第八話 [世話]
天界に戻って数日後。
クローは無事退院を果たした。
「ん〜……っ体鈍っちゃったかなぁ?」
クローは体を伸ばしながらリュラがいる隊長室に入った。
コンコン
「隊長〜………」
クローは入った瞬間言葉を失った。
床に足の踏み場もないほど散らばった書類。
うん、これはいつも通り。
「莉未………ちゃん……?」
「あ、お兄ちゃん」
何で居る……?
あれか、これは幻覚か。
幻覚なのか。
「あれ?魂って中心部のこういうところには来れないんだよね?」
魂は天使達が暮らす中心部ではなく離れたところに平和に暮らすのだ。
一人頭を抱えているクローを笑いながらリュラが説明する。
「ほら!莉未ちゃんチカラがあるでしょ?だから天界で天使として働いてもらうことになったの」
「あぁ、そうですか………じゃないっ!!!そんな危険なことやらせるんですか!!?」
「大丈夫だよ〜ちゃんと見習い天使として天使育成学校通わせるし」
「それは当たり前です!!」
天使育成学校は文字通り天使を教育する機関である。
ここで見習い天使として勉強し、配属されるのだ。
「無理矢理じゃないでしょうね……?」
「そんなんじゃないよ。この子から希望してきたんだし」
「え……?」
「そーだよお兄ちゃん!!」
莉未はニッコリ笑いながらクローに向かって走ってくる。
それをクローは抱き止めてそのまま抱き上げる。
「チカラあるって行ってたでしょ?だからお兄ちゃんに何か役立てないかなぁと思って」
「お母さんと一緒に暮らさなくていいの?」
「いいの!辛いけど……決めたもん!!」
「そっか……」
クローは微笑むと莉未の頭を撫でた。
「で、俺を呼び出したのは莉未ちゃんに会わせる為ですか?」
「そんな訳ないじゃん」
「やっぱり……」
即返してきたリュラにクローは呆れる。
「まぁ用って言っても莉未ちゃんの世話して欲しいんだけどね」
「…………は?」
「来たのはいいんだけどまだ天使育成学校に入学届け出してなくてね〜」
リュラは爽快に笑いながら言う。
「隊長……ちゃんとしてくださいよ」
「最初は此処に居させようとしたんだけど、クローに会いたいって言うしそれに……」
リュラは右下に目をやる。
するとそこから一羽のニワトリがリュラの前の机に着地した。
ただのニワトリじゃない。
サングラスをかけ、懐中時計を首から下げたニワトリだ。
「やりたい放題やりやがって!!コッコ!!!」
凄くヤクザみたいなニワトリである。
しかも喋るし。
これでもリュラの相棒だ。
「コッコさん!!?」
クローは目を見開く。
そんなかっこいい(?)ニワトリ、コッコさんの姿は――――………
ボロボロだった。
鶏冠は垂れ下がり、羽はボロボロ。
サングラスも傾いていた。
「(ご愁傷様です……コッコさん……)」
ニワトリの名前はコッコ。
本当はちゃんとした名前があるのだが、長ったらしいしニワトリの癖にそんな立派な名前はいらない(リュラ談)ということでコッコさんと呼ばれている。
「じゃあよろしくね〜クロー」
今日にもちゃんとコッコさんに入学願書届けさせるよと言っているのを聞いてクローは莉未をつれて部屋を出た。
コッコさんも疲れてるだろうねぇ……
+++++
「何処か行きたいところある?」
「ん〜……」
莉未はキョロキョロと回りを見回す。
「クロー」
「あ、ライザ」
莉未が回りを探索している中、二人の天使がクローに話しかけた。
「何でィ、クローはサボりですかィ?」
特徴的な口調で喋るライザの隣りに居る少年。
髪は腰より長いオレンジ色ので目は茶色。
頭には白っぽい帽子を被っている。
袖の長く、パーカーのついた服を着ていて密かに手には白色の手袋をしている。
名前は縁 錬。
クローやライザと同じ中級の戦闘部隊に所属している。
「サボりじゃないし」
クローはムッっと頬を膨らませる。
「だぁれ?」
莉未は頭を傾げながらクローのコートの端を引っ張った。
「あの時の……」
ライザは莉未を見て納得する。
「あ、あの時の黒いお兄ちゃん!!」
「(黒い……)」
そう思いながらもライザは莉未の頭を撫でてやった。
「まぁ……ライザは髪と目が黒いもんねぇ」
クローは一人苦笑する。
「何ですかィ?この子。」
錬は莉未を見て頭に?マークを浮かべている。
「あ、まさか……クローの隠し子でs「んな訳あるかァァァッ!!」
ドゴッとクローのアッパーが錬に当たった。
「………冗談に決まってるでさァ……」
「錬の言うことって冗談に聞こえないんだよね」
「本当に冗談でさァ。あれだろィ?隠し妹なんd「それも違う!!!」
錬はちぇっと言いながら莉未を見た。
「全く……なんでそこまで隠れにこだわるんだか……」
クローはぶつぶつ言いながら莉未をつれて歩き出す。
ライザと錬も興味があるのか一緒についてきた。
莉未を見ている錬の顔は――――…………
何だか悲しそうで――――………
辛そうだった――――………
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