しなさい!」

陸は子供ながらに、お母さんにわかってもらおうと説明をした。しかし、いつもゲームばかりしている陸を知っているので、お母さんは陸の話を聞いてくれなかった。

「神さま! 神さまもなんとかお母さんに言ってよ!」
「残念だが、私の姿はお母さんには見えません。」
「そんな!?」
「ホー、ホケキョウ~♪」

こうして陸はお母さんに引きずられて、勉強をするために自分の部屋に連れていかれるのだった。勉強の神さまのスタディーは口笛でも吹いてごまかしていた。

「やっぱり、勉強なんか、嫌いだ!!!」

勉強嫌いの小学6年生の陸が、勉強を好きになる日がくるのだろうか!?

つづく。
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