第二十四話 私の、望んだモノ 3
第二十四話 私の、望んだモノ3
あれからいったい、どれくらいのときがたったのでしょう?
それはかれにはわかりません。
いちびょう、じゅうびょう、いっぷんとじかんがすぎればすぎるほど、かれのあたまのなかにすんでいるひとびとが、ひとり、またひとりとすくなくなっていきました。
おとこはひとり、ゆうひをぼおっとながめながら、ぶつぶつとなにかをくりかえしいっていました。
「ぼくはいったいなにをしているの? なんで、こんなにさむいばしょにひとりきりなの? どうして・・・。」
“マスターイーザ!!”
「ぼくは、いったいなにを・・・。」
“イーザ!!”
「なんで、こんなにさむい・・・。」
“イーザぁ!!”
“イーザ様!!”
“イーザちゃん!!”
“イーザァ!!”
“イーザぁぁぁぁー!!”
「うううっ・・・どう・・・して・・・ああっ・・・こん・・・な・・・に・・・。」
おとこは、いち度だけ、そのもの達のな前を思いきりさけびました。
叫んだとはいっても、とてもとてもちいさな声で、いまにも消えそうでしたが・・・。
「え・・・エリ・・・ス・・・ルシ・・・あ・・・リリス・・・リリ・・・ム・・・マ・・・リア・・・メイ・・・ル・・・さ・・・くや・・・。」
・
「スピアァ・テンペストォォー!!」
一瞬にして数十に分身したエリスが、同時、多方向より刃を向ける。
“エリス君・・・君は覚えていないだろうけど、以前の君は天使に分類されていた。ゼウスとヘラ・・・神々の子供だったんだよ。そしてやがては争いの女神として、人類をより大きな戦いへと導いていった。”
「プロミネンス・スラトゥルス!!」
ルシアの両の手より発せられた多量の火球。それらは一斉にエリスの分身体を喰らい尽くした。
“そしてルシア君・・・君はルシファー・・・いや、正確にはルシフェル。神々への最大の反逆者にして、光を帯び炎を運ぶ者。神々により、最初に、最も優秀に作られし者。
君は最凶の戦士だったよ・・・天使の骸の上に立つ君の光輝く姿は、今尚僕の目に焼き付いている。”
火炎を払いのけ、エリスは、ルシアは、二人は対峙した。
片や、六の翼持つ神と魔王の血を継ぎし者。
片や、十二の翼持つ、神々最大の反逆者。
“偶然にあらず・・・全て、総て、予定に記されていた紛れもなき事実。・・・片や終焉の使者、END・・・エリスティシウス。
片や創世の使者、BEGNING・・・ルシファー。
この戦いの勝者こそ、世界の覇者なり!!”
「どうして貴様にその力が!!」
エリスが叫ぶ。
普段の彼女からは考えられない言葉遣いである。
「知らないわよ、変な二人に秘密の呪文を教わっただけ。」
「・・・やはり貴様はとっとと始末するべきでした!!」
攻撃、再開。
もう、幾度となく使用した術、“エンシェント・ブラスター”。
追尾性に長けた熱線が、無を形成しながらやって来る。
「わわっ、どうしよ・・・って?」
と、ルシアの脳内を疾駆する、無数の文字。
EP、アル、ないず、クラ・・・あびしっく、ボ・・・くる・・・ソウ、ルシ、まる・・・ぐラし、アギル・・・疎・・・。
(分かる・・・。)
「あっ、アネイルシェント・セレナーデ!!」
ルシアの前方に出現する、半透明、半円形の防壁。
「そんなもので止められる訳が・・・。」
そう先程、マリアが同様の術を用い、すぐに盾は崩壊したのだ。
だが、だがである・・・彼女の防壁はびくともしなかった。
何発もの熱線を受け、さらに、今のエリスの術には空間を削り、情報を削除するという能力も不可しているというのに、盾は一切の輝きを失わずにそこに在る。
いや、ただそれだけではない、信じられない現象が起こる。
「!!」
エリスより放たれた熱線の通過箇所は真っ暗い無・・・無の溝となって、そこらに幾筋も細かい溝が刻まれているのだが・・・。
ルシアの盾、それに術が触れた時、無の侵食は停止、そして反転。
熱線が反転でもしているかの様に、無を逆流し埋めてゆく。無という溝に再び有が流れ始めたのだ。
無の空間は、キレイに有となったのだ。
「すっ・・・すごい・・・ルシアさん・・・。」
「マリア!! こいつは私が止める。だからっ!!」
背後に気配、同時に槍が顔の真横を通過する。
ルシアは槍を、素手で掴み、
「まだ助かるかもしれない、回復を!!」
とマリアに言いつつ空いた手、そこに握られた剣を振るう。
すると、斬撃と同時に凄まじい火炎の嵐が発生、一瞬でエリスを包んだ。
あわや、というところであったが、エアロ・ブーストでどうにか炎な乱流から逃れる。
鎧が一部、溶解していた。
「分・・・かりました、ルシアさん、どうかご無事で!!」
よし、これでどうにか・・・後は・・・。
「スピアァァァ、サイクロン!!」
このバカをどうにかするだけ!!
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