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第24話 信じる者を救いたい
「・・・そうして、サンタクロースは西の空へ飛んで行きました。

 おしまい。」

パチパチパチッ!

ひときわ大きな拍手をくれるのは、ナオちゃんとその周りにいる1年生くらいの女の子たち。

今日は朗読会の日。ナオちゃんが道場に通う子供たちを連れてきてくれた。

その子達のリクエストでサンタの話をすることに。

「さぁ、みんな。あったかいミルクティーをどうぞ。」

サトおばさんが子供達にコップを手渡していく。

ボクも受け取り、一息つく。

「なかなか良い話じゃったよ、ケンタくん。」

おじいさんとシンちゃんがボクの横に腰掛ける。

シンちゃんとカナちゃんも朗読会を聞きにきてくれるようになった。

「ケンタは将来おじいさんみたいに本を書いたりしたいのか?」

シンちゃんが何気なく聞いてくる。

「ん〜、まだ分かんないな。本を読むのも、こうやって話すのも好きなんだけど。

 本を書くのは難しいよね。」

「まぁ、将来のことじゃから、ゆっくり決めるといいじゃろう。

 もちろん、ワシはケンタくんがモノカキを目指すなら協力は惜しまんよ。」

ミルクティーを一口飲んで、ボクは頭の中をすっきりさせる。

将来か。大学に行く気はないから、10年後にはもうボクは働いているだろう。

何だかそのときの自分なんてぜんぜん想像できないな。

おじいさんみたいに皆を感動させられる仕事ができたら、確かにいいな。

「ありがとう、おじいさん。ゆっくり考えてみるよ。」



「え!?カナちゃん、まだサンタさんにお手紙書いてないの?

 クリスマスは1週間後よ!」

子供たちに混ざって話をしていたナオちゃんの一際大きな声が聞こえた。

どうやら、話題はサンタのプレゼントのようだけど。

小さな子達と一緒に心配そうな目を向けているナオちゃん。

困った顔をしてコッチに助けを求めるカナちゃん。

ボクとシンちゃん、そしておじいさんは顔を見合わせた。

「どうしたの?」

「ケンタくん、カナちゃんがね。まだサンタさんにお手紙を書いてないみたいなの。

 早くしないと、プレゼントがもらえなくなっちゃう。」

もしかして、ナオちゃんは。

シンちゃんがあきれた顔をしている。

「あのな、ナオミ。サンタなんて、んぐっ。」

シンちゃんはおじいさんに口を塞がれる。

「ほっほっ、大丈夫じゃよ。まだまだ間に合うわい。」

おじいさんがシンちゃんを後ろから抑えながら言った。

ああ、やっぱり。

ナオちゃんはサンタクロースが本当にいると信じてる。 



そのとき、ナオちゃんが連れてきた女の子が叫び声をあげた。

「大変です、師範代!

 アタシの家、煙突がありません。」

本気で心配している女の子。

「大丈夫よ。

 サンタさんは玄関とか窓に鍵がかかっててもすぐ開けちゃうんだよ。」

ナオちゃん、それはピッキングです。

「ボクのパパが最近物価が高いから、今年はサンタさんは来ないって言ってた。」

男の子がガッカリしながら愚痴をこぼす。

現実的だな、この子のお父さん。

「心配しないで。

 サンタさんはクリスマス以外は、株でデイトレードしてすごくお金持ちなのよ。」

どんな設定のサンタですか?



でも、クリスマスにプレゼントが無かったら、この子達はすごくガッカリするんだろうな。

ボクはおじいさんに目を向ける。

おじいさんもボクの言いたいことがわかったのか、大きく頷いてくれた。

よし、この子達のために一肌脱ごうじゃないか!

「ねぇ、ミンナ。

 ボクがサンタさんに頼んであげるから、ミンナの家がどこにあるか教えてくれるかな?」
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