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Chapter:08 結末
Episode:129
「でもウィンが失敗するなんて、よっぽどよね?」
「オイラもびっくりしちまったよ。カップルで歩いててさ、きっと懐なんかお留守だと思ったのに、いきなり腕掴まれちまって」
「そりゃ、かなりのモンだね」

 聞いた話じゃこのガキんちょ、チームじゃナティに次いで掏りの腕はいいらしい。
 なのにそれを察して腕を掴んだってことは、その相手ってのは相当だ。

「ヤローのほう狙うんじゃなかった。大失敗だよ」
「ま、これ教訓にして、今度から気をつけるのね。でも、よくそれで逃げられたね?」
 掏りとしちゃ一級品のナティエスが、不思議そうに尋ねる。

「いや、それがさ、黙って手放して見逃してくれたんだ」
「ンな奇特なヤツが、今時いるのか……」
 未遂だったせいもあるんだろうけど、かなり珍しい話だ。

「でもホントそのヤロー、見かけと中身がぜんぜん違うんだ。
 髪なんか銀色で前髪だけちょこっと紅くしちゃってさ、挙句に女みたいに伸ばして三つ編みしてんだぜ?
 絶対、やれると思ったんだけどな〜」
「そ、それ、もしかして……」
 ウィンの説明に、俺も含めて絶句する。

「あ、あのね……その銀髪の人、眼鏡かけてなかった?
 それとカップルって……連れの女の人、黒い髪に紫の瞳で長身じゃ……」
「あれっ、姉ちゃんなんで知ってんのさ?」
 ルーフェイアの説明聞いて、目を丸くしたウィンの頭を、シーモアがはたいた。

「あんた、その人狙ってそれで済んだんなら、はっきり言ってメチャメチャ幸運ってやつだよ」
「ほんとほんと、絶対成功しない相手よ、それ」
 ナティエスのやつも一緒になって、このガキに向かって突っ込む。

 タシュア先輩とシルファ先輩がどっかへ行ってるってのは、ルーフェイアから訊いてたけど、どうやら行き先はここだったらしい。
 世の中広いようで狭いっつーか……。

「にしてもよ、よく五体満足で見逃してもらったよな」
「タシュア先輩、そんなことしないわ」
 俺のつぶやきに、ルーフェイアのヤツが抗議する。

「先輩、優しいもの」
「――はいはい、分かってるって」
 毎度泣かされてるクセに必ずこう言うんだから、マジでたいしたもんだ。





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