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レベルリセッター ~クリスと迷宮の秘密~ 作者:ブロッコリーライオン

1章 目覚め 五歳編

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04 初戦闘?

四話目
 多くの冒険者らしき人達が出入りしているところが、冒険者ギルドの他にも一か所あった。そのことに気がついたのは、スラム街の子供達と離れた時だ。
 最初は何だろうと思っていたけど、マリアンさんの説明であそこが迷宮なのだと気が付けた。

 僕がその迷宮の入り口だと思った場所には、暗くなってきたからか松明(たいまつ)に火が灯り、一か所だけとても明るくなっていた。
「見張りの人は……一人だけか。マリアンさんは入れないって言っていたけど、ゴロリーさんは入るなって言っていたから、何となく迷宮に入ることは出来る気がする」
 見張りの人が迷宮の入り口に居る間、僕はすることもないので、物陰に隠れて迷宮の入り口を観察しながら、見ているのに疲れたら投げやすそうな石を拾って過ごしていた。
 それから少しすると、見張りの人は何処かへ歩いて行ってしまった。

「少し管理がずさんだと思うけど、魔物が迷宮から溢れる訳でもないし、これが普通なのかもしれないな」
 ただ松明は燃えているので、のんびり迷宮の前を歩いていたらきっと見つかってしまう気がする。
 僕は慎重かつ大胆に辺りを見回し、人がいないこと確認すると、一気に迷宮へと走り込むのだった。 


 迷宮と言われているところは最初に十段ほどの階段があり、転げ落ちそうになってしまったけど、何とか踏み止まることが出来た。
 もう少しで頭から転がってしまうところだった。これで魔物に見つかったら、心配して優しい言葉を掛けてくれたゴロリーさんとマリアンさんに、申し訳が立たないや。
  それから僕は既に迷宮へ入ったのだからと、慌てずに迷宮の奥へと残りの階段を下りて行く。

 ここが迷宮かぁ……聞いていたよりも怖くないや。これならスラム街をこの時間帯に歩く方がずっと怖いなぁ。
 外は暗くなっているのに、迷宮の中は壁や天井、地面に到るまで全てが薄く光っていて、とても明るかったのだ。

「あ、そういえば迷宮が明るくて良かった」
 僕は松明の用意とかしていなかったから、暗かったら来た意味がなくなっちゃうところだった。
 少しだけ抜けていた自分の頬を掻きながら、僕は迷宮内部へ足を踏み出した。

 別に外を歩いているのとさほど変わらないことに、少しだけ拍子抜けした気分だった。
「魔物もいないし、これだけ明るいなら、迷宮に住めるかもしれないな。それで食事は”ゴロリー食堂”を始めとした定食屋さんに行けば、食べさせてもらえそうだし……本当にこれで暮らしていけるかも……」
 色々想像すると、それが一番いい気がしてくるから不思議だ。

 けれど、迷宮では本当に魔物が出るみたいだ……。
 僕とあまり距離の離れていないところに、大きな水の塊が天井から落ちてきたからだ。
 きっとこれがスライムと呼ばれる魔物なのだろう。

「これがスライム……何だかプニプニしているけど、目とか鼻は無いみたいだ。君はどうやって人を感知しているのかな?」
 けれどスライムはゆっくりとこちらへ近づいてくるだけで、言葉を話さない。

「まぁそうだよね。お口もないか喋ることは出来ないか。じゃあ君で試させてもらうね」
 僕は少しだけ来た道を戻り、黒い霧から生ゴミを五kg【排出】した。
 そしてスライムが近寄ってくると、生ゴミを飲み込む為か、迷うことなく薄く膨らむと生ゴミに纏わりついた。

「やった。上手くいったみたい。あ、ちょっとずつ溶けているのかな?」
 どうやらスライムはマリアンさんの言っていた通り、餌を捕食するみたいだ。

「これなら黒い霧の中に生ゴミが入らなくなる心配もないし、誰にも迷惑を掛けずに捨てられるな。……スライムが飼えるように飼育されたら、世界から生ゴミは消えるだろうな」
 本当に薄く餌を捕食しているスライムは無防備に核と呼ばれる石をむき出しにしていた。

 最初は小石を投げようと思ったけど、当てるのが難しそうなので、二つ目のゴミ置き場にあった半分に割れた木の棒を掴んで、ゆっくりと近づき、上から容赦なく叩いてみた。
 すると、何の声も上げることなく、そのままスライムはあっけなく溶けて消えていった。

「……完勝だよね?」
 勝つには勝てたけど、あまりのあっけなさに、今のが本当にスライムだったのか疑問に残る結果となった。

 残ったといえば、消化されていない生ゴミの中にスライムの核とよく似た石があった。

「これなんだろう? まぁ後で調べようかな。今は消化されていない生ゴミを【回収】しなきゃね」
 こうして僕の魔物との初戦闘は危なげなく終わったのだった。

「うん。スライム? なら倒せる気がする」
 今のスライムしか出ないなら、本当に暮らせるかもな。そうと決まれば一階だけを探検して、魔物が現れない部屋がないか確かめよう。
 あまり何も考えず滅茶苦茶に歩き、道に迷って迷宮から出られなくなってしまうことを考えて、壁伝いに歩いていくことを決めて動くことにした……そんな矢先。

