第十五話[境遇]
ロザに連れてこられたのは海岸だった。
ロザが砂浜に座るのを見て、二人も座った。
「今から言うことは本当だから、信じてね?」
「はい」
ロザは素直に頷く。
「まず、俺達は天使なんだ」
「天使さん、ですか……?」
「あ、よく人間は勘違いして天使=幸せを運ぶものって言うけどそんなんじゃないからね」
「はい」
「で、さっき君が襲われていたのが悪魔っていうんだ」
ロザの目が恐怖を映し出した。
「悪魔が君を襲っていたのは君が異能者だからだ」
「異能者……ですか?」
「そう、その髪と目もそうだけど……時々何かありえないこととか起きない?」
クローがそう問うとロザは目を見開いた。
ロザの脳裏に色々な出来事が駆け巡る。
「あります……何度か……」
ロザは声を震えさせながら言った。
「前に……」
初めてありえないことがおきたのは一年前だった。
この髪と目で変な目で見られていたが、この出来事でさらに悪化したのだ。
いつものように変な目で見られながら学校に通っていた。
そしていつも嫌がらせをしてきていた男子が殴りかかってきたのだ。
その時、いつもと違って体が熱くなったのを感じたのだ。
そしていつまで経っても痛みは来なかった。
周りが騒然となったのは聞こえた。
そしてゆっくりと目を開けると自分は淡いオレンジ色の光に包まれていて、男子生徒は5mぐらいまで跳ね飛ばされていた。
それ以来、周りの目は憎しみと恐怖に染まった。
そして時々、何か起こる度に淡いオレンジの光がそれを跳ね返すようになっていた。
「その力、今出せる?」
クローが聞くとロザは顔を横に振った。
「自分から意識して出せないんです」
「ということは自分では制御できないということでしょうか?」
プラハはクローに尋ねた。
クローは頷く。
「その力が自分で制御できないというのなら尚更危険だ」
そしてクローはカルスから渡されていた銀色の腕輪を取り出した。
「ロザ、手を出して」
「?はい」
ロザは不思議そうにクローを見ながら両手を出した。
クローはその手の上に腕輪を置く。
「これは制御装置。これがロザの妙な力を封じてくれるよ」
「本当、ですか……?」
ロザはしげしげと腕輪を見る。
「常につけてて。これはロザの力を封じてくれるだけじゃなくて、君が悪魔に狙われないようにする働きもあるから」
ロザはそれを聞いてゆっくりと頷き、左腕に腕輪をはめた。
「よし、これで任務完了だよ」
「結構早く終わりましたね」
クローがプラハを見てそういうとプラハは微笑んだ。
そして二人は背中から羽を出すと、空に浮いた。
「ロザ」
クローがロザを呼ぶとロザは顔を上げた。
「これで力は封じられ、異能者ではなくなった。一般人と同じ生活ができるよ。だけど、完全になくなった訳じゃない」
クローはロザを見た。
「その腕輪が壊れたり、外したりすれば力が使えちゃうからね」
クローは苦笑する。
「世界にはまだ異能者は何人かいる。もし、ロザがその力を制御したいと、今日会った悪魔と戦いたいと、世界でまだこの力が何なのか分からずに苦しむ人を助けたいのだというのなら異能者たちが作った集団がある。そこを探して、訪ねてみるといいよ」
そう言うとクローはプラハと共に空高くに飛び上がっていく。
「…………天使さん!」
「?」
ロザがクローを呼び止めた。
「名前、教えてくれませんか?」
そう言うロザを見てクローは一瞬目を見開くと、ニコリと笑った。
「クロー=スピアだよ!」
そういうとクローとプラハはどんどん飛翔し、天界へと帰っていった。
「クロー……スピアさん………」
ロザは天使が消えていった場所をじっと見ていた。
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