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幸せになろう

男子の為の 男子による 男子のクラブ

作者:雪屋なぎ
恋愛ゲーム、ですよね? の番外編。
主人公は『桂』
高校編で登場する『男子部』はどう立ち上がって何をしているのか。
その詳細と、部長『桂』と『Kくん』の相談メールになります。
男子部部長 一年C組 桂徳 一郎。
中学校ではみんな彼を『桂』と呼ぶ。
名前を見た瞬間、みんな『桂 徳一郎』と勘違いをするのだ。

「親の名づけに悪意を感じる」

彼の弟も、更にその下の弟もそう思うだろう。
なぜならば、名前が『次郎』・『三郎』だからだ。
夫婦愛は感じるが、子供に対する愛は、安易過ぎる名の為に感じられない。

彼は女子と話すのは苦手だったが、同性と話すのは楽しいらしく口の滑りがいい。
だから調子が良い事をまことしやかに語る。
男子同士で口篭る内容でも軽やかに。

高校入学初日の放課後。同じ中学校出身の男子数人が、桂徳を中心とした奇妙な輪を作り上げた。
今の世の中はなんでも女子が中心。恋の悩みも話も全部女子を中心に回っている。何でも共有しあう女子に振り回されず、誰にも気軽に相談できない不憫な男子にこそ愛の手が必要ではないか? と熱く語り合ったのだ。
『桂』が、乞われたので冗談で名乗りを上げた『男子部』。
普通であれば、口だけで終わった空想部活話。
が、とある人物がその集団に入りこんだことで、予想外の事態になる。

「私もお話を伺ってもいいですか?」
「どうぞどうぞ」
「こいつは部長予定の一年C組『桂』徳一郎。俺もCで、有野成貴」
「俺はBの帆足蓮人」
「Dの藤堂一郎」
「Eの天道渉」
「Aの海堂一真です」
「え、海堂って……」

町で見かける看板多数。テレビCMだって、提供だって出てきます。
いやでも目に付く名字だ。

「親の仕事であって、私の実績じゃありませんから」
「そ、そうだよね。僕らと同じ学生だよね」
「と、藤堂くんさすが」
「そう言っていただけると、嬉しいです」

その人物とは、とある巨大グループ会社の御曹司。
容姿、頭脳、家柄、性格と神様は彼にだけ特別に一物以上を与えられた。
そんな彼が参加したいと言い出すとは、誰が予測できるだろうか? いや、誰も出来ない。
桂たち数人が廊下でふざけて話していた話題は、「女子と付き合う為には」というどうでもいい会話。
それに彼が食いついたのだ。
華麗な容姿とそれに見合った肩書きを持つ御曹司が、『桂』の言葉に耳を傾け、熱心に聴いている。その様子を周りが驚く以上に、『桂』自身が恐れ慄いていたが。

「いいですね。私も部員にしてください」

申請されるはずのない部が、ここで強制申請されることになる。
彼の熱心さに、引く事が出来なくなった桂徳たち。
そして気が付けば、進学したばかりの学校で部活まで立ち上げるに至る。
そう……入学式初日に、部活申請をしたのだ。
興すつもりのなかった部活が、あっさりと出来上がってしまった。

男子のみ所属することが出来、男子のみが話し合うことが出来る部。
小さな事から大きな事まで。
女子の介入は不可。神聖なメンズクラブ。
男子であれば、講習・相談可。
部員にならずとも会員枠あり。
部長である『桂』の口は、男子の前でしか開かれない。
悩める男子よ、男子部の扉を開け。

やる気を起こさせ、勇気を奮い立たせる男。
なぜか男子の間でそう言われるようになった桂徳こと『桂』。

<部長『桂』より>
 女生徒仲良くなりたければ、先ずは己を見よ。
 顔は洗ったか?
 歯を磨いたか?
 髪は梳いたか?
 髭は剃ったか?
 シャツは洗いアイロンをかけたか?
 爪の長さ、制服の汚れ、靴の汚れ
 彼女達は笑いながらも見ているぞ
 そして目に飛び込む情報の中に『不潔』があれば、好みから弾く
 自分に似合う色を探せ
 自分に似合う髪形を探せ
 自分をより以上に見せるな、より以下に見せるな
 強がるな、萎縮するな
 視野を広げろ
 少ない趣味は深く、広い趣味は更に広く

 恐れるな。ここは男子部。女子は介入不可。
 女子に知られる心配はいらない。
 誰にでも悩みはある。俺にも親にも他の人にも。
 欲望を隠そうとするな、楽しく向き合え。俺を理由に女子と向きあわん事を。


御曹司の即入部情報が男子の中で広がり、登録会員数が恐ろしいほどに増えた。
部長『桂』。ただ今も現実逃避中である。

「俺は桂徳。部長『桂』と別人だから関係ない」



(以下 部長の個人的相談コーナー)

『桂先生へ』
好きな女性を振り向かせたいです。
ですが彼女は誰よりも人を優先させ、いつも恋から引いています。
ストレートに告白しても、辞退するでしょう。どうしたらいいでしょうか?

