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トラフィック・キングダム 作者:石川博品
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 次の日から、泣くとこ見られちゃったから何か、気まずくて私、多華美とあんま絡まなかった。

 ただ多華美の歩いてるとこ、上履きの中、指ないんだって思うと、トロいっていうより危なっかしく見えて、目で追っちゃう。
 目が合ったら多華美、いつもと同じ感じで、にこって笑う。

 夜、ベルフローラの前、明香たちと集まったら、うちの中学の男子と、西中の染井たちいて、元哉先輩もいた。

 ガードレールんとこ座って、夜なら私、そうやってダベってるより街ん中走ってる方が好きだけど、まあ絶対嫌だってほどでもないし、ダベってその内、多華美来た。

 明香、元哉先輩と、あとうちの中学の男子と、何かしゃべってて、そこに染井も割りこんで、甲高い声で、何か餌欲しがる鳥の雛みたい。
 うちら、そんなん関係ねえから、最近櫻がハマってるっていうゲーム教えてもらって、やってた。

 私、ふだんゲームやらないから、割とすぐ飽きて、他のやつがやってるとこ見てたけど、明香と染井、何かもめてて、最初、染井が元哉先輩に「グランドエイト行きましょうよ」とかいってて、でも明香が「ここにいましょうよ」っていってて、最終的に喧嘩になって元哉先輩「やめとけ」っていったけどふたりとも、喧嘩はじめる。

 私的には別にどうでもよかったけど、明香は一応ツレだし、行っとくかって思って、胸倉つかみあって「何だコラ」「何だコラ」っていってるところに近づいてって、染井に思いっきり腹パン入れたら染井、腹押さえてしゃがみこんだ。

 元哉先輩、「オメエええなあ」とかいって笑ってて私、「はあ」とかいって染井、ツレに助けられてガードレールに寄りかかったけど下向いてて、泣いてるっぽい。

「奈琉、ナイス」とか明香いってるけど、別におまえのためにやったわけじゃねえよって思って私、ナメられんのとか嫌いだから、マジコイツもいっぺんシメとくかって思った。

 で、染井ずっとうつむいて泣いてて、ツレもしょんぼりしてて、明香は調子に乗って元哉先輩としゃべって、うちらは男子とかに話しかけられたけど無視して、退屈だった。

 次の日、学校終わって掃除の時間、「だりい」とかいって窓の外を見てたら校門のとこ、他校の奴いた。

 市立中、みんな制服似てるけど、他校は一発でわかる。

「あれ染井じゃね?」

 明香がプログのカメラでズームした。
 確かに染井といつものツレ三人だ。

 他校の奴来るとか珍しくて、「殴りこみとか怖くね?」とかいって明香と笑ってたら、うちらの学校の奴、三人、行って、染井たちと向かいあった。

 カメラの画像見たらそれ、三年の水本みずもと先輩で、去年うちら新入生のとき、「ちょっと来い」っつってうちらシメようとして逆に私がボコしたんだけどその先輩、染井に絡んで、したら染井いきなり顔殴って、水本先輩、倒れて、校舎の方もどってきたから私、「アイツええな」っつって笑った。

 すこししたら、水本先輩のツレの人、教室来て、
「桐原、大木、西中の奴が呼んでるぞ」っつって、おまえパシリかよって思ったけど、「はい」っつって、そんときには美晴も櫻も多華美も他のクラスから来てたから、「行くべ」っつって、行った。

 昇降口出て校門の方行ったら、教室の窓からみんな見てて、恥ずいんだけど、染井たちもこっち見てて、こんなことならベルフロの前でPING交換しとくんだったって思った。

 行ったら、
「決闘だよコノヤロウ」っていきなり染井がいうから、
「え? いま?」っつったら、
「ちげえよ」ってメッチャキレてて、うけた。

「今日九時、四号と三条の交差点に来い」っていうから、九時かあって思ってたら明香、
「上等だ。やってやんよ」っつってるけど私、多華美の方見たら多華美、割とビビってなくて私、あれって思って、ちょっと考えて私、あって思って染井に、
「九時じゃなくて十時にして」っていった。

