月星殺編4 罠
おやおや、いらっしゃい。あなたは・・・・初めてのお方ですか?それとも、この前のお方ですか?まぁ・・それはともかく。ごゆっくりしてってくださいね。でも、アリス様は今夜は少しご機嫌が優れないようなので、お構いなく。
アリスの館に招待された5人の少年少女たち。しかし、パーティーの途中で嵐で車で帰ることが出来なくなってしまった。しかたなく、今晩泊めてもらうことになったが、招待客の一人・空沢風が姿を消し、放送室を乗っ取った。それを使って誘き寄せられたアリスは、彼女を一人目の犠牲者にする・・・。
「くそっ。あの小娘、腹立つ!」
【もうそのへんにしようよ】
「アリスは、黙ってて!」
【たかが一人に何をそんなに怒っているの?シャルウィ】
「あの小娘・・・死ぬ前だっていうのに、笑ってた。ああいう奴は嫌いだ。アタシは、死に恐怖する奴等の顔が見たいんだ!」
【贅沢言わない。いいでしょ?他人がどう死のうと、他人の勝手よ。いくら、シャルウィでも、そこまでは操れないでしょ?】
「うっ・・・・まぁ・・そうだけど・・」
【だったら、文句言わない。だったら、私だって、神様に無条件でシャルウィをくださいって、文句言うよ?】
「むむっ・・・それは困る」
【アハハ。・・・さてと。そろそろ、体を返してもらえる?】
「わかってる」
静かに二人の魂が入れ替わる。
その頃。グロールの指示で、1つの部屋に全員は集められた。顔を合わせた沙希と佐奈だったが、二人とも仲直りする気配はない。
「・・・はぁ・・」
「どうした、鈴宮」
「いや。この俺がいながら、空沢が・・・」
「うわぁ・・・ショック大きいな」
と、そこへ。アリスがやって来て、全員が一斉に睨みつけた。
「・・・とうとう、犠牲者が出てしまいましたね」
「・・・お前さ、芝居がうまいんだな」
「え?」
「悪いけど、もうアリスちゃんを疑うしかないよ。部屋にいた沙希が、聞いたんだよ。アリスちゃんが、誰かと殺しの相談をしてたのを・・」
「・・・」
「俺、警察だし。夜が明けたら、同行お願いします」
「・・・えぇ。その時、生きていらっしゃったらね」
「え・・・?」
微笑を浮かべて寝室へと戻っていった。厳しい顔で部屋に待機する全員。そこへグロールがやってきて、江戸前を呼び出した。江戸前が通されたのは、真っ暗な部屋で薄っすら見える人影。
「誰だ!?」
「・・いらっしゃい。貴方にお願いがあって、呼んだの」
「アリス・・・」
「ヴァイオリニストなんでしょ?一曲弾いてくださる?」
と、ヴァイオリンを差し出した。眉間にしわを寄せつつも、渋々弾き始めた。ゆっくり目を閉じたアリスは、こっそりと魂を入れ替えていた。そして、後ろでナイフの刃を光らせた。やがて、弾き終わるとアリスはゆっくりと庄治の後ろに回り込んだ。
「・・・なんですか?」
「・・・」
アリスは、首筋にナイフを忍ばせ、耳元に唇を寄せた。そして、そっと囁いた。
「・・・さようなら」
「!?」
頸動脈をナイフで深く切りつけた。庄治は狂った叫び声を上げ、大量の血を流して倒れた。血飛沫がアリスの凍りついた表情を濡らした。
「はぁ・・・ごめん。しくじったよ、アリス」
【別に。冷凍室にでもこの死体、隠しとけば?】
「・・・なんか、怒ってる?」
【うん。ものすっごく怒ってる。こんなに早く気づかれるなんて・・・】
「はぁ・・・ホント。まさか、話しを聞かれてたなんてね」
【違う。罠に掛かったの。あのコは、私たちの話しなんて聞いてないわ。私たちを動揺させて、様子を伺うつもりだったみたいだけど、失敗したみたい。ほら、出てくれば?】
「・・・・!?」
そこには、鈴宮彰の姿があった。その片手には、引き金を引いた拳銃が握られていた。
「現場を抑えた。で、問題は誰と話してるかだ」
【お見事。よかったですわね、鈴宮様】
「!?・・一体どこから声が・・」
「・・くすっ。初めまして、アタシは、シャルウィ。空沢と江戸前を殺した張本人。そして、アリスの同居人」
「なっ!二重人格!!」
「だ〜か〜ら〜違うって!アリスとアタシはまったくの別人!アタシの魂がこの中に入っただけの話しよ」
「・・・漫画みたいだな」
「そうよ!言っておくけど、神様だっているからね」
「へっ!知るか。ホントは捕まえたかったけど、ここで殺すしかなさそうだ」
「フン。やれるものなら、やってみなさい」
二人の戦いは始まりを迎えた。神は、どちらに味方するのか?それは、神のみぞ知る。 |