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第2話  モノカキ
おじいさんはボクを家の中に入れてくれた。

レオに舐めまわされたので、顔中がべたべたしていた。

洗面所で顔を洗って、ソファに座る。



大きなリビングにはソファとテーブル、それからきれいな風景の絵画がある。

「さて、ケンタ君はジュースがいいかな?暖かいコーヒーは飲めるかい?」

「ジュース。」

おじいさんはにっこりすると2階へあがっていった。

そして降りてくると、オレンジジュースとクッキーを僕の前に、

皿に入ったミルクをレオの前に置いた。

ボクはすごく気になっていることを聞いてみる。




「おじいさんは神様なの?」

「ほ?どうしてだい?」

おじいさんの白い眉毛が持ち上がる。

「さっき、レオに飛びかかられたときに、ボク神様に助けてって言ったんだ。

 そしたら、おじいさんが助けてくれた。

 それに、キッチンは隣の部屋だよね。

 なのに、2階から冷たいジュースを持ってきてくれた。

 神様の力なんでしょ?」

ボクは洗面所からリビングに来るまでにキッチンの位置を見ていた。



おじいさんはとても驚いたようだ。眉毛がさっきよりも上に上がった。

ほとんど隠れていたおじいさんの目がはっきりと見える。

「すごい観察力と想像力じゃの。しかし、ワシは神様ではないぞ。

 2階にも冷蔵庫があっての。飲み物はたいがいそっちに入れておる。」

おじいさんの声はなぜだかとても説得力があって、やっぱり神様みたいだった。




「おじいさんは何をしてる人なの?」

大きな家に住んでいて、まだ15時にもなっていないのに仕事をしている風には見えなかった。

「ワシはな、物書きなんじゃ。」

「モノカキ?」

首を傾げるボクにおじいさんはやさしく教えてくれる。

「お話をつくる人のことじゃよ。ワシは家で書くのが好きでな。 

 だから、ずっと家の中におるんじゃ。」

ボクは本を読むのが好きだったので、そのお話が気になった。

「すごい!見てみたい。」

おじいさんはやさしくレオの頭をなでながら、ボクの目をまっすぐ見ていた。

「よし、いいじゃろ。ただし、今は部屋が散らかっておるでな。

 また明日来なさい。」



ボクは小石を持って帰るのも忘れて、とても楽しい気分で帰った。

ママが不思議そうな顔で、「どうしたの?」と聞いてきたが、

ボクはおじいさんのことは話さなかった。

知らないお家に行ってるのを知ったら、怒るに決まってる。

ボクは明日になるのが楽しみで、いつもより早くベッドに入る。

「どんなお話かな?楽しみだな。」






レオが椅子の横に臥せってこっちを見ている。心配そうな顔をしている。

「わかっとるよ、レオ。わからんようにやるさ。

 さて、明日は何を用意しておくかの?」
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