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プリンセス・プリンセス 作者:心太
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第ゼロ夜

まだ大陸が巨大な一大陸でしかなく、暮らす様々な種族が隆盛を極めた時代。
ーー地に潜り、草木も生えない荒野に聳える鉱山群の地下に住み、鍛治と細工に類い稀なる素質を持つ小人族。
ーー空を駆け、トネリコと呼ばれ植物の祖とされる大樹に住み、荷や他種族、時には船さえ運ぶ頑健な有翼人族。
ーー海に潜り、迎え入れる者を奉る海底神殿を守り、海からの恵みを他種族と分かち合いながら海底に住まう人魚族。
ーー森に潜み、何人なんびとにも侵しえぬ流麗な美と深き知識を有し、知恵と知識を内包する泉のある奥深い森で暮らす小妖精族。
ーー山に登り、時に雪深く時に雨風吹きすさぶ環境にも耐えうる強靭で巨大な体躯を持ち、魔獣狩りと他種族への侵攻を繰り返す好戦的な巨人族。
ーー森と平原のさかいを走り、人の身体に獣の力を持って生まれ、終生狩りをする為に移動を繰り返す獣人族。
ーー闇と同化し、永遠に晴れない霧と氷に閉ざされた地下深くの国に住み、豊穣な地上を手に入れようと妄念に駆られていると言われる魔人族。
ーー砂漠に追われ、醜悪な外見と獣程度の自意識しか持っていないと今なお差別と迫害、時には討伐の対象である魔物族まものぞく
ーーどこにでも順応し、どの種族よりも凡庸な才能しか持たぬまま瞬く間に数を増やし、文化を創り、都市と呼ばれる生活圏を築いた人族。
ーー空よりも尚高く、地上から伸びる虹の橋でしか往く事の許されない神の国には、どのような種族をもってしても敵わぬ力と知識を有した神族が住まうとされている。
小人族。有翼人族。人魚族。小妖精族。獣人族。魔人族。魔物族。人族。神族。
これら九つの種族が住まう世界、まだ名の無い世界。
大小様々な集落に分かれ、国を創り、時にはキングを名乗り、王子プリンスと叫び、女王クイーンが生まれーーしかし決してプリンセスを名乗る者は居なかった。
それはこの世界で、プリンセスは権力や力とは別の意味を有していたからだ。
神姫プリンセスーー女神の寵愛ちょうあいたまわる愛しき子ーーと。
これは種族は違えど全て神姫プリンセスという、少し変わった、しかして強く美しい彼女達の出会いを綴った物語。

「おや? 大事な日にばあのところに来るなんて、どうしたんだい坊や?」

ーーーー

「そうかいそうかい、あんな場所は初めてだもんね。それなら落ち着くまで婆のお話でも聞いてくかい?」

…………

「はは、魔王と勇者の話には飽きちゃったのかい、ならそうさね。魔王を倒す前の、勇者の話でもしようかね」

ーーーー

「そうだよ、婆はなんでも知ってるんだ。だから坊やもこのお話を聞いたら、ちゃんと戻るんだよ?」

…………

「良い子だね。よしそれじゃ、どこからにしようかねーーよし。それはまだ、勇者と呼ばれる前の物語。のちに魔王を打ち滅ぼした、女神の寵愛ちょうあいたまわる、幼き神姫プリンセスの物語」

ーーーー!!

「……そう、その女の子の名はインフィ。ばあが語るのはインフィが勇者になる前、仲間と出会う十歳の頃のお話だよーーさあ、それじゃあ物語を始めようかね」
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