 したら染井、
「あァ?」っつってキレたけど私が、
「遅い方がいいじゃん、人に見られなくて」っつったら、
「おお」っつって割と簡単にOKしたから、うけた。

 多華美の方見たら、青い顔してて、やっぱコイツ十時まで出てこれねえから九時なら参加しないで済むと思ってたんだってわかって、ざまあって思った。

「逃げんじゃねえぞコラァ」って染井がいうから私、
「遅れたらごめんな」ってふざけていったら染井、
「あァ?」っつって私、
「まあどっちにしろオメエは今日中に殺すから」っつったら染井、
「あァ?」っつってキレてるけど、ツレ見たらビビってる感じで、コイツら雑魚だなってすぐわかった。

 教室もどる途中で多華美に、
「おまえも来いよ」っつったら、
「私も行かなきゃ駄目?」って嫌そうな顔でいって、やっぱ逃げる気だったんだなって思って、
「来なきゃ最初におまえ殺すから」っつっといた。

 夜、四号と五条の交差点、集まって、多華美も来て、明香先頭で、北に向かった。
 四号と三条の交差点、染井たち、いて、うちらとパケット並べて染井、
「伝説ルールでやんべ」っていうから、わかったっていってうちら、西に向かった。

 多華美がPING飛ばしてきて、「伝説ルールって何?」ってきくから、「まあ見てろ」ってリプした。

 三号との交差点着いたら、逆走する。
 一番うしろだった私が先頭になる。
 ひとつうしろは多華美だ。

 三条通り、そのまま走ってったら、染井たちのパケット、近づいてくる。
 先頭は染井だ。

 私は左手でパケットの外の手すりつかんで、体をパケットの外に出す。
 染井も同じようにしてる。
 すれちがうとき、染井の顔、「オラァ」っつって思いっきり殴る。
 向こうも殴ってくる。

 二人目の奴とも殴りあう。
 三人目のときにすこし休憩して、四人目、ビビって半泣きになってたけど、ぶんなぐったらうしろにひっくりかえって頭ぶつけてた。

 交差点まで来て、みんなに「だいじょうぶか?」ってPING飛ばしたらみんな、「だいじょうぶ」ってリプしてきて多華美だけ、「痛い」っていうから、「頭押さえて丸くなっとけ」っつっといた。

 伝説ルールって、誰がはじめたのか知らないけど、むかしからあるやつで、全員が降参したら負け。

 二回目、今度は私が一番うしろで、ひとつ前の多華美は頭抱えてる。
 これが降参のポーズ。
 あっちのパケットとすれちがったとき、先頭の奴も同じポーズしてた。
 最後の私のパンチが効いたんだと思う。

 そこから何回か殴りあったけど、染井が意外としぶとい。
 うちら、美晴と櫻が降参して、向こうも二人降参して、二対二。私、そろそろ本気出すかって思って、ソーラーパネル盗んだときのレンチ出す。

 一人目、二人目、降参してて、三人目スルーして、四人目の染井、肩のとこ思いっきりレンチでぶんなぐったら、「わあっ」って叫んで、ガクッて腰落とした。

 これで決まったかなって思って、すれちがったあと染井たちのパケット見てたら、何か予感して私、うちらのパケットをグループで動かしてる明香に、「引きかえせ」ってPING飛ばした。

 そんで追っかけて、見てたら、アイツらのパケット、右折してうちらの進むリンクに入ってきて、止まる。
 染井の乗ってたパケットだけが切りはなされて北に走る。

 私、あって思って、パケットから顔出して、止まってる三台のパケットに「どけ」っつって、手を思いきり振った。
 でもソイツら、動かない。

 近づいてきたから、
「おまえらどけっつってんだろうが」って怒鳴ったらソイツら、
「染井がうちらのグループ、ロックして逃げた」って泣きそうな顔でいう。

 染井、ツレを犠牲にして自分だけ逃げて、マジクズだなって思った。
 うちらの進路塞いでる三台のパケット、邪魔だからどかしたいけど、パケットのロック、一ブロック以上離れないと他の人ははずせないから、困って、とりあえずプログでパケコンのマップ見たら、パッてひらめいて私、パケット降りてリンクの上走った。

