ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
Chapter:06 証拠
Episode:109
「ディアスはここの出で、あたしはいちおうその連れ合いだもの」
 それから一転、鋭い笑顔になる。
 シュマー家の歴戦の猛者をも震え上がらせる、凄絶としか言いようのない微笑み……。
「悪いけど、あなたたちが束になってかかっても、あたしたちは倒せないわよ」
 しん、と店の中が静まり返った。

「というわけで、最前線に出させてもらうわ。
 だいいち連中の起動兵器と渡り合えるのは、現役で傭兵やってるあたしたちぐらいでしょ?」
「まぁ、そうだろうが……。
 だが、この子たちまで連れてくことはないだろう。子供の戦力なんざ、タカがしれてる」
 言われて悲しくなった。
 あたしの戦闘能力は……普通じゃない。

「言いたいことは分かるけど、そう言わないで。あたしだって一応親なのよ。連れてかないで済むなら、そうしてるわ。
 けどこの子たち――並じゃないのよ」
 ボスが複雑な表情になった。
 きっと母さんの言葉の裏を読み取ったんだろう、腕組みをしながらため息をつく。

「……そしたらお嬢ちゃん、これを持っていきな」
「え? でもこれ、大切な……」
 ボスがあたしに差し出してくれたのは、昨日の短刀だ。
 だけどこれは、亡くなった娘さんの思い出が詰まってるんじゃなかっただろうか?
 あたしが躊躇っていると、ボスがふっと笑った。

「これはな、持ってる人間に幸運をもたらすって言われてるんだ。
 娘が死んだときもそうさ。俺はこれを持ってでかいヤマを片付けて、意気ようようで……。
 けど欲しがってた娘は、ちょっとしたことで殺されちまった」
 視線が下へ落ちる。

「さっさと娘に渡してりゃ死ななかったんじゃないか。くだらないとは思いながら、いつもそう思うのさ。
 だからお嬢ちゃん、持っていくといい」
「――わかりました」
 短刀を受け取る。

「さ、もたもたしてらんないわ。さっさと行って片付けるわよ」
 この話はこれで終わり、そんなふうに母さんが言う。
「俺たちもすぐに行くからな」
「あ、そしたらその前にちょっと頼まれてよ♪」
 ぞくりとする。
 あの母さんの、子供みたいな悪戯っぽい表情……。

「ここの人たちには、当然知らせるんでしょ?」
「もう使えるだけの人間使って、知らせてる最中さ。
 もっとも知らせたとこで、家にこもってるくらいしかテはないんだがな」
「それなんだけどね――」
 なんだかボスと相談を始める。

「――確かにそれだったら、イケそうだな」
「でしょ? そしたら頼むわね。あたしはリオネルに連絡入れたらすぐ出るわ。
――レニーサ、通話機借りるわよ」
 慌しく母さんが奥へ行消えた。

「メシ……★」
 隣ではイマドがまだぼやいている。
 あまりにも可哀想だった。

「あのね……携行食でよかったら、あるけど?」
「――それでいい」
 きっとよっぽどお腹がすいてるんだろう、いつもならちゃんとしたものを食べたがるイマドが、あっさり妥協する。




Web拍手 ←Web拍手です

FT小説ランキング  毎日OK:FT小説ランキング“ルーフェイア・シリーズ”に投票
 順位だけ見たい方はこちら

NEVEL Ranking  月に1回:NEWVELランキング“ルーフェイア・シリーズ”に投票


◇イラストいろいろです。随時募集中です♪◇
シエラ学院制服  Blue Ocean  ルーフェイア・シリーズ

自サイト美術室はこちら
掲示板はこちら。お気軽にどうぞ♪


筆者サイト
↑筆者サイトへ
最新話へのリンク、改行なし版等があります


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。