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この作品には 〔残酷描写〕 が含まれています。

ひとかけら

作者:kud
ほんの少しだけ残酷描写あります。流血表現はなくさらっと流す感じです。
騎士さま、あんたが探している女は、この辺じゃちょっとした有名人だ。だけども二度と小娘の名は出さないほうがいいし、だから見つけるのは諦めなさい。小娘がどんなナリか騎士さまは知らないと見える。あの小娘は豚のようだった。身も心もまるで豚だった。まだ年端もいかないはずなのに、そこらの男より大きくて首まわりも二の腕も太ももも、ひどく立派だった。誰よりも強くてみっともない顔の若い娘だ。
こないだの戦争でも随分活躍したから、騎士さまはそれで探しているんだろう?
噂によれば、あの小娘たった一人で三桁は殺したって話しになってる。劣勢でも小娘が出ればあっという間に勝利の風が吹いた。だけど、終わったあとの現場は酷い有様でかえって士気は落ちるくらいだったよ。
小娘の武器は大斧で、それだけだった。町はずれの錬鉄細工屋で自分に合わせた大斧を作らせたんだ。それをただ思う存分力任せに振り回す。いちいち敵と味方の区別なんかしない。斧の射程距離にいるものは全部なぎ倒して殺した。血しぶきと骨の砕ける音に悲鳴、加えて小娘の妙に甲高い笑い声が耳障りで、耳栓して戦うものもいたくらいだ。
そりゃあ小娘に近づくものはいないみんな避ける、当然だ。
でも悪いことに小娘は男あさりが大好きで、殺しが終わったあと必ず酒場で男をくわえこんだ。指名された男に山より高い勇気があれば、断るかもしれんな。あるいは滅法強い力自慢の男なら。そうだな、騎士さまみたいに小娘を返り討ちにする自信のある奴なら。なんてったって騎士さまだからな、自信あるだろう? それにナリを知らないからな。でもその自信が通じるかはやってみなくちゃわからんね。
あの小娘のおかげでこの町は勝った。だけど騎士さま、町の暗い空気がなんとなくでもわかるだろう。
男と人殺しと金が大好きな小娘は、昨日ついに自分の家族、育てのばばあを殺したよ。
ベッドで寝こけるばばあの頭を斧で叩き割ったんだ。ばばあの金歯が欲しかったんだと。
騎士さま、これでも小娘を探すっていうのかい。戦の褒美を渡すっていうのかい。それならどうか騎士さま、お慈悲を乞いたい。
是が非でも褒美を与えるっていうなら、金銀財宝はやめとくれ。
みにくい小娘にひとかけらの愛を恵んで欲しい。
底なし沼みたいにドロドロした罪を購える愛を与えてやって欲しい。あの小娘があんなになっちまったのは、俺があいつを捨てたせいだ。
生まれたばっかりでぎゃあぎゃあ泣きわめくあいつをうるさく思って、深い森の中に捨てたんだ。
生きて戻ってきた姿を見てはじめて俺は、自分のしでかしたことをわかったんだ。わかったところでどうにもできねえ。俺は俺を呪った。それだってどうにもできねえ。あいつは俺だけじゃなくなにもかも憎んでいる。憎むことだけが生きる意味になっちまってる。
俺の罪は俺自身が償う。なんとか娘の罪を購える愛を与えてやって欲しい。
騎士さま、どうかお慈悲を!

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