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妖祓師物語
作:蘿奏  霄



§八 旅の始まり §


「あれ・・・私・・・」


ゆっくりと莉依は体を起こす


「気がついたか?」


駈焔が声をかけた


莉依は口を開きかけたが、呆然と駈焔を眺め目を丸くする


「・・・・・あ」


莉依の視線の意味がようやく分かった


駈焔の服は血でぐっしょり濡れているのだから


「あ・・・え・・・?」


言葉になっていない莉依の呟き。あーぁという金烏のため息。


なんだ、この重苦しい空気


「あー・・・・これはだな・・・・」


目を覚ましたら血まみれ(服だけ)の人がいたら誰だって混乱するだろう


駈焔はどう説明しようかと頭の中でグルグルと考えをめぐらせた


駈焔があれやこれやと考えているうちに、莉依が状況を把握したようで、さぁっと青ざめて謝りだした


「も、申し訳ございません!!あの人たちにやられたのですよねっ!?私のせいでそんな怪我を・・・っ!申し訳ありませんっ!!」


「べ、別にお前のせいじゃない」


むしろ、いや絶対あいつらの方が悪いだろう


「いいえ、私の、せいです・・・っ」


そういうと莉依は、俯いてボソボソと呟くように話だした


「本当に私、迷惑かけてばかりですね・・・。
今までだって、迷惑かけてばかりで、人の役に立ったことなんて、私一度もないんです」


莉依の目から、涙が零れ落ちた


「それに、挙句の果てにこんな大怪我を負わせてしまって・・・。どうして私は、いつもいつも・・・・。





私、もう、誰とも関らないほうが、いいのかも・・・・・」






『誰とも関らない』。その言葉に、駈焔が反応する


「関らない・・・?」


この少女は、もう自分は誰とも関らないほうがいいと言う


(そうだ・・・・)


俺だって、そうだった。こいつと同じじゃないか


あの、右目を奪われる事件以来、自分は人と関ることを極力避けていた


この右目のせいで、人に嫌われたくなかったから


この右目のせいで、人を巻き込みたくなかったから


この右目のせいで、人に迷惑をかけたくなかったから


一度妖に襲われて、それでも生きていたものは、再び妖に狙われやすいのだ


当初、そんなことは知らなかったが、周りの大人の会話からそのことを知った


怖かったのだ。自分のせいで自分以外が傷つくことが


そして、人から嫌われることで自分が傷つくのが怖かった。


だから、人を避けた。その結果、人に関るのが嫌いだという噂が成立した


だが、逃げ続けるのも苦しかった。自分の存在がないかのようで


(こいつは、そんな世界に自ら入ろうとしている・・・)


ちょうど、昔の自分と同じように


その苦しみを知っている駈焔は、できればそんなことはさせたくなかった


ふと、憐吾という男の言葉が頭に蘇る


『何故あの娘をかばう?』


あのときは、気まぐれだと言った。でも、確かにそうなのだ


この莉依という少女から、どこか自分に似通ったものを感じていた。他の他人(ひと)からは感じ
られない何かを


自分に近い、何かを


そのせいかもしれない。気まぐれを起こす気になったのも


今自分がこんな考えを持っているのも・・・・・


「なぁ・・・・・・・・・・・・俺の旅についてこないか?」


連れが増えるのもいいかもしれないなんて、こんなこと考えるなんて


「・・・・え?」


莉依は驚いたように呟く


「どうせここにいたって、また奴らに狙われるだけだ。家も燃えてなくなったし」


ダンボールでできた家は今は黒焦げの山になっている


「駈焔・・・?」


金烏も驚きを隠しきれない


駈焔が、自ら人と関ろうとしている


こんなこと、何年ぶりだろうか


「迷惑だとか、そんなこと考えなくてもいい」


手を差し出しながら、駈焔は続ける


「旅をしながら逃げたほうが楽しいだろ?」


莉依は駈焔の手をじっと見つめていた


「で、でも・・・私は・・・」


「今は行きたいか行きたくないか聞いてるんだ。他のことなんか考えなくていい」


行きたいか。行きたくないか


「ただそれだけを聞いている」


莉依が駈焔の顔と手を交互に見やり、考え込んだ


「・・・・・・・・・・」


ポツリと、小さく声が漏れた


「・・・・・・きたい」


仄かに笑うと、莉依は駈焔の手を取った


「月見里 莉依、お供させていただきますっ!」





新たな旅が始まった


こんにちはandはじめまして!霄です!またまた久しぶりの投稿・・・;;
憐吾「この小説、作者の漫画を小説にしたものなんですが・・・」
はい、実はここまでが漫画の第一話です
憐吾「長かった・・・。」
次からあまり憐吾が出てこないので、ここで出しときます
憐吾「ちょっとは出るって(多分)。それより夷の方が出ないよ」
夷「次会う日まで僕のことを覚えててくれると嬉しいです」
憐吾・霄「無理だと思います」
夷「・・・・・・」

それでは、引き続き感想・評価お待ちしております!
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それでは、お暇がありましたらまた読んでみてください!











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