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Chapter:01 知らせ
Episode:11
「さぁ、もうそれはいいですから、船にお乗りください。
 ここまで来て乗り遅れてしまっては、話になりませんよ」
「え、あ、そうね……」
 ひとりの男性――名前はドワルディ――が先に立って案内してくれた。

「こちらの部屋を、押さえましたので」
「――個室の一等かよ。やっぱ半端じゃねぇな」
 イマドが驚いたような声を出す。
「え? いつも……そうだけど?」
 両親に連れられてあちこち渡り歩いていた頃から、船も列車もたいていは個室だった。

「金あるな〜。
 まぁ……お前に不自由させたら、首が飛ぶんだろうけどよ」
「そんなひどいこと――!」
 思わずそう言うと、ドワルディがまた笑った。

「それも確かにありますが、グレイス様のようにお優しいと、我々も一生懸命になりますよ。
 ところでロデスティオの、どちらまでいらっしゃるのですか?」
「ベルデナードのスラムなの。ただ、番地まではちょっと……」
 だいたいは子供たちから聞き出しているけれど、あの子たちも住所まではさすがに知らなかった。

「わかりました。ベルデナードの方にすぐ連絡して、詳しいものを待たせておくようにします。
 あと船内や車内での細かい事ですが……どうやらお友達がご存知のようですね。
――グレイス様をよろしくお願いします」
「あ、はい」

 イマドが慌てて答えた。
 ドワルディが一礼して出ていく。

「――お前マジ、お嬢様なのな」
「そんなんじゃないわよ……」
 だいたいこの世のどこに、戦場で太刀を振り回す深窓の令嬢がいるんだろう。
 ため息をつきながら部屋のソファに腰掛けた。
 イマドの方は、切符を見て時間を確かめている。

「ワサールに着くのが……やっぱ明日の2000か。けどベルデナード行きの最終に乗り継ぎできるから、ラッキーだな。
 って、あの人らがそんなヘマやるわけねぇか」
 なんかひとりで感心している。

「しっかしこれからしばらく、ひたすら乗るだけってか。ヒマだな」
「あ、あたし宿題、持ってきた」
「は?」
 イマドが硬直した。

「んなもの……持ってきたのか?」
「うん。物理と数学と世界史、もう課題、出てたし」
「いや、そりゃ確かに出てたけどよ……普通持ってこねぇぞ?」
「え? そうなの?」
 なんだか微妙に会話が食い違う。

「でも、せっかく課題、でたから……」
 早くやらないと、出してくれた教官に悪い気がする。
 けどどう見てもイマドは嫌がっていて、なんだかこっちにも悪いことをしてしまったみたいだった。
 自分の気のまわらなさに、情けなくなる。



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