短編集 by伊之口浩作(7/7)PDFで表示縦書き表示RDF


短編集 by伊之口浩作
作:伊之口浩作



俺とアイツ


 俺とアイツの関係って、最近どうなのだろう。
 アイツはこの辺りでは誰も敵わないくらい強いし金も持っている。
 俺はもともとアイツほど強くなかったが、昔から妙に対抗心をむき出しにして、いつかは追い越してやろうと必死だった。
 そんな中、俺のそのときのダチの影響もあって、俺はついにアイツと闘った。でも、アイツは何から何まで俺より強くて、結局負けてしまった。
 その後、雨降って地固まるみたいな感じで、アイツが俺のところに遊びにくるようなった。
「はっきり言って、今の君はまだまだだ。私が色々教えてあげよう」
 そういって、アイツは手取り足取りやってくれた。おかげで、今の俺はアイツに肩を並べられるようになった。

 でも、最近のアイツはちょっとおかしい。
 俺のところに来るようになってから、アイツは俺に対して好き放題するようになった。いつまでも俺のところに居座って出て行こうとしないし、俺のところでやりたい放題だ。
 リアルに俺のところから出て行ってほしいし、これ以上ああだこうだ言われたくない。アイツがここにいるせいで、俺自身もどうかなってしまいそうだ。
 けれど、アイツに依存しきっている俺の存在も否めない。アイツがいなければ今の俺はいないわけだし、アイツに守ってもらっている俺もいる。アイツが言うには、
「そうかい。わかった。けれど、君は私なしで本当に大丈夫かな? 周りを見てごらん。君の力だけではどうにもならない不安因子ばかりだろう。そんなわけで、もう少しここにいさせてもらうよ」
 という感じだ。
確かにそうだ。アイツがいないと、俺はほかのやつ等に狙われる。アイツが俺と繋がっていることが、俺にとっての保険みたいなものだから。
 それに、俺は昔からはっきりしない性格だし、頼まれると断れない。ゴリ押しされるとどうも弱い。下手をすればなんでもかんでも言いなりになってしまう。
 でもやっぱり、今の俺とアイツの関係は異常だ。いくら交友があるからって、やって良いことと悪いことがある。いつまでも都合のいい奴だって思われているのは、間違っているはずだ。早いこと断ち切って、もっと正常な関係にならないといけない。おかしすぎる。
 この微妙な関係は、いったいいつまで続くのだろう……。

 「ノー」と言える日本へ。














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