 リンク細いから、平均台の上を走るようなもんで、あんまスピード出せないけど染井のツレ、私が向かってきたと思って超ビビってて、でも私、ソイツら眼中にねえから、一人のパケットに乗りこんで、体押しこんだ。
 ちょうどそこに南の方からパケット一台、来たから私、乗りうつって、これで染井追っかけんべって思ってたら、
「よし。これで染井追っかけんべ」っつって明香も来て、いやオメエどう見てもこれ一人しか乗れねえだろって思ったけど、いっしょに来てくれたのとか、友情っていうかそういうの、ちょっといいねって思って、
「じゃあおまえこれ動かせ」っつって私、そのパケットの屋根のぼった。

 パケット、北に向かって走りだす。
 風、冷たい。
 パケットの屋根、つかんでたら冷たくて指ちぎれるかと思った。

 一ブロックも離れてないとこに染井のパケット見えて、パケコンのマップですでにマーク済みだけど、そのまわり、パケットが不自然な動きしてた。

「奈琉、染井がまたパケットでうちらの進路塞ごうとしてんぞ」
「おまえパケコンでどかせ。うちはちょっと無理」

 誰も乗ってないパケット、パケコンで動かせるのは近いところにいる方だから、染井よりうちらの方がたぶん有利。

 染井、次の交差点を左折して、二条通りを西に行く。
 うちらもそれにつづいた。

 そのまま三号越えてまた走って、向かい風強くて寒くて私、だんだん腹立ってきた。

 寒いってのもあるんだけど一番腹立つのは、染井アイツどこ逃げるつもりなんだってこと。
 パケットに乗ってる限りアイツ、この街から出らんない。
 そんでうちらもこのパケット乗ってる限り、スピードMAXでもそのMAX、染井のMAXと同じだから、永遠に追いつけない。

 うちら何やってんだろって思って、腹立って、泣きたくなって、染井も、この街も、平気な顔でうちら追いこしていく車も、何もかも許せなくて私、「おい」って怒鳴った。

「おい明香、パケット止めろ」
「は? なんで止めんだよ」
「いいから止めろって」

 止まったパケットから私、フロントガラスをケツで滑りおりてリンクの上、細いとこだけど、走った。

「奈琉おまえ、死ぬ気か?」

 明香がうしろで叫んでるけど、関係ねえって思って私、走った。

 リンクの上、歩くのとか走るのとか、そのために作られてないから、手すりとか、落ちたとき受けとめるネットとか、そんなんなくて、落ちたら死ぬ。
 うちらを殺す車がごうごう、光って、一台一台意志があって、走ってる。

 風、強くて、いくら強いっていったって人の体が飛ぶわけねえって思ってたけど私、飛ばされてバランス崩しそうになる。
 だからもっと速く走る。
 十円玉、強く転がしたらなかなか倒れないのと同じだ。

 私マジでいま、死ぬってことのすぐそばにいる。
 あんま自分が死ぬこととか、まあいつかは死ぬって頭ではわかってたけど、たとえば昨日今日とか、そんなふうに突然来るとは思ってなくて、でもそれ、いま私が走ってるとこの下にある道、てことはこの街の碁盤の目の通りの上に、いっつも死ぬってことが存在してる。