『Kくんへ』
その思いは誰にでもあるものです。
まずは意識してもらえるように毎日話しかけたらどうですか?
恥かしがり屋ならば、二人きりを狙うのも手かもしれません。

『桂先生へ』
学校では話しかけるなと言われました。
負けずに他人がいない場所ならばと押し切りましたが、苦い顔でかえされて悲しいです。

『Kくんへ』
あなたの立場ならば、相手は萎縮して逃げてしまうかもしれませんね。
登校・下校を狙うのもいいかもしれません。
あとは、ちょっとストーカー気味になりますが、偶然を装って彼女が出かけるタイミングで会うのも手かもしれません。※あまり頻繁に使うと怪しまれるので注意です

『桂先生へ』
彼女は毎朝ランニングしています。
そこで一緒に、とお願いしてみましたが、また苦い顔をされました。

『Kくんへ』
素晴らしい行動力です。卑屈に逃げるよりも前向きなのがいいですね。
苦い顔で嫌がっているわけではないのなら……
不審者情報を出して心配していると濁すのもいいかもしれません。
大抵女性は善意に弱いもの、あなたの容姿なら押して大丈夫そうですが。

『桂先生へ』
明日の朝、余計な二人がついて来そうです。
同性の友達とその友達の事を好きな女子が一人。
彼女と二人きりで話せません。
大勢で走るメリットは何かありますか?

『Kくんへ』
何事も前向きに考えた方がいいですよ。
友達の事が好きな女子が来るのなら、彼女に協力と言う名目が立ちます。
チャンスですね。
ちょっと無理やりになるかもしれませんが、彼女の手を引いて抜け出してみては?
嫌がらないのなら、望みが高いかもしれません。
でも、あまりベタベタ接触するのはよくないので、ギリギリを狙ってくださいね。
何事にも段階が必要です。一気に進んで良かった試しは少ないです。

『桂先生へ』
結果を言えば、上手く行きました。
でもジッと動かず上目遣いをされたので、かなり心臓に悪かったです。
手を繋ぐだけで、段階を踏もうと思っていたのに、キスしそうになりました。もちろん、我慢して顔をずらして髪の毛で誤魔化しましたが……、これでよかったでしょうか?

『Kくんへ』
素晴らしい。忍耐は大事です。性急にことを進めると、女子は体目当てじゃないのかと疑う習性がありますからね。
髪の毛へのキスは上級者並の手際です。きっとKくんなら上手く演出されたことと思います。
でも、彼女は嫌がりましたか?
反応を教えてくれると、対策が立て易いです。

『桂先生へ』
そうなんですね。分かりました。以後、気をつけます。
彼女の反応ですが、真っ赤になって驚いていました。
人の気配を感じたので、それ以上は我慢して彼女を送りましたが
残念ながら明日は一緒に走るのは止めたいと言われてしまい……
赤くなったのは、好意があるのでしょうか?
それとも反射ですか?

『Kくんへ』
落ち着いてくださいね。
2つ、可能性があります。
そういう行為になれていなくて恥かしがった。
貴方にされたので、恥かしかった。
今のところ、判断が難しいですね……。少し賭けに近いですが、次のチャンスに手の甲へキスしてみてください。
その反応で、はっきり分かるでしょう。
これは私の勘ですが、嫌われてはいないと思います。

『桂先生へ』
彼女は赤くなりました。
でも、私は怪我をしてしまって動けません。
足首痛め、左腕の骨が折れてます。
学校に行けず、今、横になっています。
この状態でも、何か出来る事がありませんか?
熱と痛みで恐らく一週間は動けません。

『Kくんへ』
それは大変な目に……。
今は体を治す事に集中すべきでしょう。
万全の状態で、彼女に臨むべきです。
もし、彼女が連絡をくれたのならば、お見舞いに来てもらいましょう。
そして、甘えてみるのも手です。
女性は弱った男性を無碍にしにくい人が多いですから。
熱でやられているフリをする事も可能ですが、やりすぎは控えましょう。

『桂先生へ』
彼女から感謝のメールが着ました。
しかもお見舞いへ来たいと。
どこまで要求しても、大丈夫でしょうか?
正直に言えば、添い寝をしてもらいたいです。

『Kくんへ』





「ふう」
「あ、桂、携帯覗いて、布教中か?」
「有野……まぁな。俺ほど男女の中について詳しいやつはいないからな」
「それは分かってますって。桂のお蔭で俺に彼女出来たし」
「良かったな」
「感謝してますって」
「おう。なら、今度の講習会は手伝ってくれよ」
「ああ。俺みたいな奴が減るよう頑張るよ」

桂徳 一郎 15歳。
激しく彼女募集中。


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