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青空と白月の下に
作:海裡



--:1st armed conflict


 これは、生徒に対する教育における文章である。 

 東日本。
 関東平野を中心とするその勢力は、平等な社会の設立を叫び、独立国家として欧州の後ろ壁の下、立ち上がった。
 地方の負債を抱えきれなくなり始めていた日本政府が地方の自治に大幅な自由を与えていたことも関係し、志を同じくする地方政府が、次々と参加、関東連合との名を持っていたその集団は、東日本の名を宣言。
 タイムラグを挟まず、欧州連合を中心とし、各国がその国家を承認した。
 反対の意を表明したのはアメリカと、それに追従した国のみ。
 この国が旗を上げるとほぼ同時に、アメリカに圧力を受けた旧日本国は、旧首都、東京の奪還作戦を展開する。
 かくして、第一次武力闘争は幕を開いたのである。
 大阪を中心として機動隊を動員した旧日本はしかし、このときに秘密裏にヨーロッパで訓練を積んでいた学兵、義勇兵の抵抗にあう。
 当然、機動隊が小銃に勝る火器を所持しているわけもなく、学兵たちによる奇襲はその勢力を押し返したのである。
 しかし、そこで陸上自衛隊の一部の部隊が旧日本国に参加、戦闘を開始する。
 陸上自衛隊は、基本的に隊員を郷土に配置しているからだ。
 彼らは己が参戦すれば学兵たちは後退すると考えたらしい。
 しかしここで誤算が生じる。学兵、義勇兵は退かなかったのだ。
 方や戦車を有し、かつ長期の訓練を受け、装備は最新の陸上自衛官。
 対して銃の扱いと、短期の付け焼刃の訓練、寄せ集めの装備の学兵、あるいは元自衛官。
 勝負は火を見るより明らかかと思われた。
 実際、前線においてはその損耗率には天と地ほどの差があったのである。
 しかし、そこにマスコミによる扇動が入る。
 子供たちの悲惨な死に様を過激に報道したのである。
 古来、日本人は感情論に弱いものだ。これにより、世論が東日本に傾きかける。
 結果、旧日本は打って出ることができなくなり、一時的に膠着状態が生まれた。
 この膠着は1日2日のものであったが、それで十分だった。
 東日本側と旧日本側である程度の自衛隊の再編が進められている中、膠着していた戦局を傾けるものが現れたのである。
 
 東日本独立戦闘航空団
 
 誰も聞いたことのない航空団。それも当然で、学兵による義勇航空団だったのだ。
 日本国内にこれを配置していては相手に露見してしまう、と、東日本政府は早期に自陣につくと表明していた航空自衛官にあたり、警戒管制を一時適に麻痺させ、かつ、日本に一機のみ存在していた空中給油機、KC−767を確保、護衛機となるF−2A二機とともに運用。
 訓練基地のあったヨーロッパから航空団を飛ばしたのである。
 空中給油を済ませた欧州からの供与機によって編成された航空団は、東京戦線に向かい、攻撃を加えた。
 航空自衛隊はひとつの組織としての団決が強く、西と東に分かれるという事態に追いついていけず、一方的な航空戦力における攻撃が為された。
 いかに自衛官対学兵といっても、航空戦力が投入された以上、旧日本に勝ち目はなく、その陸上勢力は後退をせざるを得ない状況に陥ったのである。

 そこまでは東日本国の計算通りに進んだのである。
 そこで予想外の事態が起こる。
 航空幕僚長が柔軟な対応を取ったのである。
「首相および天皇を擁する旧日本国こそが航空自衛隊の所属するべき勢力である。しかし、やむを得ず、東に下るものもあるであろう。私は幕僚長として、君たちの解放を目指す」
 つまり、東に渡ったものを捕虜とみなし、犯罪者としてのレッテルを貼らずに東へと自由に下れるようにしたのである。
 この発表により、東日本に下ったものは下ったもので、幕僚長に従ったものは旧日本で、編成が早期に完了したのである。
 これにより一方的な虐殺となりかけていた東京戦線が戦場を西に下げて再び膠着状態に入る。
 筈だった。
 後に秩父大空戦と呼ばれる戦いにおいて、ターンアラウンドタイムにおいて圧倒的に劣る東日本勢が、決死の突撃を開始。
 E−2C、早期警戒機を含む数機を撃墜。それに増す被撃墜を出すもこれにより、旧日本は航空優勢を保てなくなり、無駄死にを避けろという幕僚長による指示を機に撤退。
 関東における航空優勢、古く言うなら制空権を東日本が握った。
 特に功績著しいとされたE−2Cを撃墜したパイロット、TACネーム「メーディア」および、戦死者に対して光輪十字剣章と呼ばれる東日本独自の勲章が与えられたのである。


ここまでが、第一次闘争について、兵士が知っていればいいこと。
その後ろを知る必要はないのだ。












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