 リンク、通りを渡らなくて済むように、人が車に轢かれないように作られたものだけど、人が轢かれたら死ぬってことはホントでそれ、別にごまかさなくていい。

 うちら、ホントのことごまかされたくない。
 便利なふりしてホントのこと、壁の中閉じこめられたり、遠まわりさせられたり、そんなの嫌だ。

 走ってたら、割とすぐ染井のパケット見えてきて、パケット乗ってたら他の何かと競走することないからわかんなかったけど、パケットってスゲエ遅くて、何だよって思った。

 染井、ふりかえってこっち気づいて、二号通りの交差点、左折しようとするけど、こっちはもう加速ついてるから私、いけるって思って角んとこ、斜めに跳んで、染井のパケット、外の手すり、ガッてつかまった。

 染井、ビビってて私のこと、蹴って落とそうとしたけど私、手で払って乗りこんで一発腹殴る。

 そのまま一気にやっちゃおうと思って、コートのレンチ出して、殴ろうとしたら染井、飛びかかってくる。

 パケット、一人乗りだから狭くて、手首つかまれて壁にガンガンぶつけられて、レンチ落としそうになる。

 それ何とかこらえて、振りほどこうとしたら染井、手に噛みついてきた。
 てって思ったとき、手の中からレンチ、するって落ちて、床にカンって当たって、パケットの外、通りに落ちてった。

「何すんだコラァ」

 まだ噛んでる染井のこと殴ろうとしたら染井、噛むのやめて私の顔にペッて唾、いっぱい溜まってたみたいでいっぱい吐いてきて私、うわって思って横向いたとき、腹に一発食らった。
 それがみぞおち入って、苦しくて、体曲げたら染井の手、私の首にかかって、絞めてきた。

「死ねや桐原ァ」

 息苦しくて染井の手、剥がそうとするけど剥がれない。
 まわりの音、消えて、代わりに耳ん中、ギーンって音、だんだん大きくなる。
 染井、目を大きく開いてて、何かちょっと笑ってるみたいで、ブッサイクだなあって思う。

 目の前何か、暗くなってきて、こりゃやべえってなったとき、ドンって、パケット揺れて、私といっしょに染井、倒れて、パケットのガラスに頭ぶつけた。

 染井の手、私の首からはずれて私、咳しながら前見たら、うちらがいまいるパケットの前に別のパケットいて、それと近づきすぎたから緊急停止したっぽい。

 チャンスと思って私、染井の髪つかんでアッパー三発入れて、したら染井、倒れたから、腹に蹴り入れてやった。

「奈琉、だいじょうぶ?」

 多華美の声聞こえて、あれって思って、見たら、前のパケットに多華美乗ってた。

「おまえどうした?」ってきいたら、
「先まわりしてきた」っていうから、コイツに助けられたなって思って、手振ろうとしたら、染井の髪の毛絡みついてて、ゲッて思った。

 床に倒れてる染井見たら、何か震えてて、やべえ当たりどころ悪かったかって思って、よく見たら、泣いてた。

「オメエ何泣いてんだよ。泣くくらいなら決闘なんかすんなよ」っつって踏んづけたら染井、
「うるせえ」っていってもっと泣く。
 鼻血が垂れて床についてる。

「つーかさ、オメエなんでうちらに喧嘩売ってきた? 昨日の腹パンのせいか?」

 染井しばらく黙って鼻すすってたけどその内、口開いた。

「オメエらが元哉先輩にこび売ってっからだよ」
「は? 媚なんか売ってねえけど?」
「売ってんじゃねえかよ。うちらダベってるとこ、あとから来て、オメエと大木、先輩にすりよって……うちら最初からいたのに……ずるいんだよオメエら」

 染井、スゲエ泣いてて涙、鼻血よりいっぱい出てた。

 私はもう何か嫌になって、ため息しか出なかった。

「わかったわかった。オメエがそう思ったんならそれでいいや。そうやってさ、オメエは一生やってろよ。うちらそんなんどうでもいいからさ」

 何かもう、いやだ。
 何ていうか、小せえなって思って、狭い中でごちゃごちゃやってんなって、そういうのもう厭で、私は離れたかった。
 こんな理由で決闘とか、マジしょうもない。
 目つきが気に食わねえとか学校シメてえとかの方がまだマシだ。

