第五話 [攻撃]
銃口から光がカッと光る。
パァァァァアアンッ
乾いた銃声が響いた。
莉未は目を見開く。
クローの頭から血が飛び散る。
体がどんどん傾いていきドサリと倒れた。
《ギャハハハハッ!!馬鹿ダ!馬鹿ナ天使ダ!!》
悪魔の一匹が嫌な声で笑う。
《ドチラヲ選ンデモソノ母子ヲ渡スコトニナルコトニ変ワリハ無イノニ!!ソレニ気付カヌトハ!!》
「お兄ちゃんっ!!」
莉未はクローに駆け寄り体を揺する。
「お兄ちゃん!お兄ちゃん!!」
頭からは血が流れていて草を変色させていく。
《邪魔ナ天使モ消エタ事ダシ。仕事ヲ終ワラセヨウカ》
悪魔は莉未に向かって猛スピードで近づいてきた。
「莉未っ!!!」
母親の声が響く。
莉未はギュッとクローの頭を抱きしめた。
刹那。
ダァァァァアアンッ
銃声が響いた。
「え………?」
莉未は銃声を聞いてそろそろと目を開けた。
少し前には悪魔の顔。
だが、悪魔の顔の中心には穴が出来ていた。
《ナ……ニ……》
「俺もそこまで馬鹿じゃないよ」
莉未はハッと抱きしめていた人を見る。
「お兄ちゃん………?」
「無事?ごめんね、怖い思いさせちゃって……」
クローはむくりと上半身を起こした。
「お兄ちゃん!え……お怪我は……?血は……?」
よく見ると頭にあった傷やついていた血、草を変色させていた血も消えている。
「無傷だよ。」
クローはニコリと莉未に微笑んだ。
《オ前……っ銃デ撃ッテ!!》
「さっき撃ったのは攻撃用じゃないからね」
クローは立ち上がる。
「さっき自分の頭に撃ったのは"幻光"。光を見ると幻覚にかかっちゃうっていう技なんだ。その光を見てみんなには俺が大量に出血して死んでるように見えたって訳」
実際は倒れる真似しかしてないし。
《クソ……っ》
顔の真ん中をクローに撃たれた悪魔はさらさらと砂になって消えていった。
《オノレ〜ッ》
残り二体のうち片方がクローと莉未の方に飛んでくる。
クローは悪魔に向けて手を翳した。
「天道術”Q” 鎌鼬」
掌に小さな竜巻が現れ、中に風の刃がいくつか浮かび上がる。
風の刃が悪魔に向かって飛んでいき、悪魔を切り刻んだ。
そして悪魔は砂になって消えていく。
天道術。
それは天使が使える術のこと。
天使になる第一条件はこの天道術が使えるかどうかだ。
天道術には"J""Q""K""A"と難易度があり、これがどのランクまで使えるかも天使を下級や中級に分けるときに基準にされる。
Jまで使えれば下級、Qまで使えたら中級、Kまで使えたら上級、Aまで使えたら特殊となっている。
後は戦闘能力や医療能力など部隊に応じた能力の高さで階級は決まり、精進すれば上級にランクアップができる制度になっているのだ。
後一匹!!
クローはそう思いとりあえず莉未を守れるように、そして母親を助けられるような位置に立つ。
《チクショォォォォッ》
最後に残った悪魔は不利を感じたのか鎌を振り上げる。
瞬間移動で莉未の後ろに現れた。
クローは突然のことに目を見開いた。
鎌が莉未に振り下ろされる。
スロモーションで動いているように見えた。
莉未が目をぎゅっと閉じて身を小さくする。
母親が叫び声をあげた。
悪魔の鎌がどんどん莉未に近づいていく。
ブシャァァァァアアッ
血飛沫が舞った。
+++++
莉未はそっと目を開けた。
待ち構えていた痛みが来ない。
「…………え……」
目の前にはクローがいた。
母親は目を見開いている。
「お兄ちゃん………?」
その声を聞いてクローは少し後ろを向くと一瞬だけフッと笑った。
そのまま前を向き、銃を構えた。
「極光」
銃から凄まじい光が放たれ、悪魔は砂になって消えた。
「お兄ちゃんっ!!」
これで終わったんだ!
そう思って莉未はクローの方を見た。
するとクローがゆっくり莉未の方に倒れてくる。
「え………」
クローの体からは大量の血が流れていた。
左肩から右脇腹にかけて鎌で斬られた傷があり、かなり深い。
血はどんどん流れ出てきて、白いコートを赤く染めていく。
「お兄ちゃん……?」
これも幻覚……?
そうあってほしかった。
でもこれは現実。
「莉未っ」
母親が走ってきて莉未を後ろから抱きしめる。
「ママ……っお兄ちゃんは……?」
どうなっちゃうの?
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