別れの日縦書き表示RDF


会話だけの短編。
思いつくままに書いてしまいました。
後日、手を入れるかも知れません。
別れの日
作:桜坂 恵


 ねえ、別れましょうか?

 ん?どうした?・・・何かあった?

 ううん、何も・・ただ、ちょっとね。
 でも、クリスマスに会えなかったからだなんて、思わないでね。
 急なお仕事なら仕方ないよ。それはホントに関係ないのよ。

 わかってるよ。そんな事で別れるなんておかしいもの。
 で、なんで?唐突だろ?

 そうでもないわ。

 えっ!そうなの?いつからそんなこと考えてたの?

 ちょっと前から・・。

 なんだそれ・・。
 
 寂しいの。

 寂しい?このところ会えなかったから?

 ううん、違う。そんなんじゃないよ。
 
 ん?なに? 

 自分でもよくわからない。別れ際が寂しいのかな?
 いつかは別れるのよ、きっと・・・そう思うとたまらなく・・・

 うん・・・

 こんな関係がいいわけないし、いつまでも続かないわ。

 こんな関係か・・・こんな中途半端な関係ってか?

 ごめんね、責めてる訳じゃないわ。
 私も承知で続けてきたことだから・・。
 でも、もうそろそろ、いいかなって思って。

 誰か他に出来たのか?好きな奴?

 えっ?いないわよ。そんな人、いるわけないでしょ。

 そっか・・、そうだよな。

 わかってないなぁ。

 何が?俺のこと、嫌いになってきたのか?
 
 ほら、全然わかってない。

 ん?なんだよ。

 大好きよ。今も、昔も。ううん、これからも多分ずっと・・。

 それなのに、別れる?

 そう。別れるの。大好きだから。これ以上好きになれないくらいよ。
 だから、別れるの。

 ・・・約束だよな。

 そう。約束よ。

 どちらかが別れを切り出したら、その日にキッパリ別れること。
 理由など、あれこれ詮索しないこと。・・・だったかな?

 そうそう、良くできました。あってるわ。

 そうか・・仕方ないな。う〜ん・・・

 何?

 惜しい気がしてね。

 まだ別れるのは惜しい?

 そう。いい女だから。

 ありがと。そう言ってもらえる中に別れるのが正解なのよ。

 そんなものか・・。
 ん?どうした?泣いてるのか?

 バカ、泣いてなんか・・・

 泣くくらいなら、別れなきゃいいじゃないか?

 ・・・・・ねえ、お願いがあるの。

 何?

 キスして。

 ああ、いいよ。

 ううん、そうじゃなくって、胸に・・

 ここで?

 そう、ここで。

 わかった。

 ・・・・・・・・・・・・・・

 なあ、どうしても別れるのか?今日?

 うん。そうよ。

 そうか・・・。じゃあ、駅まで送るよ。

 いいわ、ここで。バスがあるから。
 降ろして・・・。

 バスなんて、いつ来るかわからないよ。

 いいの。行って。早く行って。

 ホントにいいのか?

 うん。

 じゃあ、行くよ。

 うん。ありがとうね。
 楽しかった。
 あなたに会えて、幸せだったわ。

 なあ・・・。

 ねえ、早く行って・・・お願い・・・

 ああ、そうだな。・・・・
 じゃあ・・・・

 バイバイ。

 ああ、気を付けろよ。・・・バス、来るのか?

 そのうち来るわ。

 そうか。

 そうよ。あなたが行ってしまえば、きっとバスは来るわ。

 俺がいれば来ない?

 そのうち来るわ。

 ほら、このバス停、使われてないよ。

 知ってるわ。ほんとは歩くのよ。

 ははは・・・駅まで二時間はかかるよ。
 ほら、乗れよ。

 もう一度乗るの?

 ああ、もう一度乗れよ。

 たった今、別れたのに?

 たった今、出会ったことにしろよ。

 今日はお別れの日よ。

 そう。だから、中途半端な関係にさよならしよう。
 別れの日に、田舎道の古いバス停で、いい女を拾った。

 私、拾われたの?

 ああ、大事にするよ。

 どんな風に?

 結婚しよう。

 たった今、会ったばかりよ。田舎道のバス停で。

 それでもいいさ。

 ずいぶん急ね?

 そうでもないさ。

 そんなこと、いつから考えてたの?

 少し前から・・・もう一度キスする?

 うん。

 

 

 


 
 

  


 
 

 

 
  
 

 














ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




◆BACK
小説家になろう