「もう行くべ」

 私は多華美に声かけた。
 染井のパケット降りて、多華美のに乗りうつる。
 狭いから、抱きあうみたいなかっこうになる。

 走りだしたら多華美に顔のぞきこまれた。

「ホントにだいじょうぶ?」
「だいじょうぶだよ。死にかけたけど」

 私は首をさすりながら答えた。

「奈琉、手から血が出てるよ」

 多華美がいうから、見たら、染井に噛まれたところだった。
 多華美が絆創膏くれたから、貼ったけど、染井の唾が傷に入ったって思うと、ちょっと気持ち悪い。

「これ変なバイ菌入りそう」

 私がいったら多華美、笑った。

 工場跡行ってドローン見たら、何かけっこう大きくなってて、前は真ん中の箱と車輪だけだったのに箱のまわり、もう一段大きい箱できてて、車輪を支えるシャフトも長くなってる。
 部品いっぱい食わして、ソーラーパネルの電気いっぱい吸わしてるからだ。

 うちら、座って飴食う。
 口ん中切れてて、飴の味に血の味混じって気持ち悪い。

「おまえ、決闘のとき、だいじょうぶだったか?」

 多華美にきいたら多華美、
「だいじょうぶ。頭叩かれたけど」っていって頭さする。

「何か決闘ってつまんねえな」
「うん。だからもうやめよう」

 車が遠くを走ってる。
 遠いから、音聞こえるけど、バラバラじゃなく固まって聞こえた。

「むかし、車がドローンじゃなかった頃、喧嘩するとき車乗ったりバイク乗ったりして、走りまわってやったらしい。スピード出しまくって、街の好きなとこ行って、相手死んじゃうくらいメチャクチャやったって」
「怖いね」
「でも自由だった。好きなだけスピード出せるし、リンク張ってるとこだけじゃなくいろんなとこ行けたし、つまんねえルールなしで殴りあえた。うちもそんな時代に生まれたかった」
「喧嘩はない方がいいと思うけど」

 多華美はくすって笑った。
 私は血の混じった唾を地面に垂らした。

「うち、この街出たいよ。リンクもパケットもドローンも、狭い中でごちゃごちゃやってる奴らも、みんな嫌いだ」

 そういったら多華美、こっちをじっと見る。

「私のことも?」
「えっ?」
 私はちょっと変な声出した。「おまえのことは別に嫌いじゃないけど?」

「じゃあ行かないで」
 多華美が私の袖つかむ。「奈琉がこの街出ていったら私、またひとりになっちゃう」

「おまえも出りゃいいじゃん、街」

 私は袖を反対の手でひっぱりかえす。でも多華美、放さない。

「私は出られないよ」
「出られんだろ」
「どうやって?」
「わかんねえ。電車とか?」

 私がいったら多華美、ちょっと笑った。

 どうやって(・・・・・)って、出る方法のことじゃないって本当はわかってる。
 出たあとどうやって(・・・・・)住むとこ見つけてどうやって(・・・・・)カネ稼ぐかって話だ。

 街を出るとき私きっと、ドラマで観たような送別会とか駅での見送りとか全然なくて、ひとりで出ていく。
 わかんないけど、きっといまよりひどいとこ行くんだろうって何となく思う。

 街を出るっていったらいまいるとこ、もう街の外で、でもずっとここにいるわけいかなくて、となりで多華美、まだしがみついてる。
 ずっとはいられないけど、いまだけはいられる。

 いまだけだから私、そっと多華美の手に自分の手、重ねる。
 多華美、私の肩に頭を乗せる。
 いまだけだから、いつかもっとひどいとこ行くから、ゆるしてほしいって私、誰にいってんのかわかんないけど、思って、街のこととか、学校のこととか、家のこととか忘れて、ふたりだけになる。

 ドローンが体大きくなったけどまだ甘えるみたいにうちらのそば、ゆっくり動く。
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