はじまり
どうも。
すとむみずみです。
"理由なんていらないのかな"、"帰り道"のシリーズです。
よろしくお願いします。
「あ、和人~」
私とかずくんが話している最中なのに、ヒロがさえぎった。ほんとにいつもいつも邪魔だ。
「なんだよ、ヒロ」
かずくんもいやそうに答える。
「和人、一緒ゲームしねぇ?」
「なんのゲーム?」
「ワードバトンゲーム」
「なにそれ」
「会話をリレーしていくんだよ。なにも言えなかったら、そいつの負けだ」
「……」
「そんなふうになったら、俺の勝ちってわけだ」
「……」
「おい、和人! 聞いてんのかよ」
「……やりたくない」
「いーじゃん、やろーぜ」
しつこいな、と思いながら私は聞いていた。かずくんがかわいそうだ。
「やらないって」
「なんでだよ」
「ちょっと、ヒロ!」
私はがまんができなくなって、ヒロを呼んだ。
「いいかげんにしなさいよー! かずくん嫌がってるじゃん」
「じゃあ、かおりでいいから、やろーぜ」
「なんで私がやらなきゃいけないのよ」
「じゃあ、和人、やろーぜ」
ヒロが再びかずっくんの方を向いた。そんなにやりたいのかな。
「ちょっと、ヒロ、ほんとにやめてよね」
「いーじゃん、1回! 1回だけでいいから」
「うるさい、バカ!」
「あー、バカって言ったな! バカって言ったほうがバカなんだぞ」
「そうだとしても、ヒロよりマシよ」
「あー、もう怒った! 桃井先生にゆってやる!」
「え……」
それはまずい。うちの担任の桃井先生は何度も何度もしつこく話をする。ヒロが説教されているのを何度も聞いているので、知っている。
「先生はだめー! それはほんとにやめて」
「じゃあ、言わないからさ、やろうぜ」
「……」
「先生にゆーぞ?」
「わかったわよ。やればいいんでしょ」
「じゃあ、今からな。和人は何もゆーなよ」
かずくんがこくり、とうなずく。
「さっそくだけど、かおり、好きな人いる?」
「えっ……?」
「好きな人だよ」
「………」
「よっしゃ、俺の勝ち~!!」
「ひきょーだよ、そんなの言えるわけないじゃん!」
「ってことは、いるんだな。好きな人が。だれ? もしかして、俺?」
「そんなわけないじゃん!! かずくんだよっ!!」
あ。言っちゃった。ヒロのペースに乗せられて、つい言ってしまった。
「おおおお!! よかったな、和人」
「………」
「………」
「和人、おまえ顔真っ赤だぞ? おお、かおりもじゃん! ラブラブだねぇ~」
ヒロ、お願いだから黙っててっ。
読んでいただきありがとうございました。
感想、アドバイス等々遠慮なく。