私は、25才で刀鍛冶屋の手伝いをしている。給料は…安い、仕方がないか…。今時、鍛冶屋など聞いた事が無い人だっているのだから。
主に鍛冶屋の仕事は、顧客からの注文が来ないと始まらない。注文が来たら、鉄に熱を加えて、変形しやすくしてから金槌で叩く。
ここで疑問だが、ことわざで“鉄は熱い内に打て”があるが、これから来ているのかな?
やがて、鉄は研かれて鋭い刃物に変型してモノになる。私はこの作業の手伝いをもう3年もやっているのだ。仕事自体ハードだし、疲労が溜るし、平気で汚れる。しかし不景気な今の時代、ここをクビになったら…と思うと嫌でも頑張らなければならない。
やはり、労働基準法で女性は、朝一から夜遅くまで働けず、ここで働いている男性より給料は安い。でも、辞められない。私にだって生活がある。
今日も金属を叩く音が職場に響き渡る。それも、一定のリズムで鳴っている。皆、仕事中は集中してるので無口だ。ただひたすら熱された鉄を金槌で叩く、叩く。
私は飽々していた、これは私が心から願った仕事では無いから。やっぱ、意を決して辞めようかな…と思った。が、現実は厳しい。
「妙、金槌を交換してくれ。」
と、私を呼ぶ声に私は笑顔で答える。
「はぁい。今、渡しますよ。」
泣けてくる、ダサい私。てか、職場の人間から私は頼られているのだろうか?愛されているのだろうか?正直、不安だ。
でも、一つだけ解っている事がある。それは前の仕事、証券会社入社後にちょっとしたミスでクビになってしまった短きOL時代より、今の私は確実に輝いている事だ。私なりに努力している。
上出来の刃物が出来る度に私は仕事での“涙”を流す。苦しさでは無くて、喜ばしいからだ。
私は今日も鉄を打つ、ひたすら打ち続ける… |