7日目 憧れの彼女は猫被り
今日も平和な昼休み
いつも俺はタクヤと購買で買ってきたパンを食べていた。
そう、タクヤと食べていた。
断じて、目の前に学年一と言われている美女はいなかった。
なのに、なぜ彼女はいるのだろう。
しかも、にこにことしながら、さも当然という表情で
「あの〜沢式さん?」
「エリカでいいわ。」
「エリカさんはなぜここにいるんでしょうか?」
俺の隣のタクヤもうんうんと頷いている。
「あら?私がいると迷惑かしら?」
「いえ、そんなわけではないんだけど・・・。今まで俺達と接点とかなかったよね?」
そう、今までこの人と関わったことなんてないのだ。
ただの一度も。
クラスも違うし。
エリカさんは俺達にとって憧れの高嶺の花であり、おいそれと話すことなんかできなかった。
俺も一年のころから憧れていた。
なのに、なぜここにいるのだ
「ええ、確かになかったわよ、特には。だから、これから仲良くなっていきたいのだけど・・・迷惑かしら?」
「そういうわけではないですけど・・・」
なんていうか、よくわからない人だ。
答えが答えになってない。
まあ、いいか。と俺が呟くと
「お前って本当に他人に関心が薄いよな。」
とタクヤがあきれたように言った。
どうやら、俺は他人に関心がないように思われているらしい。
まあ、エリカさんのことも特に気にもせずにパンを食べていると
「義兄さん。」
と後ろからやつの声が
振り向くとやはりやつがいた。
「なにを企んでいる義妹よ。」
「うわっ。義兄さんは私のことをそんな風に見てたんだ〜。」
当然だろう。
お前が来ればすなわち俺はピンチに陥る。
それは自然の摂理なのだ。
「あれ?義兄さん。エリカ先輩と知り合いなの?」
「ああ、今日からな・・って、なんで知ってるの?」
「だってエリカ先輩、一年にも有名だもん。」
ああ、そういえばエリカさんは学年を問わず人気がある。
一年に名前が知れ渡っていても不思議ではないか。
「あの、ケイタくん?アヤナさんはあなたの・・・」
「ああ、俺の義妹だよ・・・って・・・え?」
エリカさんがなぜ知っている。
「なんで、アヤナのこと知ってるの?」
「だってアヤナさんってけっこう有名よ。一年生にかわいいこがいるって。」
そうだったのか、こいつが・・・
世も末だな。
「どう?義兄さんも鼻が高いでしょう。」
胸を張るな義妹よ。
いくら胸を張ろうともお前の胸ではあまり効果がない。
「あら?ケイタくんもちょっと人気があるのよ?落ち着いていて、なんだか大人ッぽいって。」
「そんな話聞いたこともないよ。」
「それは、お前が他人に興味がなさすぎるからだ。それにお前何度かラブレターもらっただろうが、しかも俺がお前に渡すように頼まれてお前に渡してるけど一度も行かないし。」
「だって、あれは行ったらお前が居てドッキリでした〜とかそんなやつだろ?」
どうしたみんな?
なんかため息ついたりして
「まあ、義兄さんらしいと言えば義兄さんらしいか・・・」
「そういえばアヤナ。お前何しに来たんだ?」
ああ、そうだったとアヤナ
「今日の帰り、食材買いに行くからついてきて。今日は私がご飯作ろうと思ったんだけど、うち今材料なかったでしょ?」
「ああ、べつにいいが・・・。どうした?お前が自分からご飯をつくるなんて・・」
「まあ、二人暮らしだし。気が向いたというか、鬼の霍乱というか・・・」
お前鬼の霍乱って自分で言うか。
ガタンッ
あれ?エリカさん急に立ち上がってどうしたんだ?
「あなたたち、二人暮らししてるの?!」
「ええ、まあ・・」
「そんなのだめよ!年頃の男女が二人でなんて!」
なんだ、そういうことか。
みんな結構過剰に反応するんだよなぁ
「別に問題ないですよ。義理とは言え妹ですし、こいつこんなんだから女としてはみれませんし・・・。」
「でも・・なにか過ちがあるという可能性も・・・」
「ないですよ〜・・・・まあ過ちがあったらあったでおおしろいかもしれませんし。」
義妹よ、さらっと怖いことを言うな
「ダメよ!過ちなんて!」
「あれ〜エリカ先輩は私たちに過ちがあったら何か困ることでもあるんですか〜?」
義妹よ、挑発するでない。
「あ、あなたたち兄妹でしょ!」
「知らないんですか?義理の兄妹って結婚できるんですよ?」
義妹よ、それはリアルに恐ろしいぞ
「ぐっ、でもダメなものはダメよ!」
「なんでダメなんですか〜?」
「そ、それは・・・あ、あなた後輩でしょ大人しく先輩の言うこと聞きなさい!」
「あ〜そうやってごまかそうとする〜。」
ああ、女同士のけんかって怖い
「とめなくていいのか?」
「タクヤ、あれがお前にとめられるのか?」
すでにけんかはピークに達している。
「この○×△!黙って言うこと聞け!」
エリカさん、すでに口調も変わってます。
「なによ、この○○○!」
義妹、女の子がそんなこと言うんじゃありません。
「なんていうか、エリカさんって、口調も変わっちゃったし。たぶん、あっちが地なんだろうな・・・」
遠くを見ながら言うなタクヤよ。
俺達の憧れのエリカさんはまやかしだったのさ。
「ああ・・・」
現実はなぜこんなにもつらく、厳しいのだろう。
ああ、チャイムが鳴ったな。
しかし、チャイムにもあの二人を止めることは無理なのか
きっと、これは夢なんだろう。
さあ、今日は帰ったら早めに寝よう。 |