挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
レベルリセッター ~クリスと迷宮の秘密~ 作者:ブロッコリーライオン

3章 飛躍 十歳冒険者見習い編

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

49/67

49 宴会

 ホーちゃんへの魔力供給を終えた僕は、【索敵】【隠密】【魔力遮断】【気配遮断】を念じて、再び三階層を歩き始めた。
 今なら自分が授かった[固有スキル]の凄さが分かる。
 他の人が戦いづらいところでも戦うことが出来るのだから。

 歩き回って三階層が一階層よりも広いことに気が付いた僕は、魔物の反応を確認しながら、頭に浮かぶ地図に【索敵】で得た魔物の反応を重ね合わせる。
 イルムさんが教えてくれた【地図作製】スキルがこんなに凄いスキルだなんて思ってもみなかった。

 エクスチェンジの話はしていないけど、イルムさんの考える迷宮を踏破するのに、あったら便利だと思うスキルについて聞いたことがあった。
 そしてこの【地図作製】は“とても便利なスキルだから、歩いた場所や景色を覚えて、いつか覚えられるように努力してみるといい”そんな風に教えてもらったスキルだった。

 頭に浮かぶのは今まで歩いたところだけだし、範囲もまだスキルレベルが低いからか【索敵】よりも頭に浮かぶ範囲は狭いけど、それでもエクスチェンジで交換して本当に良かったと思う。

 それから順調に探索を続けた僕は、頭の中に三階層の地図を完成させた。
 ただ頭に全体図は浮かばず、半径三十メートルぐらいの広さだけしか浮かばないけど、それでも【索敵】と併用して使うなら、とても便利なことは間違いなかった。

「う~ん、この後、どうしようかな……」
 今日は初日だから早めに帰るか、それとも先へと進むか、僕は悩み始めた。

 レベルはいつもより早く上がって、既に十レベルに達しているし、魔石の数も順調だ。
 人があまり来ないこの三階層なら、僕は無理をしなくてもいい。
 だけど四階層を見たい気もするし……。
 それともジャイアントバットとちゃんと戦ってみた方がいいのかな……。

 すると頭に反応が現れて、冒険者パーティーが二階層から下りて来て、そのパーティーは迷わずに四階層への階段を目指して進んで行き、そのまま階段を下りていった。
「あのパーティは……」
 それは三階層へ向かう階段の前でウロウロしていたパーティーだった。

 下に迷わず行けるってことは、それだけ強いってことだよね? 何で二階層に? 僕は不思議に思いながら、縄張り争いが終わったのかもしれないと、二階層へと移動することにした。
 まだ一つのパーティーがワームを倒していたけど、さっきのパーティーともう一つのパーティーは既にいなかったので、僕は【地図作製】を進めながら、ワームを倒していくのだった。

 レベルが十一になったところで、ちょうど二階層の地図も完成した。
 そして少し早い気もしたけど【クリーン】を使って身体を浄化して、今日の探索を終えることにした。

 迷宮を出ると、お日様が夕日へ変わり始めた頃だった。
 僕は武器の手入れをするために“グラン鍛冶店”へと向かおうとしたところで、迷宮の入り口に居た見張りの騎士さんに声を掛けられた。
「ちょっといいかな? 君は冒険者なのか? それにパーティーはどうしたんだ?」
「はい、冒険者カードです。パーティーは慌てず探せばいいと師匠に教えてもらって、今日は一人で迷宮へ潜りました」
「ほぅ。クリストファー、十歳……もしかしてシュナイデル団長とジュリスの教え子か?」
「はい。二年間戦い方を教わりました」
「……騎士にはならないのか?」
「はい。シュナイデルさん達には、ずっと騎士にならないかと勧められていましたけど、冒険者になりたかったので」
「そうか。もし君が入ってくれれば、雑務が一気に減るって、ジュリスが騒いでいたのに……残念だ」
 本当に残念そうな顔をして、騎士さんは肩を落とした。
「すみません」
 僕は苦笑いを浮かべながら謝り、冒険者カードを返してもらった。
「いや、自分で選んだ道なら仕方ないさ。だが、もし暇な時があったら、団長やジュリスに言って、騎士の訓練を見に来るといい。きっと騎士になりたくなるから」
「ははっ、考えておきます」
 僕はそう告げて“グラン鍛冶店”へと向かった。

 だけど“グラン鍛冶店”には鍵が掛かっていて、入ることが出来ない状態だった。
「……いつもは誰かしら居るからお店が開いているはずなのに、誰もいないってことだよね?」

 待っていても仕方がないので、僕は“エドガー食堂”へ向かうことにした。
 少しお腹が空いたのと、この時間ならゴロリーさんかエリザさんもいて、迷宮の相談が出来ると思ったからだ。

 そして“エドガー食堂”へとやって来たのだけど、お店では凄く酔っぱらったゴロリーさん達が、凄くにぎやかに宴会をしていた。
 僕が迷宮から戻ってきたことを最初に気づいたのはゴロリーさんだった。
「おっ、クリスじゃないか。もう戻って来たのか?」

「えっとゴロリーさん、お酒を飲んでいるんですか?」
 ゴロリーさんが顔を赤くしているのを、僕は初めて見た気がする。

「ああ、今日はクリスの門出だからな」
「クリス~、儂の作った剣はどうだった?」
 ゴロリーさんが嬉しそうに話してくれたところで、親方が僕の肩に手を置いて、楽しそうに声を掛けてくれた。

