ずっと見ているだけの恋でした。
それでも好きでした。
先輩だけが、何だか大人の世界へ旅立って行ってしまうようで哀しいです。
水曜日の午後、いつも廊下ですれ違っていたこと先輩は気付いてたかな…。
先輩はいつ見かけても楽しそうに笑っていましたね。
放課後はいつも窓から先輩の姿を見つめていました。
顧問の先生にいつもよそ見するなと怒られていたこと、いま思い出します。
これからはもう、窓の外に目をやることもなくなるのですね。
だってどこを探しても先輩はもういないのだから…。
吹奏楽部に入っていて嬉しかったことは、最後まで先輩を見られたことです。
先輩のために一生懸命演奏するね。
この曲を演奏したら…
この歌を歌い終わったらもう先輩は…
「それでは次に卒業生代表の言葉。」
桜の花びらが一枚、外からひらひらと舞い降りて私の肩へとまりました。
そうして先輩はこの学校を卒業して行きました。
私の想いをピンク色の紙にたっぷり詰めて渡そうと思ったのに…
想いを伝えようと思ってたのにな…
春の広い青空の下で私は泣いたんだ。
「それ、渡さないの?」
天使がくれたチャンスだったのかもしれない。
「…これ、先輩に書いたんです!!良かったらもらって下さい!」
また一枚、桜の花びらがひらひらと舞い降りて…
今度は先輩の肩に…
「ありがとう。好きになってくれてありがとね。」
こうして卒業式は終わっていきました。
「先輩、卒業おめでとうございます。お元気で…!!」
あれから2年。
先輩と離れてから今年で3回目の春がやって来ました。先輩は元気かな。
ひらひらと…
桜の花びらが…
肩にそっと舞い降りて…
「…久しぶりだね!元気だった?」
春は恋の予感。 |