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  H×H~X番目の人生記~ 作者:スリジャヤワルダナプラコッテ
なんでプレイすることになったか


 数日前のこと。

 俺とクロロはひたすら東に向かって歩き続けた。
 荒れ地を抜け、海に直面したけど、そのまま船に乗って、東へ東へ、まっすぐに進み続けた。そして、とある陸地に辿り着いた。
「ここ、どこだろ…」
俺は、隣にいるクロロにきいたというよりは、独り言のように言った。
 海のむこうの大陸にしてはいくらなんでも近すぎるからね、どこかの島だろうな、たぶん。
 その時はたまたま夜だった。ヨークシンの明るい港とは違って、人家の明かりなんか一つも見つからない、まっ暗な浜辺だ。
 辺りをきょろきょろ見回していると、不意に人の気配がして、俺もクロロもさっと身構えた。
 崖の上に一つの人影が見えた。隠れるつもりなんか全然い様子で、敵意もまったく感じない。
 俺達のいる浜辺にひらりと飛び降りてきたそいつを月の光が照らした。
「やぁ、めずらしいな。この島に漂着してくる人間がいるとは」
……なんだ、こいつ。
そいつは周りの景色に不似合いなフォーマル衣装を身につけた、若い男だった。フワユルのウルフヘアーで、人の良さそうな顔立ちだ。
「いらっしゃい……と言ってあげたい所だけど、残念ながら歓迎はしてあげられないのです。君達はどうしてこの島にやってきたのかな?」
俺はちらりとクロロを見た。クロロは男から目を離さず、無言でいた。だから俺が答えた。
「べつに、理由はないです、はい。ただただ東に向かってたら、ここにつきました」
すると、男はやや驚いたような顔をした。
「へぇー、ひたすら東に?それまたどうして?」
「理由はまぁ話せばややこしいので割愛」
「へぇー…まぁ、あんまり興味がないから良いや」
興味無いなら聞くな!
 男はにっこりと微笑んで言った。
「君達、なかなか興味深い2人組だよ。両者ともなかなかの手練だけれど、そっちの君は誰かの念がかけられてる。……本当ならもっとよく話を聞きたい所だけれど、残念ながら、この島に正規ルート以外で上陸してきた者は、すぐさま強制的に島の外へ飛んで行ってもらう規則だ。悪いけど、君達の東への珍道中はここで終わりだよ」
……は?なにこの島、入っちゃいけなかったのか?
 クロロを見ると、何かを考えてる様子で男を見ていた。
…追い出されるのかー。それ困るなー。占いによると、東に向かわなくちゃいけないのに。
「あのー…勝手に入っちゃいけない場所だったならごめんなさい。けど、俺らにも事情があるんだよ。どうしても東へ行きたい。俺、一応ハンターなんだよ。ほら、ライセンスもある。だからさ、通してくんない?」
俺はハンターライセンスを体の前に出して示した。便利なハンターライセンス。一般人の立ち入れない場所でも、これがあれば立ち入ることができる場合も少なくない。
けど、男は晴れやかに笑って言った。
「それなら尚更のこと、ここに来たければ正規のルートで入ってきてください。……心配しなくても、君たちなら……いや、そっちのオールバックのアナタは無理だけれど、こっちの君、そう、君なら、きっとこの島を楽しむことができますよ」
男はポケットから一枚のカードを取り出した。……何をするんだろう。ヒソカみたいに投げるのか?
しかし戦闘体制に入ろうともせず、殺気すら放たないその男が見せたカードには、『RULER ONLY』、さらにその上には『排除(エリミネイト)』と……は?なにこの島、入っちゃいけなかったのか?
 クロロを見ると、何かを考えてる様子で男を見ていた。
「さよなら。君たちが今度は正規ルートでもってこのアイランドに来たら、再び出会うこともあるかもしれない……排除(エリミネイト)ON(オン)

ほぇ!?