「凄く使いやすかったです」
「そうだろう、そうだろう。だがメンテナンスはしっかりとしておけよ。いくら名剣でも、メンテナンスしなければ、直ぐに価値のない剣に成り下がってしまうからな」
 一度“グラン鍛冶店”へ行ったことは、黙っていた方がいいのかな。

「はい。親方達は朝からここに?」
「ああ、今日はゴロリーと一日酒を飲むと決めていたからな。今日は酒がうまいぞ」
「クリ坊のおかげで、今日は酒が飲み放題なんだぜ~。本当にありがとうな」
 レナンドさんは大好きなお酒が飲めて幸せそうだ。

「クリス君が“グラン鍛冶店”へ来てくれたことが、私達にとっては幸運だったよ」
 マイクさんが作った武具は、親方から“魔導具店メルル& 万屋(よろずや)カリフ”で販売する許可が下りて、生活が楽になったことを言っているみたいだ。

「クリストファー君、早く大人になって今度は杯を交わしたいものですね」
 ピケットさんは普段丁寧で寡黙だけど、今日はとても楽しそうにしてくれているので、僕も嬉しくなってくる。

「こらピケット、それは儂のセリフだろ」
「それは俺セリフに決まっているだろうが!」
「なんだと~! クリスの師匠だからって、儂は親方だぞ」
「俺が紹介したのがきっかけだろうが」
 ゴロリーさんとグランさんは徐々にヒートアップして、言い争いになってしまった。
 僕が二人を止めようとすると、マイクさんが僕の頭を撫でて“そのまま見ているといいよ”と何故か笑顔だった。

「やるのか?」
「おう、クリスのことなら、例えドワーフが相手でも、相手になってやる」
「いい度胸だ。おいエドガー酒を持ってこい」
「朝から何度目だよ。まだ飲み比べをするのか」
 エドガーさんの言葉を聞いてマイクさんを見上げると、マイクさんは苦笑いを浮かべていた。
 どうやら朝からずっとこの調子みたいだ。

「そう言えばエリザさん達は?」
「イルムさん達は仕事がありますし、エリザさん達は途中で呆れて帰っていかれました」
「そうなんでね。あ、でも……」
 “エドガー食堂”へ向けて、エリザさんの反応が徐々に近づてくるのを感じた僕は、お店の外へ一旦出てエリザさんを出向かえることにした。

「あ、クリス君。もう戻っていたのね?」
「はい」
「迷宮はどうだった?」
「まだよく分からないですけど、ワームとジャイアントバットは問題なく倒せました」
「あら、凄いじゃない。ところで中はそろそろ落ち着いたかしら?」
「ゴロリーさんとグランさんが楽しそうに飲み比べをしてますよ」
「ふふふっ、まだ飲んでいたの」
「えっと、穏便に?」
「大丈夫よ。少し電撃を落として、酔ってもらうだけだから。クリス君はちょっと危ないから外で待っていてね」
 エリザさんがそう言って、お店の中へ入っていくと直ぐにゴロリーさん達の絶叫がお店の外にまで聞こえてきた。

 それからエリザさんが僕をお店の中へ呼んでくれたので戻ってみると、髪の毛が逆立ったゴロリーさんとグランさんの飲み比べが終わっていた。
 そしてそこからは僕の迷宮での話を聞きながら、アドバイスや経験談、そして噂話などをしてくれた。するといつの間にか外は暗くなっていた。

「あ、剣のメンテナンスしてませんでした」
「そう言えばメンテナンスの道具を渡し忘れてたな。おいマイク」
「はい親方。クリス君、これは携帯の出来るメンテナンス道具だから、迷宮でメンテナンスが必要になったら使うといいよ」
「えっと、いいんですか?」
「クリスも儂の弟子だから問題ない。ただあくまでそれは携帯道具だから、これまでと同様、三日に一度は仕事に来いよ。その代わりにしっかりとメンテナンスはしてやるからな。とりあえず今日は裏庭でメンテナンスするか」
 どうやら親方がメンテナンスしてくれるみたいだ。

「中でやっていいぞ。ただ最後には【クリーン】を使うんだぞ!」
「ありがとう御座います、ゴロリーさん。親方、よろしくお願いします」
「おう」
 こうして親方は剣の研ぎや持ち手の調整などをしてくれた。

「クリス、それと今まで通りの仕事は冒険者ギルドへ依頼しておくから、しっかりと全部受けてくれよ」
「えっと、それっていいんですか?」
「ああ。誰も生ゴミの処理など受けたがらないからな。頼んだぞ?」
「はい」
 冒険者はHランクの依頼を受けなければ、Gランクにはなれない。
 いつまでも依頼を受けないと、冒険者の資質を問われることになるので、とてもありがたい話だった。

「僕、明日からもしっかり頑張ります」
「よし、それじゃあ追加の料理でも食べて、早く大きくなれよ」
 エドガーさんはそう言って、追加の料理を出してくれた。そしてまた宴会の続きが始まり、夜遅くまで賑やかな誕生日になった。


 翌朝、いつも通りにゴロリーさんの家で寝起きして、ゴロリーさんとの早朝訓練を済ませ、美味しい朝食を終えた僕は、冒険者ギルドへと来ていた。
 依頼の張り出してある生ゴミ処理の案件五枚を手に取り、マリアンさんの元へ向かって歩き出したのだけど、そこには見知った顔ぶれが先にマリアンさんの受付で話をしているところだった。

 
お読みいただきありがとう御座います。
i261163
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