「スライムって、複数で行動する時もあるの?」
 先程は戦闘とは呼べる戦いでなかったけど、今度はスライムが三匹固まったいたところに出くわしてしまう。

「とりあえずさっきみたいに近づくのは危ないよね」
 僕は再び黒い霧から生ゴミを複数か所に【排出】した。

 念のため歩いてきた通路にスライムがいないことは確認してから、三匹のスライムへ向かい合うと、スライム達は生ゴミに向けてのそのそ進み出した。
 そして先程のスライムと同様に生ゴミを吸収し始めるのだった。

「今度は拾った小石を投げて当ててみよう……あ」
 僕は核に当たるように狙いを定めて小石を投げた。

 小石はスライムに当たった。しかし、肝心の核には当たらなかったのだ。
 小石を当てられたスライムは生ゴミを吸収するのを止めて、こちらへと近づいてきた。

 僕はもう一度生ゴミを出して後ろに下がると、スライムは生ゴミ目掛けて液体を飛ばした。
 きっとマリアンさんの言っていた溶解液というものだろう。

 生ゴミに当たると酸っぱいニオイが強くなる。
 そこへ今までの倍ほどの速さでスライムが迫り、スライムは一気に薄く伸びると生ゴミを覆った。

「……実は叩いた方が安全なのかもしれない」
 僕は意を決してスライムへと近づき、再び木の棒を振りかぶって核を叩きつけた。
 残りの二匹にも、そぉ~っと近づいて同じように核を叩きつけ、本日二度目の戦闘を終えた。

「ふぅ~、攻撃を受けると吸収を止めるんだな。少し焦っちゃったけど、僕でもスライムは安全に倒せるな。後はこのスライムが落とす石だけど……あ、そうだ」
 僕は黒い霧にスライムが落とした石を入れて、黒い霧に触った。
 すると思っていた通り、スライムの落とした石が何なのか知ることが出来た。

 魔石(低級)×四:魔力を微量に含んだ石で、魔物の生命の結晶。人が食べ続けると魔人となり理性を失う。

「もしかしなくてもこれって売れるよね? やった~!! これを集めれば服も買えるだろうし、宿にも泊まれるよね。よぉ~し、頑張るぞ!」
 食べ続ければ魔人になるみたいだけど、あんなに美味しくなさそうな物を食べるなんて選択肢はなかったので、僕はそのことを頭の片隅へ引っ込めた。

 そしてこの迷宮の一階でスライムが出ない安全な場所を求めながら、スライムを生ゴミが続く限り倒すことを決めた。
 相反する内容だけど、両方とも僕には必要なことだもんね。
 自分で自分の行動を擁護しながら、迷宮の探索を再開した。

 探索中にスライムと遭遇することはあまりなかった。
 それでも遭遇する場合は基本的に複数だったので、スライムの数に合わせて生ゴミをセットし、慌てずそれをスライムが捕食、吸収し始めるのを待ってから安全に倒すことを徹底した。
 その甲斐もあり僕は無傷だ。

 でも、スライムをちょうど十匹倒した際に突如身体に異変が起きた。

「ウッ、熱い」
 突如、身体が熱くなり、身体の内側から力が漲るような感覚を覚えたのだ。
 頭が痛くなることはなかったけど、身体が突然熱くなる病気でもあるのかと思って少し不安になった。

 でも身体に力が漲っただけで、それ以外に変化はないみたいだ。迷宮では不思議なことが起こるんだな。
 僕は身体に漲った力に戸惑いながらも迷宮の探索を続けていく。

 まずは安全な寝床の確保が優先で迷わないように道を確かめながら、ようやく何もない十メートル四方ぐらいの部屋を見つけた。

 部屋と言っても扉があったりする訳ではなく、入り口が狭く三方向は壁だったのだ。
「ここなら出入り口さえ塞いでしまえば、スライムも入って来れないよね」
 一度小部屋に入り、スライムがいないことを確認してから、僕はこの小部屋周辺にいるスライムを倒していくことにした。

「ハッ!! ……あ、まただ、熱い」
 この日、二十五匹目となるスライムを生ゴミと木の棒のコンボで気合を入れて倒すと、また身体に力が漲っていくのを感じた。

「これって何なのかな? もしかしてスライムの祟り? でも祟りなら力は漲らないよね?」
 それから少し考えたけど、僕には分からないと判断した。

 いや、考えるのを一先ず止めることにしたのだった。
 今日一日で色々とあったために、どうやら精神的に疲れてしまっているみたいで、とても眠くなってきたのだ。

 僕は念のため安全エリアと名付けた小部屋の入り口に、ゴミ捨て場で【回収】した小瓶を並べて、もしスライムが来たら小瓶が倒れて起きられるようにちゃんと対策をした。
 そこまでした僕は迷宮の固い床に寝転がり”明日は今日よりも幸せになれますように”そうお祈りしてから眠気に身を委ねるのだった。
お読みいただきありがとう御座います。
i261163
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