第五章、ときめき
避雷針から..ファーストラブ オリジナル
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とある日曜日の午後..
「香菜..香菜..」
自分の部屋から、窓の外を見つめる香菜。
母親の秋子が娘の名を、口にしながら部屋に入って来た..。
香菜は何気に窓から、顔を反らした。
すると目の前に母親が佇んでいた。
「今日はいい天気だから、お布団干さなきゃ」
香菜にそう問い掛けると、部屋に置かれているベッドから、
掛け布団を退かし、敷布団を持ち上げた。
それを香菜が見つめていた、窓の方へ持って行った。
香菜はふと窓から離れ、母親のその行動を目で追っていた。
母親秋子が布団を干していたその時、春一番がこの部屋に入って来た。
そして香菜の机に置かれていた、原稿用紙をぱらぱらっと風がさらった。
風に吹かれ部屋中に舞上がる原稿用紙。香菜はその光景を、不思議そうな眼差しで見つめていた。
何気に風で飛んだ原稿紙が、一枚さらりとベッドに落ちた。
香菜はその一枚を拾い上げた。
そこに書かれていた、最初の一小説を読んだ。
(恋は何時も..見えない扉からやってくる、その扉は何気なく開いてる...)
その一生説を見ていた。
すると肩に手を添えられた香奈。
振り向くと母親秋子が、「今日は天気いいから、全部のお布団干すわよ」。
そう言って、掛け布団も干していた。
川坂香菜、 十七歳。耳は正常に聞こえているが、七つの時に火事に遭い、父親が焼け死ぬ所を、
目撃してしまい、そのショックから言語を患っていた。
そっとこの部屋を出て行く香奈、何気に階段を降りていった。
床の間に行くと、座卓の上に束ねられていたチラシを見つけた。
香菜は何気なく、一枚のチラシを手に取った。
ヘアカラーの売り込み広告一覧が載っていた。
香菜は心の中で、自分を見つめた。
薬局の広告を手にしながら、階段を駆け上がり部屋へ….。
ベッドの下の引き出しから、財布を取り出した。
その光景をさりげなく、見つめていた母、秋子。
そっと母親を、見つめる香菜。
母親に対する表情が、申し訳なさそうで、それでいて嬉しそうな。
母親はそんな香菜を、穏やかな眼差しで見届けていた。
そして香菜は、近所の薬局に立ち寄った。
辺りを見渡すと、その店の奥にヘアカラーと明記されたプレートを見つけた。
香菜はそっと、そのプレートに書かれているコーナーに足を運ぶと、
いろんな種類の製品が並べられていた。
この物語はフィクションであり、登場する人物、建物などは実際には存在しません。