 ……気が付いたら俺たちはヨルビアン大陸の海岸沿いの町にいました。クロロも一緒。
 瞬間移動かよ・・・。
 あれ、あの人の能力だったのかな。
 ……まじめんどくせぇ。
「クロロ~どうするんだよ~東へ向かうはずが西へ逆行しちゃったじゃん」
 クロロを見たら、俺はちょっとびっくりした。クロロはなぜか不敵な笑みを浮かべていたからだ。
 なんというか、クロロがこういう顔する時って、自分の計画がうまく行ったときとか、面白いものを見つけたときとか、そんな感じだ。
「ハヤト」
クロロに呼ばれ、俺はつい「はい」と姿勢をただした。
「仕事だ」
……仕事とな?
クロロがゆっくりとこちらに目を向ける。
「シャルと連絡をとれ」
意味深な笑みでもってそう言うクロロの意図を、俺はその時、すぐさま悟れなかった。




 俺とクロロが辿り着いた謎の島っていうのは、クロロ曰く、グリードアイランドとかいうゲームのステージなんだそうだ。なんでクロロにそれが判ったかっていうと、 もともとクロロはハンター達の間でひそかにブームのこのゲームに注目してて、色々調べていたんだそう。そんで、あの島で出会った男が使ったカード、あれはグリードアイランドの仕組みと一致してるんだとか。
 グリードアイランドを調べてた時から、そのゲームの世界は現実のどこかなんじゃないか、っていう憶測は立ててたそう。それで、あの島でのあの男との遭遇から、まだ確信とまでは行かなくても、その憶測はより真実味を増してきたんだと。
 クロロは今、除念師を探しているんだ。除念師とは?…簡単に言うと、クロロにかけられたクラピカの念を取り払ってくれる人。占いの言葉が真実なら、東にその除念師がいるのかもしれない。東に行って辿り着いたグリードアイランドかと思われる島、そこに除念師がいると考えるのは、おかしなことじゃない。
 …それで、クロロに言われるがまま、俺はシャルナークに電話して、グリードアイランドの事を伝えた。なにやらフィンクス達がちょうどグリードアイランドで遊ぼうとしてるらしい。どっから盗ってきたんだろ。
 念が使えないがためにプレイできないクロロは、ただ待つだけだ。蜘蛛の手足が除念師をみつけてくるのを。
 クロロはずっと東へと進めていた足を止めた。クロロはただただ待つばかりだ。
 蜘蛛の頭が復活する。

 クラピカは除念師という存在を知っているのかな。
 俺はこれをクラピカに伝えるべき?

 ……やめておいた。もう二人のことには干渉すまい。
 いろいろ考えるのも疲れたし、悩むのももう十分やったでしょ。
 クロロが除念を終えた後、クラピカに報復するつもりかどうかはわからない。あえて訊いていない。怖いから。けど、まぁ、除念が完了したら、しばらくクロロから離れていようと思っている。
 俺は俺で動こう。そうさ、俺の今の目的は、異世界に行く方法を見つけることだ。

  逆十字に従いなさい
  彼の行く所に異邦人がいる
  あなたの欲しいものを
  持っているのは彼だから

 異邦人っていうのが、実はずっと気になってる。異邦人の意味が、文字通りではなくて、異世界人だったりするんじゃないか、と。
 逆十字、すなわちクロロの行くところ……グリードアイランドに、俺の欲しいものを持っているやつがいるんじゃないか。
 クロロは俺にグリードアイランドへ行けとは言わなかった。俺に除念師を探せとは言わなかった。
 けど、俺はそこへ行くことにした。これは完全に自分の目的のためだ。
「好きにしたら良い」
クロロはただ一言、そう言った。もともとクロロは、俺が行動を共にすることについて何も言わなかったし、いつ俺がクロロのもとを去ろうが、気にしないんだろうな。
 俺はジンにもらったメモリーカードを思い出した。そういえば、ジンが作ったっていうゲームがグリードアイランドだった気がする。
 ただ、グリードアイランドをゲットするのがこれまた難しい。
 そういえばカイトさんもそれをゲットするのに結構苦労してたみたいだしなー。……ん?まてよ……?……ハスバシカ王国に、グリードアイランド持ってるやつがいた気がする…。カイトさんが言ってた大富豪……。
 俺は悪だくみを思いついた。長らく蜘蛛と一緒にいたせいか、すぐにこういう考えが浮かぶ当たり、何かと危険だ。
 俺は、グリードアイランドにヒソカを誘った。一人でプレイするより楽しいかなーと思ったからだ。
 そしたら、ヒソカが俺よりハスバシカ王国に近いところにいるらしくて、俺の代わりに盗ってきてくれるらしい、大富豪ボルドーの屋敷から。



 長くなっちゃったけど、そういういきさつでグリードアイランドをプレイすることになった俺。
 シャルがシズクとコルトピを誘ってグリードアイランドに入るそうだ。電話口で「ゲーム内で出会えたら会おう」と言い合って、俺もゲームを開始した。

 さぁ、除念師、それから異世界人と出会えるかな?




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