oneNightday−ある夜の日−縦書き表示RDF



どうぞー
oneNightday−ある夜の日−
作:荒木ヒロ


 夜空に赤い月が出た。切れるような三日月であった。
 そういう日に限って、嫌なことが起こったりするものだ。


 「はぁぁ、ねぇ今日子さん。何でぇわざわざ睡眠時間削ってまで俺達がヤーサンの取引なんか潰さなきゃならねんすか…?…かなりめんどくせ、つ−かそんなの、勝手にやらしときゃいんすよ。俺達には関係ねーんだし。大体、俺明日も学校なんでぇ、今日は早く寝ないといけないんす。しかも、最近この仕事のせいでちょっと寝不足気味で、筋肉痛で、テストも近いんで。ってな感じで成績落ちてっちゃったらどうするんすかぁ? だから今日はこいつらに任せて、俺は帰って寝たいんすけどぉ……」

 都心にある超巨大なお屋敷、昨日今日子きのうきょうこ邸。の作戦地下会議室にてブリーフィングを受けた夜影の三人、夜坂影次やざかえいじ日乃光ひのひかり三日月空海みかづきあみ

 終わった途端、文句をたらたらと発し始める奴がいる。そしてそれはいつものことであった。

 『……1980年、未だ人間と機械との区別が付けられていた時代。一人の天才工学者が自立思考型のアンドロイドとガイノイドを創り出した。多くの人間が待ち望んだ、機械的ルネサンスである。アダムイブはその第1子となる人間、漸次ゼンジを翌年生み出し、人間は人間を作りだし得る人間を創ったことにより、神になろうとしたのであった。
 同年「機械の反乱」の懸念が指摘され(アダムイブに人間から違法に摘出された生殖器が用いられていたことや、そうして出来た自身の子が、科学者の研究対象とされることを拒み、逃がしたこと等が発端となっている)、その工学者は責任として学会を追われ、アダムイブもろとも闇に葬られたはずだった……』

 現在2017年。

 時点から、夜間の犯罪が激増する。夜坂影次17歳の時である。

 それらは影のように現れ、正体も謎のまま、闇に消えていった。と被害者は語るのみであった。更に一般者が助長され、工学の力を使用した犯罪も急増し、公的機関が手をこまねき始めたのである。
 

 そんな法や警察が裁けない、闇夜の悪達を切る「影」、それが夜影である。


 だが現状は……単なる人助けになりつつあった。
 闇夜の悪が姿を現さなくなったからである。もちろん夜影が少しは抑制として働いたのだが。

 リーダー・夜坂影次
 
 地毛黒髪黒目、普通の体格に綺麗な顔立ちで結構モテるが、裏は帰宅部でオタク。クソめんどくさがり。そういう男である。会議室に立つ今は、黒い薄手のコート、その中に黒いシャツ、黒いジーパン、腰に日本刀、リボルバーを一つ、その反対側に下げている。

 そんなやつでも都市の安全は十分に守れていた(嫌々ながら、時々サボろうともする)。

 実際のところ、影次はクラスメイトであり地毛金髪美少女の光が毎朝起こしに行かなければ、そのまま不登校引きこもりに突入し廃人化してしまうような奴である。

 毎度発する悪たれはとりあえず言っているだけに過ぎず、日々の行いからも説得力にいまいち欠ける(とは影次自身もわかっている。分かった上で言っているのだ)。つまり、ただめんどくさい。いきたくないという感情にそれなりの理由を付随させているだけであり癖のようなものだ。
 と、両側にいる光、空海、テーブルを隔てた向こう側、大きなモニターの前に立つ今日子もお見通していた。

 雇い人・昨日今日子・美人変人が呆れたように言う。
 
 「なぁに言ってんのよ。影次君さぁ学校になんかどーせ行きたくないんでしょ? 四の五の言わずにやってくれれば良いのよ。無感情のままでも良いわよ」

 「今日子さん。本来、学生ってのは登校するもんすよ」
 だから作戦に俺は行かない方が良い。と言いたげに首を下げた。

 今日子のため息に、ぷっと光が吹いた。
 影次の発言とは思えないほどの真面目さであったからだ。
 
 NO.2・日乃光
 地毛金髪ショート、残念ながら胸なし、背も小さめ、その他容姿は完璧。勉強嫌い。
 そういう美少女だ。

 今は影次と同様、真っ黒の服に全身を包んでいるが上は革ジャン、下はミニスカートと少し女らしい。黒のレザーグローブっぽい炭素グローブ(カーボンナノテクで変形可能、耐熱摩耗処理済、今日子作)をはめている。
 基本的に突入係、突っ込んでいって敵を潰す前衛タイプである。
 武器は拳と脚。サービスパンチラ係と言って良い。
 
 「うそばっか。今まであたしが起こしに行って寝てた確率、ヒャクパーでしょーが」

 「んなわけあるか。こう見えても俺はクソ真面目だ」

 不真面目に、である。

 しばらく黙って深刻な顔をしていた空海が、隣で口を開いた。
 だが声色は淡々としていて、お分かる通り、器用なのである。

 「影次君。この取引が成功すれば、若年層を中心に氷水市の薬物の使用が三倍増になるって計算なの。それを見過ごすとみんなラリっちゃうの。ちょっと面白そうだけどだめなの」
 今の発言は本気である。興味の抱き方が変なのである。言い換えると天然だ。

 NO.3・三日月空海
 お淑やか、清楚、お嬢様、地毛黒髪ロング、天然美少女、パソコン部の幽霊部員、ネットゲーマー、マニア、オタク、ギャルゲー好き(恋の研究なの。と、それこそどこかのギャルゲーの台詞である)、ハッカー、言語の神……等、こいつに関する情報は尽きない。
 そういう美少女だ。

 今は光と同じ格好をしており、背中にスナイパーライフルと二丁拳銃、両太股にナイフ、右腕に薄型の端末を付けている(左利きであるため)。
 空海は専ら後方支援が多い、しかし、近距離も得意である。

 「そんなの、俺には関係ねーよ」「そうね。関係ないわね」と空海。この言い回しは逆に効果がありそうである。

 「どうせ給料もらったら新しいゲーム買うくせに」と光。そりゃあな。と影次。権利だ。

 毎回このような問答をしていてよく彼らは飽きないものである。これが一種の出動前のパターンと言って良いし、いつも、そうこうしているうちに時間が来てしまうのだ。

 夜の危険なアルバイトの時間である。

 「悪いけど、もう時間よ。影次君の文句は後でゆっくーり聞くから(そんなことより、さっさと済まして寝てぇよ、と影次は思った。光、空海は影次がそう思っているだろうなと思っていた)、とりあえず、言った作戦通りにやって頂戴。良いわね?」

 影次:へぇーへ。やりゃいいんでしょ。や・れ・ば。あーめんどくせー。
 光:うっしゃーっ! 今日は何人潰そっかなぁー!?
 空海:はくちゅんっ。けほけほ。……うぅ。風邪かなぁ? 

 三人は夜の街に飛び出した。
 赤い月が浮かんでいた。

 tobe continued……



中学校の時に書いた物を俺が脚色しました。













ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




◆BACK
小説家になろう