女の子のおねがい その1
涙は女性の武器とどれだけの書籍で見ただろう。どれだけ使い古されてきただろう。どれだけその武器に翻弄されてきただろう。でも、実際利くじゃないか。
「勝手に決めんな! 他に頼る当てがあるんならウチを使おうと思うんじゃねえよッ!」
そこで折れない僕は相当にヒネクレモノだと思う。
「ないもの・・・。」
だから、涙を流すな。
突如としてトーンを落とした彼女の様子は、こちらが何か助け舟を出してあげなければその場で崩れ落ちてしまいそうな、そんな儚げな印象である。
「親、は駄目だったからな。友人は」
「・・・頼れるひと、いないもの。」
「親戚は」
「・・・しらない。」
「彼氏は」
「・・・・・・いないんだもん。」
涙が少しだけ、乾いてきてしまった。
「どんどん幼くなっていくその危険な語尾は」
「言いはると、なるんだもん!」
「頼れない友人その他に強引に頼れよ」
「だからいま、頼ってる!」
「僕じゃなくて!」
「あなたに頼りたいの!」
殺し文句だとも思う。だが、このようなやりとりは過去の経験で、過去の失敗で悟りすぎている。前に進む勇気など持つ筈が無いじゃないか。あんなことがあったんだから。
「だぁ〜、堂々巡りだ! 何で僕!」
「好きになっちゃったから!」
・・・・・・。
うわ〜お。
「・・・だからこんな風にしおらしく生活に乱入して行こうと思ってたのに。こんな感じに話が進んだら全部オジャンじゃないの! 何なのよ!!」
うお。人間が切り替わった。スイッチどこだったのか知んないけど。出来るなら速やかにオフにしてやりたい気もしないでも無い。やかましいし。
なんだか拾った女の子は、テンションの凄さがあった。
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